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【京都幕間旅情】北野天満宮-梅花祭,菅原道真そのひととは-高雄の峰々から暗雲が清涼殿落雷事件

2024-02-29 07:00:00 | 写真
■和歌を愛する詩人
 歴史を散策するのですから表面だけでは無くもう少し奥深い成り立ちや縁というものを思考の散策として楽しみたいものです。

 北野天満宮は梅園を花の庭として、2022年に再整備し完成させました。これは明治維新の後に破壊され縮小されていた部分の再生ということなのですが、その源流たる北野天満宮の祭神、菅原道真の配流という歴史はこれまでに経緯と経過を示しました。そのさきに。

 清涼殿落雷事件は、その再集団として発生した、しかし大きな事件でした。時は延長8年6月26日、西暦では930年7月24日、この頃京都は日照りに悩まされ、雨乞神事の是非を議論する太政官会議を醍醐天皇御座所の内裏は清涼殿にて行うところでした、そのとき。

 高雄の峰々から暗雲が垂れ込め内裏の方に雲行きが怪しくなったのは正午頃、当時の様子を記した日本紀略にはあり、平安京一帯は豪雨に見舞われるとともに1600時過ぎ、清涼殿南西に落雷がありました。落雷は電撃が廊下を瞬時に帯電させ結果死傷者十数名がでます。

 大納言藤原清貫卿はこの瞬間に即死、右兵衛佐美努忠包と内蔵頭平希世らほか数名が焼死し、扶桑略記によればこののち数回の落雷が内裏にあり、更に数名が死亡している。大納言藤原清貫卿は直撃を免れるも床を這った雷撃で立ったまま焦げて即死していると記録が。

 死穢、という、当時は遺体に触れたものに触れただけでも数日間出仕停止という穢れを避ける制度があり、実はこの為に鴨川河原などで一部を拾ってくるワンコさんは嫌われたのですが、その穢れが内裏の最中、天皇さえお隠れの際には出る内裏で起こったという訳だ。

 醍醐天皇は清涼殿から常寧殿に遷座し、穢れから距離を置いたのですが歩いている人間が目の前で立ったまま黒焦げて亡くなる災禍を目の当たりにした醍醐天皇はそのまま引きこもり三か月後に崩御、しかも驚かれたのは雷雲が高雄の方角からやってきたことでしょう。

 神護寺、和気清麻呂を祀る神護寺が置かれた高雄と愛宕は宮城の守り、すると菅原道真が引き起こした祟りを皇室守護で名高い和気清麻呂の神霊も黙認した事なのか、と大騒ぎになりまして、醍醐天皇の崩御もあり、改めて北野天満宮を造営することとなったのですね。

 吉祥院天満宮に始まり菅大臣神社や菅原院天満宮神社、果ては北野天満宮を創建せよと夢のお告げを受けた少女を祀る文子天満宮まで造営されていますが、即位された朱雀天皇は北野天満宮を造営、齢7歳の若冠ながら平将門や藤原純友が跋扈する時代に挑む訳です。

 歴史を慎重に見ていますと、菅原道真を道真公としてお祀りしました北野天満宮造営以降は大きな祟りはありません。いや、平将門の乱や藤原純友の乱の方も大変なのですが、北野天満宮はその後も公家や武家と町衆に愛され、今も梅園はひとびとの活気が絶えません。

 菅原道真公、こう紹介しますと没後は怖いこととなりますし、生前は何しろ天才という人物故に近寄りがたい印象を持たれるかもしれませんが、漢詩と和歌を愛し、仕事には丁寧ではあるものの言葉を荒げることはなく、盛り上がる酒宴では妖艶な和歌を残している。

 和歌を愛する詩人であり、また教育は大好きという言葉を残すものの子煩悩で子供の成長の旅に和歌を残し、それは毎日わが子の写真を撮るパパの平安朝版だ。和歌繋がりで親交深かった在原業平とは、ナイショで遊女の街である今の大山崎に度々あゆみ運ぶほどに。

 武官藤原滋実とも親交、天台宗の僧相応和尚とも親交、配流の藤原時平の弟である藤原忠平とも和歌を通じ親交を結び、渤海から帰化した王文矩、また私塾菅家廊下の弟子からも慕われ、醤油ご飯とお酒が好き、そんな一面もある、祭神の社は今年も梅花で満開です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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