北大路機関

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【京都幕間旅情】祇園祭二〇二二,前祭山鉾巡行14万観客満員祭事を控えた宵山前と四条通は轟く長刀鉾の情景

2022-07-17 18:15:18 | 写真
■第七の波きり開く祭事
 慎重にならざるを得ない数字ばかりが出ているところですが祇園祭は執り行われています。

 山鉾巡行、本日は前祭山鉾巡行が行われまして、14万の観客が四条通などを埋め尽くしたとのこと。しかしその前日の16日にはCOVID-19全国感染者数が11万名に達しまして、再拡大という状況は最早疑い無い第七波を構成しています。そんな中での祭事の話題です。

 長刀鉾、今年は祇園祭の季節にいろいろと忙しくなりましたので絶対感染リスクを最小限としたい事情がありまして、久々に山鉾巡行でも、という誘いも断腸の思いでお断りしました、もちろん、舞鶴でいっぱいやろうとか、今津で鰻という誘惑も、我慢したのですが。

 祇園祭、しかし、少しは眺めてみようといいますか、これはもう縁起物ですからね、長刀鉾を宵山の前にふと散策してみました。祇園祭なんて観光客向けか商売人が粽をかうための、という空気はCOVID-19前には聞いていましたし、そんなものかな、とも思ったが。

 疾病祓いの伝統行事、祇園祭はこう位置づけられています。だからこそ、今年も、という2021年や2020年の声はあったのですが、思い出したのはイタリアのヴェネチアで、二月から三月にかけてのカーニバルが一大クラスターを引き起こした厳しく悲しい現実でした。

 京都に祇園祭のお囃子が聞こえてこないというものは、やはり寂しいものです。2020年の中止などは、阪急河原町地下工事以来の中止といわれましたし、なにしろ昭和20年こそ中止となったが、戦前は明治時代にもコレラ蔓延などで中止、疾病に振り回されてはいる。

 和泉小次郎親衡、鎌倉時代に北条氏に反旗を翻した人物が、この長刀鉾の後神体となっていまして八坂神社の長刀を所望し下賜されたのですが、その後に不思議な出来事が続いたため再度八坂神社に奉納したという、伝説となるほどに剣術に長けた猛者だったという。

 くじ取らず。祇園祭の山鉾巡行は先祭山鉾巡行が八坂神社からの御輿の神幸祭に先立つお清めの巡行、後祭は八坂神社に戻られる御輿のためのお清めの巡行、そして山鉾の巡行は順番を毎年くじ引きで決めるもの。しかし、長刀鉾だけは先頭と決まっているのです。

 山鉾町にあって長刀鉾は八坂神社に一番近い町という理由から伝統的にくじ取らずともいいますし、山鉾が今のかたちを取るようになって以来いちばん古い歴史があるためともいわれるのですが、いろいろと諸説はあるようで、なかなか結論は出ないのでしょう。

 平安時代の名匠三条小鍛冶宗近の長刀、最初に掲げたのは国宝級の名刀でした、ただ、実は恥ずかしいのですけれどもわたしはいまも別の名刀であっても真剣を冠しているのだとばかり思っていました、なにしろ祇園祭は神事、銃刀法の枠外にあるのだとう、と。

 三代にわたり名刀を掲げていたという長刀鉾ですが、実は江戸時代、天保年間の西暦1837年に、長刀の実物は重量もあってやはり危険だ、といわれるようになったことから竹光に錫箔を捺した模造刀が用いられるようになったとのこと、三代の名刀は八坂神社にある。

 八坂神社の神事なのですが、長刀はまぎれもない武器、模造刀であってもいろいろと配慮はあるとのことでして、刃の先が神社に向かぬよう、南に向け掲げられていまして、四条河原町の大廻しでも配慮があるのだとか。そしてもう一つ刃を向けてならない場所が。

 御所にも向かないように長刀の角度は注意されているとのことです。東横インの隣にあります長刀鉾、厳しい話ですが完全にオフィス街となっている長刀鉾町は町内人口が実質ゼロ、保存会と協力企業のコロナ禍下での維持は苦労もあったようですが、今年も健在です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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