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【京都幕間旅情】本法寺,巴の庭は本阿弥光悦唯一作庭の庭園と獄中で日親と本阿弥本光との縁

2021-10-28 20:01:21 | 写真
■立正治国論と鍋かんむりの日親
 鍋かんむりの日親、こう後に親しまれる開基日親はたいへんな使命感と情熱と自己犠牲の僧侶だったとおもう。

 日親はくじ引き義教の将軍宣下から少し経た永享八年こと西暦1436年に本法寺を開きます、開山の地は四条高倉、いまは大きな本屋さんになっているあたり。そして日親は日蓮宗を広めることで世界を安定させようとしています、日蓮宗はこの点、昔から妥協がない。

 立正治国論。要するに今の政治は間違っているという持論を日親は掲げます。日蓮も鎌倉時代、将軍北条時条に立正安国論を突きつけ弾圧を受けていますが、同じことを足利義教へ行いました、それも二度続けて。義教はここまでに、少なくとも200名を粛正している。

 なべかんむりの日親、庶民に親しまれる日親はこのとき、投獄されるとともに熱した鍋を頭から被せられるという拷問のような弾圧を受け、そのまま市中を歩かせる暴行を受けています。しかし、身を盾にして義教に持論を述べる様子は、庶民の崇敬を集めるのですね。

 本法寺には巴の庭という本阿弥光悦の唯一の作庭という庭園がありまして、実のところ夜間特別拝観では光の具合次第で作庭の主旨が飛んでしまいそうな心配もあるのですが、それはもう静かな庭園があります。ここは特筆して静けさがうれしい庭園といえましょう。

 本阿弥光悦が手植えた松が伽藍とともに本法寺には聳えています、日本美術史における偉大な巨人ですが、日親から少し後の時代に活躍しました。しかしなぜここに、思いますとその祖父本阿弥本光が将軍足利義教の怒りにふれ投獄され、日親と同じ獄舎にいたという。

 足利義教の圧政は日親が立正治国論で諫めた時には暴政の域に達しており、権力基盤を盤石にすると称して兄弟を粛正、祝義の品を送られると下心ありとして粛正、送らないと逆心ありとして罰し、作法の稚拙や言葉遣い、粛正の理由は数多上りました、芸術家も並ぶ。

 永享の乱。実は義教がくじ引き将軍と称された権力者をくじ引きだけで話し合い無く選ぶことには当初から反発もあり、くじ引きを受け将軍宣下の前に当時割れていた南北朝は南朝の小倉宮聖承が京都をでており、有力大名や公家の幕府から距離が顕在化してゆきます。

 室町幕府の鎌倉公方足利持氏はこの際に蜂起し、永享の乱が勃発します。これは義教の派遣した鎮定軍により鎌倉占領を経て幕を閉じますが、結城城の戦いを筆頭に影響は拡大、これにより義教は権力を安定させる手法として暴政を利用、結果の悪循環となるのですね。

 本阿弥本光の投獄も、幅広く広げすぎた投獄の対象に文化人が巻き込まれた構図で、投獄された際には本阿弥清信と本名を名乗っています、しかし獄舎で日親より日蓮宗の教えを説かれ帰依することとなります、そして日親から法名として本光の名を授けられたのです。

 本法寺には本阿弥光悦による庭園が現存しています、具体的には移転を経ていますが作庭そのものは本阿弥光悦によるもので、そして興味深いのは本阿弥光悦は芸術に様々な歴史を残していますが庭園はあまり作らず、現存している庭園は、ここ本法寺のみ、という。

 巴の庭。記録をみましても本阿弥光悦による庭園は本法寺の巴の庭ひとつのみであり、枯山水の広がる仏教庭園は光に彩られますとさらに輝く、そして庭園の国宝に当たる国の名勝に指定されているものです。本阿弥家は本法寺を本寺として、京都に影響を示してゆく。

 日蓮宗は、こうしたかたちで圧政にも屈しないという気風が、なにしろ構成には日中戦争のさなかに中国で布教している、庶民の崇敬を集めることとなっていますが、また、京都は一貫した一つの方向性を持った街並みといわれる背景、繋がりを大切にするものがある。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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