■臨時情報-台湾海峡情勢
台湾海峡をめぐる情勢は台湾周辺の危機へと拡大しつつ更に長期化の様相を帯びてきました。日本としてももう少し関心を持つ必要があります。

中国人民解放軍はペロシ下院議長訪台による7日に終了予定であった台湾周辺海域での演習を8日とそして昨日9日も継続的に実施し、台湾周辺での中国軍演習が常態化する懸念、そして台湾周辺での演習常態化により実質的な台湾海上封鎖へ情勢を段階的に緊迫化させ、何らかの時機とともに台湾侵攻へ着手するのではないか、という懸念を高めています。

中華民国台湾陸軍は中国軍の軍事演習が続く中、演習を開始しました。これは対抗演習という、相手国が周辺地域において軍事演習を実施した場合に、その演習が軍事演習を装った侵攻準備であった場合に対応できるよう演習の形を執り即応体制を強化する紛争抑止の様式があります。民国国防部は予定された演習と強調していますが、実態は対抗演習です。

対抗演習は北海道などで自衛隊も実施します、十年ほど前に第5旅団祭を拝見した際、帯広駐屯地第1対戦車ヘリコプター隊は参加しませんでしたが、翌日日曜日に北海道大演習場近くの南恵庭駐屯地祭を探訪した際、駐屯地から少し離れた場所をAH-1Sが常時複数機飛行、演習中だと教えられました。そして同時期、北方領土ではロシア軍が演習中でした。

台湾での演習は、しかし若干不安を示すものとなりました。中華民国国防部は沿岸部での砲兵隊演習を公開し、M-1榴弾砲が砲列を敷き一斉射撃にて目標海面上に凄まじい水柱が林立する様子を誇示しましたが、少し知識が有ればM-1榴弾砲は第二次世界大戦中の火砲であり、どれだけ古いかといえば第一作目1954年”ゴジラ”で海岸にて迎え撃った火砲です。

台湾の火砲は旧式化が著しい、M-110自走榴弾砲75門とM-109A5自走榴弾砲200門は比較的新しいのですが、中華人民共和国政府の圧力により新型火砲を各国は輸出できず、M-1カノン砲400門とM-1榴弾砲300門、M-1重榴弾砲90門など、火砲の主力は第二次大戦型となっています、M-1榴弾砲射程は自衛隊のFH-70半分以下、120mm重迫撃砲程度だ。

戦車は未だにM-41軽戦車、自衛隊でも1981年まで現役でしたが台湾では改良され維持されており、戦車は全て第二世代のM-60A3戦車とM-60戦車にM-48砲塔を載せたCM-11戦車が910両という状況、日本でいえば74式戦車だけのような状況です。この背景には台湾には105mm戦車砲を国産製造する技術も無く、機関砲製造も20mmまで、装甲車等は国産できますが防衛産業に限界があります。

ただ、台湾有事が迫っているのではないかと危惧するのは、アメリカのトランプ政権が新型のM-109A6自走榴弾砲40門の売却とA2型のA6仕様への改修が開始、また戦車も念願のM-1A2戦車108両の売却が決定し今年から引き渡しが開始されます。またHIMARSとATACMS戦術ミサイルやハープーン沿岸防衛システムの売却も決定し引き渡し待ちという。

時は台湾に利する、という状況です、つまり時が経てば経つほど、台湾の防衛力は強化され、中国が台湾へ侵攻する時機を早めに判断するのではないか、という懸念があります。丁度日本でも護衛艦かが入渠中、まだ日本へはF-35Bの導入も開始されていません。戦争など起きないだろう、こうした考えを持つ際には現状を正しく理解しなければなりません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
台湾海峡をめぐる情勢は台湾周辺の危機へと拡大しつつ更に長期化の様相を帯びてきました。日本としてももう少し関心を持つ必要があります。

中国人民解放軍はペロシ下院議長訪台による7日に終了予定であった台湾周辺海域での演習を8日とそして昨日9日も継続的に実施し、台湾周辺での中国軍演習が常態化する懸念、そして台湾周辺での演習常態化により実質的な台湾海上封鎖へ情勢を段階的に緊迫化させ、何らかの時機とともに台湾侵攻へ着手するのではないか、という懸念を高めています。

中華民国台湾陸軍は中国軍の軍事演習が続く中、演習を開始しました。これは対抗演習という、相手国が周辺地域において軍事演習を実施した場合に、その演習が軍事演習を装った侵攻準備であった場合に対応できるよう演習の形を執り即応体制を強化する紛争抑止の様式があります。民国国防部は予定された演習と強調していますが、実態は対抗演習です。

対抗演習は北海道などで自衛隊も実施します、十年ほど前に第5旅団祭を拝見した際、帯広駐屯地第1対戦車ヘリコプター隊は参加しませんでしたが、翌日日曜日に北海道大演習場近くの南恵庭駐屯地祭を探訪した際、駐屯地から少し離れた場所をAH-1Sが常時複数機飛行、演習中だと教えられました。そして同時期、北方領土ではロシア軍が演習中でした。

台湾での演習は、しかし若干不安を示すものとなりました。中華民国国防部は沿岸部での砲兵隊演習を公開し、M-1榴弾砲が砲列を敷き一斉射撃にて目標海面上に凄まじい水柱が林立する様子を誇示しましたが、少し知識が有ればM-1榴弾砲は第二次世界大戦中の火砲であり、どれだけ古いかといえば第一作目1954年”ゴジラ”で海岸にて迎え撃った火砲です。

台湾の火砲は旧式化が著しい、M-110自走榴弾砲75門とM-109A5自走榴弾砲200門は比較的新しいのですが、中華人民共和国政府の圧力により新型火砲を各国は輸出できず、M-1カノン砲400門とM-1榴弾砲300門、M-1重榴弾砲90門など、火砲の主力は第二次大戦型となっています、M-1榴弾砲射程は自衛隊のFH-70半分以下、120mm重迫撃砲程度だ。

戦車は未だにM-41軽戦車、自衛隊でも1981年まで現役でしたが台湾では改良され維持されており、戦車は全て第二世代のM-60A3戦車とM-60戦車にM-48砲塔を載せたCM-11戦車が910両という状況、日本でいえば74式戦車だけのような状況です。この背景には台湾には105mm戦車砲を国産製造する技術も無く、機関砲製造も20mmまで、装甲車等は国産できますが防衛産業に限界があります。

ただ、台湾有事が迫っているのではないかと危惧するのは、アメリカのトランプ政権が新型のM-109A6自走榴弾砲40門の売却とA2型のA6仕様への改修が開始、また戦車も念願のM-1A2戦車108両の売却が決定し今年から引き渡しが開始されます。またHIMARSとATACMS戦術ミサイルやハープーン沿岸防衛システムの売却も決定し引き渡し待ちという。

時は台湾に利する、という状況です、つまり時が経てば経つほど、台湾の防衛力は強化され、中国が台湾へ侵攻する時機を早めに判断するのではないか、という懸念があります。丁度日本でも護衛艦かが入渠中、まだ日本へはF-35Bの導入も開始されていません。戦争など起きないだろう、こうした考えを持つ際には現状を正しく理解しなければなりません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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