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【京都幕間旅情】東福寺,通天橋を眺める撮影名所はオーバーツーリズムとSNS承認欲求の悪循環

2024-12-04 20:00:00 | 写真
■通天橋を眺める
 紅葉の話題を。

 東福寺、混雑はそれほどでは無かったとは前述しましたが、なにしろ通天橋を眺める撮影名所、年々椛の木々が枝を伸ばしてきますので遠くない将来に呑まれるのだろうかと思うその一角が、過去にあるような撮影規制や入場規制をしていないのだから。

 混雑を覚悟した割にはひょうしぬけなのだけれども、まだ青椛が色づき始めた頃合いであることは周知故に拝観者が少ないのだろうか、と考えたりする、今やSNSの時代、まあその情報の真偽は確かめられないが、方向性のようなものは見られる時代という。

 SNSの時代、私は情報の真贋というものは多寡では決してなく、ファクトチェックの手間にあると思う、だから見もしない知っているという主観的な情報よりは、ファクトチェックの手間を踏んでいる報道機関というものの情報の方が信頼度はあると思うのだが。

 ただ、SNSの時代、問題は単なる自己実現の場に写真というものを安易に使うあまり、所謂華美さ物珍しさを基調とした価値観の写真が増える故に、求められる規範性や倫理観を逸脱した行動というものが溢れてしまったように思える、例えばここの拝観者でも。

 立ち入り禁止の柵の中へ立ち入って撮影する人が増えたなあ、いや比喩でも皮肉でもなく、この写真を撮影しました際、丁度通天橋前の、といいますか拝観入り口から15mくらいのところで関所破りならぬロープ越えで記念撮影をしようとしている一団が居まして。

 苔を踏んで立ち入り禁止区域へ。思わず声を挙げて注意してしまいました、もっとも同様に思われていた方が加勢してくださったお陰で相手方も理解してくれたようですが、日本語が通じない地域からのオキャクサマのようでして、しかし苔を踏むのは、なあ。

 苔は夏の猛暑を生き延びた苔、特にこのところの気候変動で京都の代名詞的な景観を醸すスギゴケが少なくない範囲で枯死してしまっている、それは情景の斑で顕在化しているのだけれども、ハイゴケもスナゴケも気温上昇が厳しい中、生き残った苔なのだ。

 自己承認欲求だろう、という声はありますし、それならこの京都幕間旅情もだよ、と言われてしまうかもしれませんが、SNSの時代、いい写真を撮る為ならば文化財保護も規範も規則やぶりもなんのその、という寂しい時代となってしまったのでしょうか。

 旅の恥は掻き捨て、という表現を曲解している方でしょうか、若しくは苔などなくてもよかれという事なのでしょうか、いや苔だけでなく退屈しのぎに東福寺の土塀を削って落書きしていた方がかなりの数いたことは過去マスコミなどで全国の報じられたが。

 しかしすると、見栄えさえあれば、臨済宗でも曹洞宗でも関係ないというところなのだろうか、そもそもここが日本における臨済宗の基盤となる修行道場であることを理解している人は、半分も居ないのではないか、写真のミバエだけではないか、と危惧して。

 ただ、オーバーツーリズムが叫ばれる京都に在って、少々覚悟している訳だけれども、この季節の三連休に東福寺の混雑が凄くないのは不思議だった、凪、なのかな、つまり観光バスや団体客が来ない時間帯に偶然当て嵌まったのかもしれないなあ。

 京都観光ってなんなのだろう、わたしは京都散歩、しかし、もしかすると京都観光は寺社仏閣よりも飲食やデパートでのお買い物を目的とする方も多いのかもしれない、そうした景観とこの情景も同一視されているのかも、とそんなことをおもいましたね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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