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ウクライナ情勢-ウクライナ軍,アウディイフカ撤退決定!補給路寸断と最後の撤退路へ第3強襲旅団投入し撤退掩護へ

2024-02-19 07:00:37 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 ウクライナ軍はアウディイフカ撤退を決定しました。現状のままでは全滅しかねないという厳しい状況があったためといい先んじて撤退することで態勢を立て直すという。

 ウクライナ軍は激戦地アウディイフカからのウクライナ軍部隊撤退を決定しました。現時点では撤退が開始、アウディイフカは陥落していませんが、ロシア軍は現在、アウディイフカの占領よりもアウディイフカ市街地から後退する最後の退路へ攻撃を試みておりウクライナ軍部隊の後退妨害に注力し、ウクライナ軍へ出血を強要しようと試みています。

 アウディイフカは交通要衝、というよりもY字型に主要道路に挟まれた地形で、昨年10月ごろから道路まで進出したロシア軍により両翼包囲されていました。そして同市はドンバス州の都市であり、市街地にはまだ900名程の市民が。ロシアのプーチン大統領にとりドンバス2州の制圧という政治的成果を目指すために攻撃が強化された経緯があります。
■第3強襲旅団投入
 戦略予備の投入時機としてはもっとも考え抜かれたところ。

 アウディイフカの戦況は先週頃から大きく動いており、ウクライナ軍は戦略予備として待機させていました第3強襲旅団をアウディイフカへ投入したのが正に先週、同じころアメリカが31両を供与したM-1A2戦車進出の情報も。第3強襲旅団の投入はロシア軍の攻勢正面に当る市街地北部のコークス工場への防衛正面へ投入されると目されましたが。

 第3強襲旅団の投入、しかし結果論から言えば、アウディイフカ市街地南部において防衛拠点を構成していたウクライナ軍第110旅団の撤退を支援するための投入であったもよう。第110旅団は2014年のロシア軍ドンバス空港占領を受け構築された防空基地を起点とした要塞化された複郭陣地を固守、逆にロシア軍攻勢で孤立しかけていた部隊でもありました。
■市街地南北寸断危機
 いまならば撤退する最後の機会であるという時機を逃さないところは日本もみならっておかなければなりません。

 アウディイフカを保持できない、ウクライナ軍が判断した背景には市街地北部に位置するコークス工場がほぼロシア軍に占領される事が画定し、同時に工場南側に位置していた道路、ウクライナ軍にとっての補給路がロシア軍の近接戦闘部隊の射程内に入る事が確実となったためでしょう。これによりアウディイフカ南北は分断される危機に陥りましたが。

 ウクライナ軍撤退の機会は、補給路として用いられたコークス工場側道路ではなく両翼包囲された中央部に未舗装の道路が一本保持されており、補給車両の常時利用は厳しいものの、兵員を不整地踏破能力の高い車両にて後退させる最後の道路は維持されており、この時機を逃せば撤退できず孤立した部隊が全滅する、この分水嶺を見極めた為と考えます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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