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【日曜特集】練習艦隊江田島出航2021(1)71期般幹候&73期飛幹候修了式(2021-03-13)

2021-08-22 20:00:56 | 海上自衛隊 催事
■艦隊出航,今年も江田島基地へ
 COVID-19猛威は留まるところを知りませんが自衛隊は今も着々と年次計画を進めています、それは今年の江田島も同じでした。

 江田内に停泊する練習艦かしま。ここは江田島高田、江田島基地とは同じ江田島市ですが、江田島は瀬戸内海の離島であるとともに島の中央部に江田内の湾が広がっており、ここから江田島基地へ停泊する艦艇を一望する事ができます。この日は江田島の卒業式です。

 海上自衛隊幹部候補生学校、江田島は旧海軍兵学校が明治時代に東京築地より移転して以来、海軍士官養成の拠点であり、明治大正昭和の旧海軍における士官教育は、そのまま海上自衛隊幹部候補生学校として昭和平成令和と幹部自衛官候補生を養成し続けてきました。

 広島から江田島市高速船を利用して高田港まで25分、今年も江田島に撮影へ到着する事が出来た、こうしたある種毎年感慨を抱くものなのですが、2021年はCOVID-19により2020年の自衛隊行事が総崩れとなり、ほとんどの行事を撮影する事が出来なかったものでした。

 かしま、うらが、てんりゅう、三隻が並ぶ江田内の様子、牡蠣筏が並ぶ様子などは瀬戸内の情緒を醸すものでして、牡蠣筏が七分に海が三分で海の色が見えない、とは言い過ぎですが、江田島にやってきた、という感慨深い光景です、最近は宮津湾にもあるようだが。

 うらが、艦番号463、てんりゅう、艦番号4203、牡蠣筏、艦番号なし。海上自衛隊の艦番号は三桁が護衛艦や機雷戦艦艇や潜水艦などの戦闘艦、四桁のものが支援艦となっています。補給艦が三桁で上陸作戦を担う輸送艦が四桁というのは不思議ではありますけれども。

 あけぼの。艦番号108、むらさめ型護衛艦です。異例尽くしといいますか、COVID-19感染拡大状況下での練習艦隊江田島出航は、護衛艦や護衛艦転用の練習艦が殆ど居ないという不思議な情景です、例年ですと練習艦かしま以外護衛艦が三隻か四隻といういでたち。

 練習艦隊。海上自衛隊は海を相手とする組織であり、ここは海洋における様々な特性と海上勤務要員としての独特の習慣や仕草や価値観や倫理観と優先順位や危機回避術などを身につけねばなりません、この為に海上自衛隊では練習艦隊を置き、教育にあてています。

 練習隊群として自衛隊に練習艦隊が編成されたのは自衛隊草創期の1957年、護衛駆逐艦タコマ型を米海軍から供与された護衛艦くす型の護衛艦うめ旗艦に編成されていました、これは事後隷下部隊を徐々に改編してゆきますが、遠洋航海では椿事もかさねてゆきました。

 海上自衛隊幹部候補生学校は1953年、第1期幹部候補生教育として当時の警備隊横須賀地方総監部隷下、田浦の旧海軍水雷学校跡地に警備隊術科学校として創設されています。1954年には自衛隊発足として海上自衛隊術科学校に改称、1956年には江田島に移転しています。

 候補生は150名の一般幹部候補生と航空学生出身の飛行幹部候補生、より成り、一般幹部候補生は防衛大学校課程修了者のⅠ課程と一般大学学士号乃至修士号授与者等を対象としたⅡ課程が各々半数、別枠である海曹から選抜された部内一般幹部候補生から成りまして。

 教育部、自衛隊の幹部候補生養成に当りまして行う教育は、普通学科、統率科、砲雷科、運用科、航海船務科、機関科、経理補給科、航空科、技術科、体育科、以上の通りとなっています。実際のところ防衛大学校と異なり、実務教育に重点が置かれている印象ですね。

 一般幹部候補生課程は一年間、旧海軍の海軍兵学校は普通学を重視していたのとは対照的ですが、これは海軍兵学校の教育期間に当る分を防衛大学校の四年間が担っており、いわば専門課程に当る為といえるかもしれません。故に教える方も一年間は分刻みの忙しさ。

 うらが、てんりゅう、江田内での潮流が僅かに訓練支援艦てんりゅう艦位を動かしています、僅かな潮流、僅かな風向きの変化、海の上は凄いものだなあ、と実感するものです。しかしこの日は江田島基地での幹部候補生学校において厳粛な卒業式が進行中のそのとき。

 第71期一般幹部候補生課程修了式典と第73期飛行幹部候補生課程修了式典が挙行されているとき、当然のようにCOVID-19感染拡大は収まらず、新任幹部の家族出席も許されない緊張下となっていましたので、チャーター船による海での見送りも行われていましたね。

 一般幹部候補生課程修了者と飛行幹部候補生課程修了者の整列が始まったようです。江田島ではこう、行進して海へと向かうのですね。しかしCOVID-19の感染拡大は大変だ、こういうのもこの練習艦隊出航の日程が発表されたのは、この前日、ぎりぎりだったのです。

 交通船、ここから練習艦や訓練支援艦や掃海母艦に乗艦します、カメラの望遠ズーム目一杯で整列している様子が望見できました、なにしろ日本の周辺情勢は厳しく、遠くない将来に抑止力により周辺での戦争を回避するか、実力を発揮する状況か、となりかねません。

 第71期一般幹部候補生課程修了者と第73期飛行幹部候補生課程修了者が一斉に交通船で出航してゆきます、彼ら彼女らはここで練習艦隊に乗艦しますと、江田島へは戻らずそのまま近海練習航海、外洋練習航海へと出航します、人生の門出、経験者の方の話でした。

 幹部候補生学校には、戦艦陸奥主砲や魚雷発射管、海上自衛隊護衛艦のMk.32連装3インチ砲等が並びまして、そしてこの校舎そのものが艦艇の上部構造物を模したという旧海軍兵学校の歴史的建造物、といいます、晴れの門出、潮風に揉まれて練習艦隊へとむかう。

 COVID-19感染拡大下の出航、いや実は丁度一年前の練習艦隊出航も既に日本国内での感染拡大兆候が報じられ感染者の徐々に増大する状況、医療資材は勿論一般用マスクも不足で転売が横行し、中国では一億人が都市封鎖、欧州ではイタリアで死者急増という状況で。

 練習艦隊江田島出航、昨年はそのCOVID-19が日本本土上陸、巨大クルーズ船ダイヤモンドプリンセスでの感染拡大や次々と最初の感染地武漢を脱出した邦人の隔離などという状況で、ここ江田島での卒業式も大幅に予定が繰り上げられ、4時間早く出航してゆきます。

 かしま艦上へと向かう第71期一般幹部候補生課程修了者と第73期飛行幹部候補生課程修了者、例年よりも一時間半ほど出航が早いものですが、昨年の様な4時間早い出航、というほどではありません、昨年度は候補生たちも交通船へ行進ではなく走って移動していた。

 COVID-19、日本国内の致命的な感染拡大は抑えられましたが対策が充分採られなければ死者40万という予測を当時に厚生労働省が試算していました、大袈裟と思われるでしょうが人口二倍少々のアメリカでの死者は三月時点で60万を超えており、現実の脅威といえます。

 うらが、艦番号463、てんりゅう、艦番号4203、交通船が向ってゆきます。昨年度は巨大なヘリコプター搭載護衛艦いせ、近海練習航海に参加していました、余裕ある居住区であれば感染拡大しない、という配慮でしたが、大き過ぎて江田内に入れなかったのですね。

 てんりゅう、であれば江田内にもすいすい入る事が出来るのですが、訓練支援艦が近海練習航海に参加するというのは初めてとなります。無人標的機を多数運用して艦隊訓練を支援するもので、イージス艦への支援を考慮し、膨大な数の高速無人機を同時管制できる。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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