■八月は反撃能力
八月は艦艇広報と五山送り火とそしていろいろな事がある一ヶ月なのですが反撃能力がどのように来年度予算概算要求に記されるかが関心事です。
八月という事で新しい88艦隊という毎年の特集を掲載していますので、自衛隊観艦式も、考えてみればここで用いました初公開の北大路機関写真をアーカイブ方式で88艦隊特集に用いているのだから、こちらの方が源流なのだけれども、特別企画と関連します。
新しい88艦隊という想定は、この始まりは一応専守防衛を念頭とした防衛戦略に依拠した概念として論理構成しています。しかし、一応、政府の反撃能力という防衛力整備の指針が示されますと、自衛隊の戦力投射を行う相手は非常に遠い場所ともなりうるわけだ。
艦隊、海上自衛隊の能力として特筆したいのは護衛艦や潜水艦という装備はその装備一つとってシステムを構成していますので、戦力投射、遠隔地への独力展開が友好国や同盟国の基地提供という制約に陸上自衛隊や航空自衛隊ほどしばられない、ということです。
大西洋へ護衛艦隊を展開させる、この視座は反撃能力という防衛力整備に加え、2022年の新しい88艦隊の日、考えれば昨年もロシアウクライナ戦争という新しい88艦隊の背景が、大きく転換していたところなのですけれど、二年連続での世界政治の影響を受ける。
権威主義国家に対する策源地攻撃は末端部分の部隊をどれだけ叩いても、逆に権威主義国家の支持層と被支配層という、今の日本ではなかなか理解できない感覚の命題を前に、信仰するのは一部の指揮官は前者であるが大半は後者という現実をみなければならない。
着上陸した相手を徹底して叩いても、逆に被支配層という権威主義国家において政権選択に実質関与できない少数民族を中心に損耗を重ねたところで、逆に進行する側には国内不満分子を日本側が粛清の代行をするという結果になりかねず、逆効果ともいえる。
策源地攻撃と過去に呼ばれた反撃能力を行使するためには、日本の隣国にロシアが居る限り、どうしてもモスクワとサンクトペテルブルクに対してわかるかたちでの力の行使を行わなければ、日本との和戦を決する政策決定に影響力を及ぼせないという現実がある。
反撃能力整備というダイナミズムの中において既存防衛力組み換えが今後重要な視点となってゆくでしょう。ただ、反撃能力整備という視点は防衛省自衛隊からの視点ではなく政府が国家防衛戦略に明示したものであり、これがどう防衛力整備に繋がるのか、と。
政治主導による国家防衛戦略なのですから、政治は、自衛隊が有事の際にどのような任務にあたるのかの概略を示す必要があります、無論細部は自衛隊に任せるべきであり、防衛出動命令の発令、Q号指令が発せられた先には政治は関与すべきではありません、が。
専守防衛を念頭に防衛力整備が続けられたため、装備体系や訓練体系と戦術研究から教育は勿論のこと基地や駐屯地の配置まで政治は関与すべきではないと考えるのですが、反撃能力という国家防衛戦略の概念は、政治主導のものであり、概略は示すべきです。
2012年自衛隊観艦式の当時には、政権は安倍内閣であり、保守政権である認識はありましたが、いまの岸田政権のような保守政権の中でも、専守防衛を超えて本土以外の場所での戦闘を第一とすることはなかなか想定できませんでした、これは転換が難しい一歩だ。
太平洋戦争を真剣にその敗戦を反省し、戦争の災禍から国民を守るという視座に立つならば、専守防衛という戦略は批判されるべきで、戦闘は日本本土へ戦果が及ぶ前に抑止する、少なくとも軍事力を使ってでも戦争そのものを開戦を封じ込める努力が必要です。
しかし、日本に攻撃できないように相手本土、指揮中枢と航空基地や軍港とミサイル関連施設などに対して反撃能力を加える、特に指揮中枢は大都市に置かれており、政策決定当事者への攻撃は控えるとの指針は示されていますが、段階的悪化を留意しているのか。
反撃能力は上記視点に基づいて、その上で反撃能力と陸上自衛隊や航空自衛隊の位置づけというものが随分と変わってくる点にどう対応するのか、わかりにくいのです。政府は陸上自衛隊全ての師団と旅団を機動運用部隊に指定する、としましたが、無理がある。
地域配備師団は戦車大隊と特科部隊を手放していますので、もちろん軽装備の部隊でもアメリカ陸軍のように戦闘ヘリコプターが配備されるならば怖いものはないのですが、政府は戦闘ヘリコプターも廃止する方針、どういった戦闘を想定するのかわかりません。
普通科連隊を地域配備師団の場合は地対艦ミサイル連隊へ組み替えてしまったほうがいいのではないか、地対艦ミサイル連隊は人員450名、しかしミサイルは発射装置16基と3斉射分の弾薬を一基数として配備されます、地対艦ミサイルは射程を延伸する計画だ。
地対艦ミサイル連隊に普通科中隊と施設中隊に情報隊を加えた沿岸戦闘連隊、というような部隊に改編しなければ、政府がもう本土を戦場とする戦いは行わないという方針を示したのだから、反撃能力で一発でも多くのミサイルを発射する必要が生じます。
偵察部隊についても、いまアメリカ海兵隊がコットンマウス偵察車などを試験していますが、海兵隊は水陸両用部隊から島嶼部防衛部隊へ大規模な転換を行っており、従来の装甲車の延長線上にある水陸両用装甲車で洋上偵察を以下に行うかに悩まされている最中で。
政治が反撃能力整備を示して、それも従来の策源地攻撃ではなくかなり深部まで叩くという方針を示したのですから、その為には大掛かりな編成の組み換えが必要であり、それは天文学的な予算をも同時に、一時的であれ、必要となるのですが、政策がみえない。
航空自衛隊については、次期戦闘機としてイギリスとイタリアとともに共同開発計画を進めていますが、反撃能力の一翼を担うかどうかでは根本から設計要素が異なり、F-15EX戦闘爆撃機か、オーストラリアが導入を一時検討していたB-21爆撃機の視野も要る。
日本本土へ侵攻する航空部隊を撃滅する必要が生じることは確かですが、洋上での防空戦闘を行うのか基地を叩くのかでは全く必要な能力が変わりますし、敵爆撃機を阻止ししても弾道ミサイルや大量の自爆用無人機の飽和攻撃に都市部を焼かれては結果は同じ。
現在の防衛力の延長線上に策源地攻撃を考え、基本的に専守防衛政策を踏襲するならば、想像できる範囲内での防衛力再編により対応できるでしょう、過去22年間のミサイル防衛により疲弊した防衛力を先ず再建し、その上で再編に当たればよいのだから、しかし。
防衛予算概算要求がまもなく示されます、恐らく金額は過去最大規模となり、主として金額面での議論が交わされる事でしょう、ただこれは表面的なものであり、その予算が必要となった背景の是非を、多少知識が必要ですが、踏み込んでみてゆかねばならない。
八月は概算要求の月であると共に五山送り火と終戦記念日の月です、特に終戦の日は不戦を平和への道と理解している方が多いようですが、そうでなく過去の戦争は政治をおカミの決め事として無関心が醸成した結果のようにも思える故、関心が必要だと思うのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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八月は艦艇広報と五山送り火とそしていろいろな事がある一ヶ月なのですが反撃能力がどのように来年度予算概算要求に記されるかが関心事です。
八月という事で新しい88艦隊という毎年の特集を掲載していますので、自衛隊観艦式も、考えてみればここで用いました初公開の北大路機関写真をアーカイブ方式で88艦隊特集に用いているのだから、こちらの方が源流なのだけれども、特別企画と関連します。
新しい88艦隊という想定は、この始まりは一応専守防衛を念頭とした防衛戦略に依拠した概念として論理構成しています。しかし、一応、政府の反撃能力という防衛力整備の指針が示されますと、自衛隊の戦力投射を行う相手は非常に遠い場所ともなりうるわけだ。
艦隊、海上自衛隊の能力として特筆したいのは護衛艦や潜水艦という装備はその装備一つとってシステムを構成していますので、戦力投射、遠隔地への独力展開が友好国や同盟国の基地提供という制約に陸上自衛隊や航空自衛隊ほどしばられない、ということです。
大西洋へ護衛艦隊を展開させる、この視座は反撃能力という防衛力整備に加え、2022年の新しい88艦隊の日、考えれば昨年もロシアウクライナ戦争という新しい88艦隊の背景が、大きく転換していたところなのですけれど、二年連続での世界政治の影響を受ける。
権威主義国家に対する策源地攻撃は末端部分の部隊をどれだけ叩いても、逆に権威主義国家の支持層と被支配層という、今の日本ではなかなか理解できない感覚の命題を前に、信仰するのは一部の指揮官は前者であるが大半は後者という現実をみなければならない。
着上陸した相手を徹底して叩いても、逆に被支配層という権威主義国家において政権選択に実質関与できない少数民族を中心に損耗を重ねたところで、逆に進行する側には国内不満分子を日本側が粛清の代行をするという結果になりかねず、逆効果ともいえる。
策源地攻撃と過去に呼ばれた反撃能力を行使するためには、日本の隣国にロシアが居る限り、どうしてもモスクワとサンクトペテルブルクに対してわかるかたちでの力の行使を行わなければ、日本との和戦を決する政策決定に影響力を及ぼせないという現実がある。
反撃能力整備というダイナミズムの中において既存防衛力組み換えが今後重要な視点となってゆくでしょう。ただ、反撃能力整備という視点は防衛省自衛隊からの視点ではなく政府が国家防衛戦略に明示したものであり、これがどう防衛力整備に繋がるのか、と。
政治主導による国家防衛戦略なのですから、政治は、自衛隊が有事の際にどのような任務にあたるのかの概略を示す必要があります、無論細部は自衛隊に任せるべきであり、防衛出動命令の発令、Q号指令が発せられた先には政治は関与すべきではありません、が。
専守防衛を念頭に防衛力整備が続けられたため、装備体系や訓練体系と戦術研究から教育は勿論のこと基地や駐屯地の配置まで政治は関与すべきではないと考えるのですが、反撃能力という国家防衛戦略の概念は、政治主導のものであり、概略は示すべきです。
2012年自衛隊観艦式の当時には、政権は安倍内閣であり、保守政権である認識はありましたが、いまの岸田政権のような保守政権の中でも、専守防衛を超えて本土以外の場所での戦闘を第一とすることはなかなか想定できませんでした、これは転換が難しい一歩だ。
太平洋戦争を真剣にその敗戦を反省し、戦争の災禍から国民を守るという視座に立つならば、専守防衛という戦略は批判されるべきで、戦闘は日本本土へ戦果が及ぶ前に抑止する、少なくとも軍事力を使ってでも戦争そのものを開戦を封じ込める努力が必要です。
しかし、日本に攻撃できないように相手本土、指揮中枢と航空基地や軍港とミサイル関連施設などに対して反撃能力を加える、特に指揮中枢は大都市に置かれており、政策決定当事者への攻撃は控えるとの指針は示されていますが、段階的悪化を留意しているのか。
反撃能力は上記視点に基づいて、その上で反撃能力と陸上自衛隊や航空自衛隊の位置づけというものが随分と変わってくる点にどう対応するのか、わかりにくいのです。政府は陸上自衛隊全ての師団と旅団を機動運用部隊に指定する、としましたが、無理がある。
地域配備師団は戦車大隊と特科部隊を手放していますので、もちろん軽装備の部隊でもアメリカ陸軍のように戦闘ヘリコプターが配備されるならば怖いものはないのですが、政府は戦闘ヘリコプターも廃止する方針、どういった戦闘を想定するのかわかりません。
普通科連隊を地域配備師団の場合は地対艦ミサイル連隊へ組み替えてしまったほうがいいのではないか、地対艦ミサイル連隊は人員450名、しかしミサイルは発射装置16基と3斉射分の弾薬を一基数として配備されます、地対艦ミサイルは射程を延伸する計画だ。
地対艦ミサイル連隊に普通科中隊と施設中隊に情報隊を加えた沿岸戦闘連隊、というような部隊に改編しなければ、政府がもう本土を戦場とする戦いは行わないという方針を示したのだから、反撃能力で一発でも多くのミサイルを発射する必要が生じます。
偵察部隊についても、いまアメリカ海兵隊がコットンマウス偵察車などを試験していますが、海兵隊は水陸両用部隊から島嶼部防衛部隊へ大規模な転換を行っており、従来の装甲車の延長線上にある水陸両用装甲車で洋上偵察を以下に行うかに悩まされている最中で。
政治が反撃能力整備を示して、それも従来の策源地攻撃ではなくかなり深部まで叩くという方針を示したのですから、その為には大掛かりな編成の組み換えが必要であり、それは天文学的な予算をも同時に、一時的であれ、必要となるのですが、政策がみえない。
航空自衛隊については、次期戦闘機としてイギリスとイタリアとともに共同開発計画を進めていますが、反撃能力の一翼を担うかどうかでは根本から設計要素が異なり、F-15EX戦闘爆撃機か、オーストラリアが導入を一時検討していたB-21爆撃機の視野も要る。
日本本土へ侵攻する航空部隊を撃滅する必要が生じることは確かですが、洋上での防空戦闘を行うのか基地を叩くのかでは全く必要な能力が変わりますし、敵爆撃機を阻止ししても弾道ミサイルや大量の自爆用無人機の飽和攻撃に都市部を焼かれては結果は同じ。
現在の防衛力の延長線上に策源地攻撃を考え、基本的に専守防衛政策を踏襲するならば、想像できる範囲内での防衛力再編により対応できるでしょう、過去22年間のミサイル防衛により疲弊した防衛力を先ず再建し、その上で再編に当たればよいのだから、しかし。
防衛予算概算要求がまもなく示されます、恐らく金額は過去最大規模となり、主として金額面での議論が交わされる事でしょう、ただこれは表面的なものであり、その予算が必要となった背景の是非を、多少知識が必要ですが、踏み込んでみてゆかねばならない。
八月は概算要求の月であると共に五山送り火と終戦記念日の月です、特に終戦の日は不戦を平和への道と理解している方が多いようですが、そうでなく過去の戦争は政治をおカミの決め事として無関心が醸成した結果のようにも思える故、関心が必要だと思うのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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