◆アフガニスタン復興支援問題
アフガニスタンへの日本政府による復興人道支援は、基本的に自衛隊ではなく民間人により行われる。
本日午前、衆議院第一委員室において行われた衆議院予算委員会質疑において、自民党の石破茂議員に質疑に対して行われた鳩山総理の答弁でこのように回答された。現在、全土が戦闘状態にあり、首都カブールでも国連施設が襲撃されるという状況下で、状況の鎮静を待って民間人を送るとの想定を行っているとのことだ。
アフガニスタンに対しては、米軍による2001年のアフガン空爆以来、空輸支援やタイ陸軍工兵部隊の海上自衛隊輸送艦による輸送支援、更には有志連合による対テロ海上阻止行動に対する海上自衛隊の補給艦部隊による給油支援などが行われているが、これに対する貢献度を疑問視し、民主党政権は、民間人による本格的な復興支援を行うとの構想を述べた。
対テロ海上阻止行動給油支援がテロ対策特別措置法の期限切れに伴い終了したのち、アフガニスタンの治安状況が安定しなかった場合、民間人がアフガニスタンで活動できるまでの期間、日本の支援が滞る可能性はあるのかとの石破議員質疑がおこなわれた。
これに対し岡田外務大臣は現時点でもアフガニスタンでは民間人による支援が行われており、現時点で海上自衛隊補給艦部隊が撤収したとしても関与していない状態にはならない、との答弁であった。他方、鳩山総理によれば、補給艦からの補給回数は減少しており、補給任務への需要が少なくなっている証明だ、と述べている。
しかしながら、海上自衛隊による対テロ給油支援に関する評価は、給油を行う日本政府ではなく、対テロ海上阻止行動を行う上で給油を受ける海軍部隊を派遣したアメリカ政府、イギリス政府、ドイツ政府、パキスタン政府により為されるべきではないのか、という石破議員の指摘に対して、鳩山首相、岡田外務大臣は明確な答弁を避けたかたちだ。
注意したいのは、海上自衛隊補給艦部隊が撤収した後であっても現在アフガニスタンで日本から派遣された民間人による復興支援は行われている、という答弁は、その後の国際社会が期待する規模での日本による復興支援が相当期間の空白期を経たとしても、復興支援は十分行われているとの見解を示すだけで乗り切る可能性も示している。
もうひとつ、民間人の復興人道支援への派遣に際して、その護衛に自衛隊部隊を同行させるという方式が答弁に際しては否定された、ということである。外国軍による軍隊の護衛を必要とすることになり、これはこれで問題あるのではないだろうか。自衛隊はこれまで国際平和維持活動や国際人道支援任務に自衛隊を派遣しているが、戦闘を回避し任務を達成している。
それにしても、政府はタリバンの再就職支援を行うという。国際治安部隊との間での武装勢力との停戦、自衛隊を派遣しての治安回復、そうしたうえでタリバンの武装解除を行い、復興支援を行うという手順を飛ばし、再就職支援を行うのだろうか、完全武装で武装勢力が押し掛けてきた場合どのように対処するのだろうか、まさか民間軍事会社(民間保安会社)を派遣するわけにもいかないだろうし(そもそも現在の刑法では、日本国内で、現金輸送や施設警備を行う警備会社以上の、いわゆるところの民間保安会社の創設は難しい)、気になるところである。
HARUNA
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