北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

AH-64D戦闘ヘリ五機が祝賀飛行に参加した明野航空祭2009

2009-11-21 22:20:53 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

◆明野駐屯地祭の写真を整理して

 訓練展示模擬戦が、ややトーンダウンしていたのを除けば、例年通りの規模で行われた今年の明野駐屯地祭、通称明野航空祭。

Img_9876  最大の見どころは、例年よりも近い位置にAH-64D戦闘ヘリコプターが並んでいたところだろうか。加えて、祝賀飛行だけで5機のAH-64Dが飛行した。ミリ波レーダーであるロングボウを搭載したAH-64Dアパッチロングボウは、レーダー情報を部隊間で共有することができ、全陸上自衛隊の目となりうる高度な索敵能力を有している。

Img_0008  加えて、戦闘行動半径や同時に対処出来る目標数も増大しており、従来のAH-1Sでは野戦補給設備などの支援を要した範囲の目標に対しても、対応することが可能だ。搭載するミサイルの射程も増大しており、驚くべきは米陸軍の近代化プログラムとともに将来的に、より性能が向上する可能性を内包している設計の余裕だ。

Img_0094  しかし、その分、調達費用は富士重工でのライセンス生産を行うことも含め高騰、60機の中お辰が予定されていたが、財政上の理由から急きょ10機で発注中止、ライセンス生産の契約をボーイングとの間で結んだ富士重工は莫大な損害を蒙り、500億円の民事賠償請求を準備中と伝えられている。

Img_0191  一個飛行隊の必要定数はAH-1Sの16機から能力向上により12機まで削減できるとされ、9機の縮小編成を採れば、訓練所要と5方面隊の対戦車ヘリ隊を代替する戦闘ヘリ隊の所要として50機程度、60機調達すれば損耗予備と併せ、96機のAH-1Sを代替できたわけで、今更別機種で空中打撃力を充足せずとも、と考えた次第。

Img_0437  地皺の多い日本の国土を防衛する場合、空中打撃力は、少数の師団・旅団を補完するうえで不可欠の装備であるとともに、データリンク能力が高く、索敵能力が高いAH-64Dのポテンシャルは、決して低くは無いはずなのだが、それだけに調達中止は残念、と思いつつ、明野の五機編隊を見上げた一日でした。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文および写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする