◆明野駐屯地祭の写真を整理して
訓練展示模擬戦が、ややトーンダウンしていたのを除けば、例年通りの規模で行われた今年の明野駐屯地祭、通称明野航空祭。
最大の見どころは、例年よりも近い位置にAH-64D戦闘ヘリコプターが並んでいたところだろうか。加えて、祝賀飛行だけで5機のAH-64Dが飛行した。ミリ波レーダーであるロングボウを搭載したAH-64Dアパッチロングボウは、レーダー情報を部隊間で共有することができ、全陸上自衛隊の目となりうる高度な索敵能力を有している。
加えて、戦闘行動半径や同時に対処出来る目標数も増大しており、従来のAH-1Sでは野戦補給設備などの支援を要した範囲の目標に対しても、対応することが可能だ。搭載するミサイルの射程も増大しており、驚くべきは米陸軍の近代化プログラムとともに将来的に、より性能が向上する可能性を内包している設計の余裕だ。
しかし、その分、調達費用は富士重工でのライセンス生産を行うことも含め高騰、60機の中お辰が予定されていたが、財政上の理由から急きょ10機で発注中止、ライセンス生産の契約をボーイングとの間で結んだ富士重工は莫大な損害を蒙り、500億円の民事賠償請求を準備中と伝えられている。
一個飛行隊の必要定数はAH-1Sの16機から能力向上により12機まで削減できるとされ、9機の縮小編成を採れば、訓練所要と5方面隊の対戦車ヘリ隊を代替する戦闘ヘリ隊の所要として50機程度、60機調達すれば損耗予備と併せ、96機のAH-1Sを代替できたわけで、今更別機種で空中打撃力を充足せずとも、と考えた次第。
地皺の多い日本の国土を防衛する場合、空中打撃力は、少数の師団・旅団を補完するうえで不可欠の装備であるとともに、データリンク能力が高く、索敵能力が高いAH-64Dのポテンシャルは、決して低くは無いはずなのだが、それだけに調達中止は残念、と思いつつ、明野の五機編隊を見上げた一日でした。
HARUNA
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