北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

平成二十四年度二月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2013.02.09・10・11)

2013-02-08 21:28:25 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事 

 南西諸島の緊張と北方の領空侵犯事案に揺れる中ではありますが、本日は自衛隊関連行事の紹介です。

Gimg_4388 今週末の自衛隊関連行事は、駐屯地祭や基地祭に航空祭などは行われませんが、毎週恒例となっている海上自衛隊基地、佐世保基地倉島桟橋一般公開と呉基地係船堀一般公開、そして舞鶴基地は北吸桟橋の一般公開が今週末も中止となっているのですが、舞鶴航空基地の一般公開が行われるとのこと。

Gimg_9393 一般公開の詳細は、佐世保基地暮らし馬桟橋では9日土曜日と10日日曜日に祭日である11日月曜日に護衛艦じんつう一般公開、午前の部と午後の部で時間が決まっていますのでご注意ください、呉基地では10日日曜日のみ一般公開で三回に分け受付、一般公開されるのは練習艦しまゆき、です。また月曜日は祭日ですので一般公開をおこなわない基地でも満艦飾が行われるでしょう。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

  • 海上自衛隊基地の一般公開のみ

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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ロシア戦闘機二機、北海道北部を領空侵犯! 三沢基地F-2緊急発進、対領空侵犯措置を実施

2013-02-07 22:17:35 | 防衛・安全保障

◆Su-27二機、ロシア機による領空侵犯は五年ぶり

 本日1459時から1501時にかけ、ロシア軍の戦闘機二機が北海道の日本領空を侵犯しました。

Img_6786 領空侵犯事案が発生したのは北海道北部の利尻島南西空域で、Su-27戦闘機二機が領空に侵犯、航空自衛隊はF-2支援戦闘機を延べ4機緊急発進させ、通告及び警告を実施しました。防衛省によれば今回の領空侵犯事案に対し、警告射撃は実施されず、航空戦闘は行われていません。

Img_2129 領空侵犯は14時59分29秒から15時00分40秒までの約70秒間行われ、侵入位置は北緯44度51分東経140度52分、退去位置は北緯44度59分東経140度49分とのことで、沿海州方面から飛行し、そのまま北海道沿岸へ変針地点を何らかの理由により突破、領空侵犯へ至った模様です。

Bimg_5594 防衛省はF-2支援戦闘機四機が対応したとのことですが、北海道北部に近い北海道千歳基地にはF-15二個飛行隊が配置されており、F-2支援戦闘機は青森県の三沢基地へ配備されている航空機で、四機ともF-2が運用されたというのは少々不思議なのですが、具体的な理由はわかりません。

Img_3118 ロシア機による我が国領空への侵犯事案は五年ぶりの発生で、前回の領空侵犯は2008年2月に伊豆諸島付近において爆撃機二機が領空侵犯を行って以来のことです。外務省は今回の事案に対し厳重抗議し、ロシア側へ再発防止を要求しています。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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新田原基地航空祭2011詳報⑦ 築城基地F-2B機動飛行と新田原救難隊救難展示

2013-02-06 23:00:21 | 航空自衛隊 装備名鑑

◆F-2Bの迫力に霧島火山も噴火で応えた!

 F-15の機動飛行に続いて、日米共同開発、F-2支援戦闘機の機動飛行が開始されます。

Nimg_8645_1 F-2支援戦闘機、福岡県の築城基地より機動飛行のために飛来したF-2支援戦闘機です。築城基地は1942年に海軍航空隊地区王飛行場として建設され、1945年には米軍の空爆により損害を被った翌々日に九州核攻撃へ展開するB-29へ零戦を緊急発進させた基地、現在は航空自衛隊第八航空団となりました。

Nimg_8649_1 第八航空団は、航空団を構成する二個飛行隊が制空戦闘機であるF-15飛行隊と支援戦闘機であるF-2飛行隊を各一個有する、古い表現では戦爆連合というような特異な編成となっています。まあ、そういう事を言いますと新田原基地の第五航空団も一個飛行隊のF-4だけで編制される特異な航空団なのですけれども。

Nimg_8657_1 鋭い機動で蒼穹の大空へ群青の洋上迷彩が吸い込まれてゆきます、F-2支援戦闘機は冷戦時代にソ連軍両用戦部隊の北海道着上陸が行われる脅威に対して、対艦ミサイル四発を搭載し洋上阻止任務にあたる支援戦闘機が求められ、米軍機を筆頭に導入し得る候補機に能力を満たせる機体が無かったことで米空軍のF-16を原型として日米共同開発が行われたもの。

Nimg_8664_1 このF-2支援戦闘機のほかに、欧州共同開発のトーネードIDS攻撃機などは国産のASM-1空対艦ミサイルの射程40kmに匹敵する射程38kmのコルモラン空対艦ミサイル四発を搭載でき、戦闘行動半径もほぼ要求を満たしますので、候補としてはもう少し考えられても、と思ったのですが、F-2のような中射程空対空ミサイルをトーネードIDSは運用できませんので、日米共同開発は妥当だったのでしょう。

Nimg_8665 F-2の機動飛行がヴェイパーを曳きます、鋭い機動性はフライバイワイヤ操縦システムの賜物で、この技術は日米共同開発が決定時、アメリカから日本への技術供与が行われるという理解が為されていたのですけれども、これが覆り、日本が開発する必要に見舞われました。一部下馬評で開発難航の可能性が指摘されたものの、P-2V-SFSやT-2CCVにより基礎を完成させていた我が国は一年で完成させました。

Nimg_8678_1 このF-2支援戦闘機は戦闘機の中では小型に部類されるF-16を原型としていますが兵装搭載量は8t以上あります。これは日本が独自に開発した炭素繊維複合素材により一体成型された機体が用いられ、日米共同開発で技術提供されたこの技術がF-22やF-35の機体開発に応用されているほか、ボーイング787胴体部分の生産を日本が行う、いわば技術的サンプル量産品をアメリカに提示した、という意味もあったりします。

Nimg_8680_1 CCV、高機動性研究の技術も飛行プログラムも応用されており、これが操縦特性に反映されているほか、統合電子戦システムの開発と搭載やAESAレーダーとなったAPG-1レーダーの国産開発など、日本にもこれだけの技術があり、その技術は開発室だけではなく実運用にも耐える性能がある、というものを見せつけたもの。

Nimg_8701 航空自衛隊のF-35導入に際し、国際共同開発航空機であるF-35へ我が国は後発参入にもかかわらず非常に好条件で生産基盤を国内誘致でき、日本が重視していた戦闘機製造基盤を維持することが出来るようアメリカ側が妥協した背景に、日本にはこれを任せるに十分な技術がある、という事をこのF-2が示した賜物ともいえるやもしれません。

Nimg_8715 惜しむべくは石破長官時代にF-2の能力が正しく認識されず、生産が早期終了してしまったというところで、例えばF-2飛行隊を18機定数から24機定数として生産数を増やす措置を採っていたならば、三個飛行隊所要でも必要に応じて一個飛行隊分を抽出させる余裕が生まれ、今日のようなF-35開発長期化の影響を局限化することも出来たでしょう。

Nimg_8719 こうした視点から見れば、例えばEF-2000タイフーン戦闘機も候補機として高い評価を与えることが出来ます、アメリカ側がF-35を完成機供与のみ行う立場を堅持していた場合にはEF-2000を導入するべきでした、何故ならば完成機供与では稼働率が低下するからです、しかし、当初条件ではEF-2000が完全生産の条件が提示されていましたので、アメリカ側は妥協しました、結果、日本が生産基盤と整備基盤を持つ前提のF-35が好条件となった、ということ。

Nimg_8726 ただ、航空自衛隊は防空重視で、航空阻止と洋上阻止を重視していなかった点がF-2の評価を変えました、仮にドイツ海軍鉱区隊のトーネードのように、洋上阻止任務が海上自衛隊の専管任務であったならば、四個飛行隊程度は配備されていたやもしれません。・・・、その場合、F-16原型ではなくF/A-18C原型になって、F/A-18Eが日米共同開発になっていたやも、そしてDDHがさらに大型化してF-2を、それはないか。

Nimg_8751 こうしたF-2機動飛行を行っている背景で、少々驚くことが置きました、霧島火山が噴火していたのです。小規模な水蒸気爆発ですが、実は当方、火山噴火というのを見たのはこの時が初めてでした、F-2機動飛行に熱くなった霧島火山も噴火、というわけではないのですけれど。

Nimg_8592 続いて救難飛行展示、が、行われ、た、の、で、すけれども、・・・。最初の回に掲載したようにこの場所は基地の反対側です、順光なのでこの場所にしました、良い写真の連続でしょう、良い場所だ、基地で撮影していた方の話、浜松のMさんなどは逆光で大変だったそうです、飛行展示はこの場所で良かった。

Nimg_8599 そうなのだけれども、観ての通り、救難展示は遠かった、救難展示ももちろん会場をメインの観客として展示されるのですが、そうするとこの撮影位置、眺鷲台からはかなりの距離があります。超望遠でズームを精一杯しても無理、これは岐阜基地の南側から航空祭を撮影するのと同じ。

Nimg_8595 救難飛行展示を行っている最中は、あまり遠すぎる展示を撮影するのも、という事で航空祭の舞台裏を撮影、F-15に給油が行われています。F-15は見ての通り、大型の機体に可能な限りの電子機器と兵装を搭載し、入手しうる最強のエンジンを双発搭載することで最強の戦闘機として完成しました。

Nimg_8630 長大な航続距離と卓越した制空戦闘能力を有するのがF-15なのですが、みての通り大飯喰らいなのです。この機体について、例えば南西諸島で下地島や宮古島に飛行隊規模で前方展開させて、という話は識者の間でも、こちらへのコメントでも散見しますが、この機体を作戦可能な規模で維持するためには、基地機能維持と併せ本土からの物資輸送に専従でC-2輸送機をこの任務だけに20機以上が空輸に従事せねばならないのでは、と。

Nimg_8756 もちろん、那覇基地への支援を放棄して先島諸島のみに補給を行うならば航空自衛隊の輸送能力で何とかできないことはありませんが、南西諸島防空の要は那覇基地にあり、併せて近傍の嘉手納基地にあります。陸上自衛隊の空輸にも輸送機は必要ですので、日本にとり、その選択肢は必要不可欠なのか、考える必要はあるでしょう。

Nimg_8606_1 UH-60Jの救難飛行が完了しました。しかし、考えてみるとUH-60Jは救難塗装から殆どこの洋上迷彩だけになりましたね、今後は航空優勢の競合地域への戦闘救難任務を如何に実施するのか、という課題も航空自衛隊につきつけられることとなるやもしれませんね。

Nimg_8760 飛行展示を終えたUH-60Jが二機ならんでいます、このあたりはそこそこ最前列の人口密度はある模様。さてさて、今気づきましたがF-2もUH-60も同じ洋上迷彩です。洋上迷彩続きの飛行展示が行われたのですが、新田原基地航空祭の主役はもう一つ、F-4です。次回の新田原基地航空祭特集では次の飛行展示を紹介することとしましょう。

北大路機関:はるな

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気象庁日本列島太平洋岸全域へ津波注意報発令 地震の発生日時: 02月06日10時12分頃

2013-02-06 15:46:19 | 北大路機関 広報

◆◆◆ソロモンM8.0地震、津波注意報発令◆◆◆

事後の情報は随時、第二北大路機関にて更新します。

http://harunakurama.blog10.fc2.com/

気象庁 地震情報(遠地地震に関する情報)

20130206102756394061012地震情報(震源・震度に関する情報)
平成25年2月6日10時27分 気象庁発表
きょう06日10時12分ころ地震がありました。
震源地は、南太平洋(南緯10.9度、東経165.1度)で、地震の規模
(マグニチュード)は8.0と推定されます。
03_03_00_20130206144156_10太平洋の広域に津波発生の可能性があります。
日本への津波の有無については現在調査中です。
震源は太平洋津波警報センター(PTWC)による。
詳しい震源の位置はサンタクルーズ諸島です。
気象庁では6日10時25分に北西太平洋津波情報を発表しています。
情報第1号  

津波注意報
平成25年 2月 6日14時41分 気象庁発表

************** 見出し ***************
津波注意報を発表しました
 北海道太平洋沿岸、東北地方太平洋沿岸、関東地方、伊豆・小笠原諸島、
 東海地方、近畿四国太平洋沿岸、宮崎県、鹿児島県東部、薩南諸島、
 沖縄県地方

************** 本文 ****************
03_03_00_20130206144156津波注意報を発表した沿岸は次のとおりです
<津波注意>
 北海道太平洋沿岸東部、北海道太平洋沿岸中部、青森県太平洋沿岸、
 岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県九十九里・外房、千葉県内房、
 伊豆諸島、小笠原諸島、静岡県、愛知県外海、三重県南部、和歌山県、
 徳島県、高知県、宮崎県、鹿児島県東部、種子島・屋久島地方、
 奄美群島・トカラ列島、沖縄本島地方、宮古島・八重山地方


*************** 解説 ***************
03_03_00_20130206144156_2<津波注意報>
高いところで0.5m程度の津波が予想されますので、注意してください

03_03_00_20130206144156_3************ 震源要素の速報 *************
[震源、規模]
きょう 6日10時12分頃地震がありました
震源地は、南太平洋(南緯10.9度、東経165.1度)で、地震の規模
(マグニチュード)は8.0と推定されます

03_03_00_20130206144156_7津波予報区名 津波警報・注意報グレード
北海道太平洋沿岸東部 津波注意報
北海道太平洋沿岸中部 津波注意報
青森県太平洋沿岸 津波注意報
岩手県 津波注意報
宮城県 津波注意報
福島県 津波注意報

03_03_00_20130206144156_4茨城県 津波注意報
千葉県九十九里・外房 津波注意報
千葉県内房 津波注意報
伊豆諸島 津波注意報
小笠原諸島 津波注意報
静岡県 津波注意報
愛知県外海 津波注意報
三重県南部 津波注意報

03_03_00_20130206144156_5和歌山県 津波注意報
徳島県 津波注意報
高知県 津波注意報
宮崎県 津波注意報

03_03_00_20130206144156_6鹿児島県東部 津波注意報
種子島・屋久島地方 津波注意報
奄美群島・トカラ列島 津波注意報
沖縄本島地方 津波注意報
宮古島・八重山地方 津波注意報

03_03_00_20130206144156_8○ 海外の津波の観測状況(13時05分現在)
 国・地域名      検潮所名         津波の高さ
 ソロモン諸島     ラタ           0.9m
 バヌアツ       ポートビラ        0.2m
 バヌアツ       ルーガンビル       0.1m
 ソロモン諸島     ホニアラ         0.1m

03_03_00_20130206144156_9
○ 防災上の留意事項

 

 津波注意報を発表している沿岸では、海岸に近寄らないでください

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中国海軍フリゲイト、東シナ海で護衛艦を射撃管制レーダー照準 外務省が中国へ厳重抗議

2013-02-05 22:48:30 | 国際・政治

◆武力行使にあたり、対水上戦闘も有り得た

 中国海軍が危険な火遊びを行いました、武力攻撃ではありませんが国際法上の武力行使にもあたり、状況によっては対水上戦闘も有り得た事態です。

Yimg_5348 先月30日、東シナ海の公海上を行動中の海上自衛隊護衛艦ゆうだち、に対し中国海軍の江衛Ⅱ型フリゲイトが3kmの距離から射撃管制レーダーにより数分間に渡り照準する事態が発生しました。江衛Ⅱ型は満載排水量で護衛艦ゆうだち、の三分の一程度の小型艦ですが、搭載している火砲や誘導弾は水上戦闘艦の実装備であり、海上自衛隊以外の国においては海軍交戦規定により自衛のための予防措置として反撃を行う規定を有する海軍もあるため、非常に危険な行為に他なりません。

Yimg_4483 水上戦闘艦には、基本的にレーダーは二種類あり、周辺の状況把握と索敵用に用いるもの、そして射撃を行うものの二種類が搭載されていますが、索敵用のものは航海レーダーとして衝突防止などの状況把握に用いるものである一方、射撃管制レーダーは水上戦闘における攻撃の一環として照準に用いられるもの。攻撃の準備ではなく、攻撃の一環として照準を行うものですので、今回の事案は射撃に至らなかっただけ、単純に艦砲を相手に向け威嚇するような甘い話ではない、ということ。

Yimg_5954 中国の行為が如何に非常識であるかを分かりやすい事例として盗撮に例えましょう、航海レーダーなどは道路を歩いているときに偶然カーテンの隙間に窓の奥に目が行ってしまった、という程度のものですが、射撃管制レーダーの操作はカーテンの隙間にカメラを向ける行為にあたり、照準を行う行動はオートフォーカスでピントを合わせ撮影出来る状態にあたります、この状況でお巡りさんが通りかかれば、撮った撮らないは兎も角として確実に職務質問と交番へ直行です。

Yimg_8663 今回の事案は国際法上でも武力攻撃には当たりませんが、国際慣習法上の武力行使にあたります。ゆうだち、は佐世保を母港とする護衛艦ですが、海上自衛隊では、今回のレーダー照準を搭載する電波受信装置により感知し、事態の重大性に鑑み、この電波情報を防衛省本省が分析、これにより間違いなく射撃管制レーダーによる照準であると判断されたことから、本日夕方の防衛大臣緊急記者会見において公表し、外務省は中国政府に対し東京の中国大使へ、また北京の日本大使館から厳重抗議を行いました。

Yimg_4227_1 護衛艦ゆうだち、に対し30日行われたのですが、加えて横須賀基地を母港とする護衛艦おおなみ艦載機であるSH-60哨戒ヘリコプターに対しても先月19日に射撃管制レーダーによる照準が行われた可能性があることも、本日発表されています。海上自衛隊の護衛艦が中国海軍フリゲイトからこのような行為を受けた海域は防衛省によれば東シナ海の公海上とのみ発表し、具体的な海域は現時点で護衛艦の行動状況に関する情報を安全保障上の観点から伏せていますが、一部報道では警戒監視任務に当たっていたというものも出されています。

Yimg_8539 SH-60哨戒ヘリコプターに対し照準が行われたのは、海上自衛隊のヘリコプターに搭載されている警報装置、これは火器管制装置等に連動する射撃管制レーダーの照準を受けた場合に危機回避行動を搭乗員に促すための警報装置が搭載されています。SH-60は乗員が飛行中に警報装置が作動したことを報告しており、おおなみ艦載機への行動に続いて、護衛艦ゆうだち、に対する今回の行動が行われた、という事になりますので、偶発的事故ではなく中国海軍が故意に行った危険な火遊びと言わざるを得ません。

Yimg_7380 連続して中国海軍が行ったこの行為は、場合によっては対水上戦闘に発展するものです。冷戦時代でもソ連海軍はこうした戦闘を仕掛けていると誤解される行為は現住に避けてきました、場合によっては今後偶発的事態を経て対水上戦闘に展開する危険もありますので、中国側の再発防止措置が必要です。ただ、今回の射撃管制レーダーの照準を感知したことは、非常に貴重な電波情報を海上自衛隊が得たことでもあり、有事の際には電波妨害に重要な情報を得ることが出来た、という事も出来るやもしれません。

北大路機関:はるな

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舞鶴地方隊舞鶴展示訓練2011詳報③ 海上自衛隊展示訓練実施部隊、日本海へ出る

2013-02-04 22:26:34 | 海上自衛隊 催事

◆ちょうかい前方に日本海の水平線が広がる

 イージス艦ちょうかい、は舞鶴基地を出港し、展示訓練部隊は西舞鶴からの参加部隊とともに狭水道を日本海へと進みました。

Mimg_6550 狭水道を日本海へ進みますが、操艦技量を高めた海上自衛隊でもどうしても狭水道での前進は時間を要します、漁船やプレジャーボートも航行している海域を抜けるわけです。展示訓練は観閲式に伴う艦隊行動と展示訓練を伴うため広い海、少なくとも若狭湾まで展開しなければ実施することはできません。

Mimg_6953 この若狭湾へ抜けるまでの狭水道は、かつて日ロ共同救難訓練を行った際にロシア艦で座礁事故があった、とその昔地元のIさんから教えてもらいました。かつて韓国練習艦隊の親善訓練に備えての出港でも韓国艦が物凄い長時間をかけて水先案内船と曳船の支援下に出港していったのも思い出すところ。

Mimg_6954 ただ、聞くところではロシアの駆逐艦や巡洋艦はかなり順調に舞鶴へ入港するとも聞きます、韓国海軍はここ15年でようやく外洋航行可能な艦が増えてきましたがまだまだ装備的には沿岸海軍から近海海軍へ脱皮を図っているところ、対してロシア海軍は船に慣れ親しみ帝政時代からの外洋海軍なのだなあ、とその話を聞いたときに思い出しました。

Mimg_6430 いろいろと展示訓練に関係ないことを書いてきていますが、展示訓練実施海域まで四時間近く移動に次ぐ移動です、四時間、各艦艇の艦長さん艇長さんの無線の挨拶や訓示などでも行われれば、と思うのですが、まあ、何もありません、出航と狭水道の航行は一番神経使うところですからね。

Mimg_6567 そんなに時間があるならばトランプでも百人一首でも花札でもやればいいではないか、と思われるかもしれませんが、風が吹いているので無理です。人生ゲームを持ち込んでもお札が飛んでしまいますし、頑張ってビリヤード台を持ち込んでも艦が動揺するので競技はは成り立ちません、いや手荷物検査でビリヤード台は持ち込めないけれども。

Mimg_6575 何の関係もないですが、縁日の出店でお馴染みのスマートボールはかつての北大西洋旅客航路などでビリヤードが航行中の船舶で使うことが出来ないので傾斜付の台でビリヤードを出来るよう工夫して生まれたものだそうです。ビリヤードと違い玉が飛ばされてから動きを止めるまでの時間が限られており、遊戯が成り立つのですね。

Mimg_6959 スマートボールに対して、似ているという印象のパチンコはその昔に紳士淑女の夜会で待合室に時間潰し用として壁に埋め込まれていた遊戯具の発展型だそうで。まあ、ますます展示訓練とは話がずれてゆくけれども、水平線上の艦艇がポツンポツンと集まっていって、これが次第に増えてゆく。

Mimg_6961 多用途支援艦に掃海艇にミサイル艇に輸送艦、気づけばかなりの艦艇が集まってきます。海上自衛隊というと印象としては護衛艦が大きいのかもしれませんが、その他の艦艇を整備しなければ制海権維持という海上自衛隊の任務は達成できない、ということ。

Mimg_6956 ・・・、そして、なんか居た。環礁に据え付けられた竹槍、沈没船のマスト、いえいえ、両方とも違う、これが潜水艦です、潜望鏡で我々を見ています、そして一番長い部分はその先端にレーダーアンテナが取り付けられています。海軍装備体系でもっとも厄介な、それは居場所が分からない脅威で、潜水艦と機雷、その片方のお出まし。

Mimg_6969 水中処分母船、今回の展示訓練参加部隊に水中処分母船はありませんでしたので、こちらは警戒艦艇、展示訓練実施海域へ民間船舶などが闖入しないよう警戒に当たっていますが、本来は機雷処分を行う海上自衛隊のダイバー部隊である水中処分隊員の母船という船です。注意を払っていると、水平線上にこうした縁の下の力持ちを見かけることもある。

Mimg_6968 乗艦しているイージス艦ちょうかい、は満載排水量9500tの大きさで10万馬力エンジンと共に日本海を進んでいます、進んでいるという事は単に移動するだけではなく艦隊行動を組むための行動の一環なのですけれども、機雷を処分する掃海艇に俊足を以て一撃離脱を図るミサイル艇に海岸への仕上げて部隊を輸送する輸送艦、みな航行のテンポや機動特性が違います。

Mimg_6580 遠くの方には海上自衛隊の艦艇に加えて海上保安庁の巡視船も見えてきました、白いのが巡視船です。こうした速力や加速性や舵の利き具合が違う艦艇を統一の艦隊行動下におく、というのも一つの技量でして、艦隊行動は海上自衛隊が旧帝国海軍の時代以来重視しているものの一つ。

Mimg_6988_2 水平線上に我が方の単縦陣とは異なる、それも水上戦闘艦を中心とした一群が薄っすらと、ほんのうっすらと見えてきました、いよいよ観閲式へ、舞鶴地方総監以下の観閲部隊がこちらへと日本海を進んでくるという情景です。はっきりと見えてくるのですが、ちょうかい、の高い上甲板からですので距離は15km以上、というところになるのでしょうか。

Mimg_6976 受閲部隊は洋上において集合したのち、機関出力を前進へと転換します、展示訓練海域は広い若狭湾へ出ましたが、実施海域は漁業などとの兼ね合いで広くはありません、より外海に出れば広いのですがそうするとその日のうちに帰れなくなります、速力を出せないなかですが徐々に陣形を組み、いよいよ舞鶴展示訓練観閲式へ、イージス艦ちょうかい、は進んでゆきます。

北大路機関:はるな

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北大路機関特集『第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報』特集全十五回総集編

2013-02-03 22:19:06 | 詳報 陸海空自衛隊関連行事
第11旅団記念行事真駒内駐屯地祭特集
 前回の掲載を以て十五回にわたる特集が完結しました、昨年六月から約半年間ありがとうございます、今回はその総集編を掲載しましょう。
◆第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報① 記念式典・指揮官巡閲
Img_99072012-06-21

第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報① 記念式典・指揮官巡閲
◆真駒内駐屯地祭2011 第一回詳報記事
http://<wbr></wbr>harunak<wbr></wbr>urama.b<wbr></wbr>log.ocn<wbr></wbr>.ne.jp/<wbr></wbr>kitaooj<wbr></wbr>i/2012/<wbr></wbr>06/post<wbr></wbr>_697e.h<wbr></wbr>tml

◆第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報② 徒歩部隊の観閲行進開始

Mimg_99862012-07-01
第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報② 徒歩部隊の観閲行進開始
◆真駒内駐屯地祭2011観閲行進開始
http://<wbr></wbr>harunak<wbr></wbr>urama.b<wbr></wbr>log.ocn<wbr></wbr>.ne.jp/<wbr></wbr>kitaooj<wbr></wbr>i/2012/<wbr></wbr>07/post<wbr></wbr>_49f4.h<wbr></wbr>tml
◆第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報③ 普通科部隊車両観閲行進
Mimg_00122012-07-11
第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報③ 普通科部隊車両観閲行進
◆第10連隊・第18連隊・第28連隊
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◆第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報④ 第11後方支援隊
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第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報④ 第11後方支援隊
◆第11旅団第11後方支援隊の観閲行進
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◆第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報⑤ 戦闘支援部隊観閲行進
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第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報⑤ 戦闘支援部隊観閲行進
◆第11旅団偵察・高射特科・施設・通信部隊
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◆第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報⑥ 北部方面直轄部隊
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第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報⑥ 北部方面直轄部隊
◆真駒内駐屯方面直轄部隊の観閲行進
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◆第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報⑦ 方面特科部隊のMLRS
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第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報⑦ 方面特科部隊のMLRS
◆第1特科団第1特科群第133特科大隊
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◆第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報⑧ 第11特科隊の観閲行進
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第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報⑧ 第11特科隊の観閲行進
◆75式自走榴弾砲、日本らしい国産の特科火砲
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◆第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報⑨ 撮影位置転換準備
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第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報⑨ 撮影位置転換準備
◆観閲行進は次回で終了、訓練展示への移動準備
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◆第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報⑩ 第11戦車大隊と第11飛行隊
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第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報⑩ 第11戦車大隊と第11飛行隊
◆轟音響かせ戦車と共に行事詳報連載再開!
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◆第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報⑪ 訓練展示状況開始!
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第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報⑪ 訓練展示状況開始!
◆偵察部隊!情報収集を開始せよ!
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◆第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報⑫ 遠距離火力戦闘展開
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第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報⑫ 遠距離火力戦闘展開
◆敵の砲兵を叩け!特科部隊射撃開始!
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◆第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報⑬ 機動打撃と戦果拡大
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第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報⑬ 機動打撃と戦果拡大
◆戦車前進!、普通科前へ!
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◆第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報⑭ 訓練展示状況終了
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第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報⑭ 訓練展示状況終了
◆じっくりと73式装甲車&96式装輪装甲車を見物
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◆第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報⑮ 旅団司令部と装備品展示
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第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報⑮ 旅団司令部と装備品展示
◆北方の護り、第11旅団
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全十五回となり非常に長い期間と途中の掲載停止を挟みましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました、次回からの新しい陸上自衛隊行事特集をお楽しみに、今後ともよろしくお願いいたします。次は、“あの”行事の紹介です。
北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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尖閣諸島防衛への一視点⑨ 有事の質的優位と平時の量的優位、多方向艦艇接近対処

2013-02-02 23:17:31 | 防衛・安全保障

◆護衛艦の中型艦重視かハイローミックスか

 尖閣諸島ですが、宮古島との間を中国艦隊が少なくない頻度で航行するようになりました。

Dimg_4534 護衛艦の新造が五年ごとの中期防衛力整備計画あたりの整備数と防衛計画の大綱が定めた長期的な防衛上必要な勢力との間で乖離しており、現状のまま推移しては将来的に護衛艦の相当厳しい延命を重ねたとしても規模の維持が難しくなるのではないか、という問題は先日の記事にて提示しています。

Dimg_4099_1 一方で海上自衛隊はかつて63隻の護衛艦部隊を度重なる防衛計画の大綱改訂と共に47隻まで定数を削減され、現在は定数を48隻とされているのですが必要数を維持できるかが未知数となっているため、一隻あたりの能力を可能な限り求めた結果、高性能ではあるのですが建造費が大きくなってしまいました。

Gimg_5131 ここで問題となるのは、自衛隊は平時任務と有事の任務があるという事で、有事の際には質的優位が勝敗を左右するのですが、平時においては量的優位が大きな脅威となるということです。海上自衛隊は量的優位を確保できない防衛大綱の制約から質的優位、即ち有事作戦にかなり重点を置いているといえるやもしれません。

Img_7507 有事の際は、彼我勢力において相手が二倍であっても、質的優位を確保していれば、各個撃破により制海権を維持することが出来ます、そして海軍機構は有事においては制海権維持こそが通商路維持や本土防衛を左右する重要な要素となるため、有事を想定する限り質的優位を捨てることはできません。

Mimg_5979 他方、平時においてはポテンシャルの誇示が海軍機構の任務です。ここでは各個撃破は先制攻撃に当たり武力紛争法に反するほか、慣習法として平時に相手を攻撃し撃沈することはできないことから量的優位が重要となります、ポテンシャルの誇示を量的優位を持つ勢力は同時多方向から実施する選択肢がありますが、質的有利量的不利においてはどんな高性能艦であっても同時に異なる二つの海域には展開できないのです。

Himg_3322 もちろん、そんな視点に対し、こちらにコメントされる方の中で強硬な意見を述べられる方の中にはさっさと撃沈して日中開戦し、空挺部隊で北京と上海を占領してしまえ、とか、海上自衛隊ならば護衛艦一隻でも分離して二方面に向かうことが出来るはず、という方がいるかもしれませんが、現実的とは言い難い。

Iimg_5441 このことから、平時に領海に接近し示威行動を行う相手に対しては、1対1でこちらも警戒艦を出さなければなりません。こうすると、質的優位に誦点を置いている海上自衛隊は、もちろん抑止力の本旨は質的優位にあるのですから選択肢としては他に取り得ないのですが、結果として相手の示威行動を許すことにもなる。

Himg_1237 かつて、地方隊に関する連載記事において、平時の領海接近への相手の示威行動を封じるポテンシャルとして、質的優位の護衛艦を維持しつつ量的優位を確保する手段に、多用途支援艦に76mm砲を搭載することで在廷的な哨戒艦として運用する、という案を出したことがありました。

Mimg_1335 加えて、平時において島嶼部へ接近する相手を追い払うとともに、ポテンシャルを誇示する手段としてミサイル艇の運用を提示したことがありました。哨戒艦は有事の際には武装が貧弱すぎ湾口防衛程度にしか使えず、ミサイル艇は航空攻撃に致命的脆弱性を有しているため沿岸部の友軍防空砲兵圏内を長時間出ることはできませんが、平時には役立つ、という事を提示しましています。

Himg_7358 このほか、現有の装備としては、掃海艇にもう少し口径の大きな機関砲と照準装置を搭載して、哨戒任務に用いる、という事もある程度は考えられるでしょう。哨戒艦としては質的に水上戦闘艦と比較できないほど不利ですが、量的優位を相手に確保されない、という点では用途はある。

Img_3619 こうした問題は、平時のポテンシャルを維持できる程度に護衛艦を建造することが出来ればよいのですが、護衛艦に質的ゆういを求める限り、例えば対潜対空対水上各装備とともにデータリンク能力を整備し、航空機搭載可能で近年増大する遠隔地での任務に対応し、射撃指揮装置や情報処理能力を盛り込むと、どうしても費用が大きくなってしまう。

Img_1280 この点で、海上自衛隊は中型護衛艦、といいつつも護衛案はつゆき型で満載排水量は4000t台に達する世界的には大型艦になるのですが、この水準の水上戦闘艦などを整備してはどうか、という考えも出てきます。シンガポール海軍のフォーミダブル級フリゲイトは満載3200t、モロッコ海軍の輸入したシグマ級コルベットなどは高度なレーダーとヘリ搭載能力をもち2000tです。

Gimg_0822 ただ、戦闘システムや電装品などの水上戦闘艦に占める費用面の割合は年々大きくなり、上記シグマ級などは必要な戦闘装備を搭載した結果一隻当たり4億ドル、むらさめ型護衛艦の建造費が650億円程度でしたし、最新の護衛艦あきづき型で建造費は750億円程度、大きさに関わらずここまで取得費用面での差が縮小しているところ。

Img_6676 逆の考え方をしたならば、これはもう一つの連載である防衛産業関連の記事とも重なるのですが、海上自衛隊へ納入される国産の大型護衛艦は、世界の水上戦闘艦における市場価格と比べれば一定の水準の価格競争力、というようなものを持っているのだ、ともいえるやもしれません。

Img_9945 そして話を戻すならば、仮に護衛艦を中型艦、とした場合でも質的優位という海上自衛隊が絶対に放棄できない要求へ対応する能力を堅持する限りにおいて、例えば7000t級の護衛艦あきづき型四隻分の建造費をもてしても、シグマ級で七隻程度、フォーミダブル級で六隻程度しか建造し確保することが出来ない可能性もあります。

Rimg_7645 上記の話を踏まえますと、いっそのこと海上自衛隊は有事の質的優位のみを堅持し、平時の抑止力は海上保安庁に任せるかいっそ断念する、という声も聞こえてくるかもしれませんが、平時のポテンシャルが破綻することで国際関係は予防外交に失敗し、有事となるのですから、戦争を誘致するようなことはすべきではないでしょう。

Img_8543m 質的優位を堅持しつつ、量的優位を確保する、財政難の下ではハイローミックスとして質的優位の護衛艦を補完する量的優位の哨戒艦やミサイル艇に掃海艇、という位置づけを平時に用いて平時と有事の任務を割り切るのか、もしくは中型艦に護衛艦を転換し現行の状況下でなんとか質的優位を崩さない量的優位を図るのか、真剣に考えてゆかねばなりません。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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平成二十四年度二月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2013.02.02・03)

2013-02-01 21:46:31 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

 北大路機関特集記事がF-35三沢配備や遠洋練習航海の記事にて遅れていますが、本日は自衛隊行事の紹介です。

Gimg_7919 自衛隊行事ですが、先週に引き続き駐屯地創設記念行事や航空祭などは行われません。また、海上自衛隊HPを見る限り艦艇寄港による一般公開も行われないようです。ただ、海上自衛隊基地の一般公開、週末行われている基地の一般公開は行われますので、こちらに足を運んでみるのもいいやもしれません。

Gimg_5485 一般公開が行われるのは、舞鶴航空基地、呉基地、佐世保基地で、舞鶴基地は護衛艦の北吸桟橋は公開されず、航空基地と海軍記念館が一般公開されます、佐世保基地は2日と3日に護衛艦いそゆき、が一般公開され、呉基地の桟橋一般公開は3日日曜日で艦艇ではなく桟橋の一般公開のみ。

Gimg_5286 一般公開の時間は決まっていますので、足を運ばれる方は地方総監部HPに公開予定が明示されています。舞鶴基地は桟橋一般公開が非常に限定的になっているのですが、訓練関係なのでしょうか、それとも積雪の関係なのですかね、このあたりが気になるところです。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

  • 海上自衛隊基地の一般公開のみ

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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