旅に出ると、思わぬ現実というか不幸を目の当たりにすることもある。最近、特に気になるのが、風水害に弱くなった森の現実や、国宝級の日本の寺社仏閣の保存の問題だ。
先日行った、奈良の旅では吉野の林業の悲惨を知った。林業の急速な国際競争力の衰えの中、有名な吉野杉も間伐ができず放置されているところが多いようで、タクシーの運転手さんに、ほら放置されているでしょう。と説明を受けたときは衝撃であった。
たまたま昨日紹介させていただいた、「ぼくの住まい論」(内田樹著)によると、木材生産額はピーク時の1980年には9674億円だったのが、2009年には1861億円に激減している。そして、林業が成り立たなくなれば放置林が増え間伐がされなくなる。そうすると、森の中の日差しが悪くなり樹木の根が弱り、風水害の時に地崩れをおこす。2011年の奈良・和歌山を襲った台風12号の影響の凄さはタクシーの運転手さんから伝え聞いた。
3.11で自分の政治への無関心さに呆然としたが、原子力行政や災害の問題だけでなく、様々なところで日本は危ない。今、夢中になっている聖地の分野でも政治は関係している。単純な金融の論理でこの世の中は成り立つわけはない。米国のデトロイトですら企業は復活しても地域は破産している。自分の問題として、選挙も近いので熟慮して一票を投じたい。また、日本の林業も応援しよう。
ひびきあう旅① 5/10