授業ネタで思い出したが、磁気モノポールも授業ネタの一つであった。
私が大学院生のころだったと思うが、後藤英一さんが雑誌「自然」に磁気モノポールのことを書いた。これはこの当時の学生に強い印象を与えたのか、電気電子工学科で同僚となった I 先生も事あるごとにこのことを話題にしておられた。
大きな長い棒磁石を黒板に描く。それを二つに切った磁石を描く。それらをまた二つに切った磁石を描く。そしてその両端にN, S, N, S・・・と書いていく。
そしてどこまでいってもN極だけ、またはS極だけの磁石はないというと不思議な感じがするらしい。また、これは実験的に見つかっていないだけで、論理的な可能性としては磁気モノポールが存在しない理由はないとつけ加える。
私が高校のころはまだ遺伝学にはルイセンコの遺伝学とメンデルの遺伝学の二つの可能性があることになっていたが、いまはメンデルの遺伝学しかないのと同じように君たちが生きている間に磁気モノポールは見つかるかもしれないと締めくくる。
(2013.7.19付記) 後藤英一さんといえば、高橋秀俊先生の高弟であり、才能豊かな人であった。パラメトロンを使ったコンピュータを発明し、磁気モノポール探しをし、晩年には数式処理に関心をもたれていた。
数式処理というのはコンピューターで、数値計算ではない、代数計算をすることである。記号代数ともいう。
彼の物理学会誌に書いた数式処理の記事によって私も数式処理に一時関心をもち、それをつかってニュートリノ素粒子反応のFeynmanグラフを計算したこともある。
その後、数式処理学会の会長を務めたE大学の同僚のNさんなどもまだ数式処理に関心をもっていなかったころのことである。
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