flow Trip -archive-

「漂い紀行 振り返り版」…私の過去の踏査ノートから… 言い伝えに秘められた歴史を訪ねて

ホテル富貴貫

2006-10-15 00:00:10 | STRUCTURE-構造物残影-
(蒲郡ふきぬき観光ホテル 愛知県蒲郡市三谷町鳶次)
 この温泉地も僧行基によって発見されたという言い伝えがある。その中でも最大規模を誇ったこの「ふきぬき」は、大正3年(1914)に開業した。高度成長時代に増改築を重ね、本館9階、宴会場館5階、ホテル館10階等6棟、延床面積6.157m2,収容数1000名を超えた。そして最盛期には年商23億円を売り上げていた。然し次第にこの温泉地自体が衰退し始め、その中でも時代と需要の規模が合致しないこのホテルは周辺宿泊施設よりも加速度的に衰退した。晩年は東京の観光業者の資本参加による支授や経営陣の交代をはかり、ホテル名も「蒲郡ふきぬき観光ホテル」に変更。中華料理人周富徳の店「広東名菜富宮」をホテル内に開店するなど再建策を行ったが、平成9年(1997)12月、2回目の不渡りを出し、経営が行き詰まり休館となった。半年の休業の後、経営を見直し再開する予定であったが、元従業員が給料の支払いを求めて提訴し、裁判所が破産宣告した。負債約30億円。不動産が競売に掛けられ、最低入札価格は9億5千6百万円と設定されたが、買手が付かず難航。その後8千万円で旧ホテル館のみ岡崎市の浄土真宗聖法寺が買い取り、旧本館は解体され、隣接するホテル松風園の駐車場となった。

今も名物であった水車風呂の石垣と、本館基礎部が遺跡のように面影を残している。






コメント (2)
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