flow Trip -archive-

「漂い紀行 振り返り版」…私の過去の踏査ノートから… 言い伝えに秘められた歴史を訪ねて

図書館を考える上で

2015-07-20 18:00:00 | 学びのやかた

 まず、これからの図書館、特に民間が行う場合は、図書館単体での運営は、全く付加価値も利益も生まないと考える。比較的近い関係にある博物館、美術館、その他文化施設との連携。さらに学校教育、職業訓練、生涯教育、福祉施設等との密接な連携および、それら施設とトータル的なマネジメントを行ってこそ、利用者に対しての新たな付加価値、限られた予算の運用が図れると考える。また、委託などといった自治体側に偏ったマネジメントはやめ、予算が安定している自治体は、自治体独自での運営を図り、負債の多い自治体は、設置、運営から所有まで全て民間が代わって行い、自治体に貸すといったことまで行うのが現状の教育文化行政において妥当であろうと感じる。そして、予算の節約目的で自治体から受託されただけの民間企業は淘汰されていくことだろう

 以前、そのまちを底辺から知るなら、駅、職安、図書館を見ればわかると言ったことがある。図書館はあまねく人を迎え入れ、全ての人に公平に情報を知る機会を与えている。しかし、きれいごとだけを言っても始まらないのである。図書館はリタイア・セミリタイアの人たちの拠り所と言っても過言ではないと思う。悶々とひたすら本を読み、ただ読書が趣味というなら未だしも、何も活かされるわけでもなく、活字しか信用できないような狭い視野となってしまうようなら、提携する職業訓練や本人に似合ったサークル等を紹介し、将来の納税につなげることが、両者にとって最善の策の一つであろうと考えます。図書館は本人自身の学習意欲を尊重すると言いますが、実は中途半端で勿体無いものと言えるであろう。学習するきっかけを得た利用者が、もう一歩誘導、方向付けをさせることが、双方のプラスになることは明らかである。図書館が他の施設と密に提携することも重要だが、図書館の中あるいは図書館員が各種教育資格を持ち、利用者のために行動をとれるようにできることが理想と言えるだろう。縦割り行政の弊害を打破するため、各種施設や教育部門等に多数の民間人を入れ、総合的に教育文化を整備する必要もあろうかと考える。また、これからの図書館は単体の持ち物の「図書館」ではなく、あらゆる教育部門の書棚・書庫であるべきと思う。

 以前、話題にしたことがある。図書館に観光案内所があればと。私が今まで訪れた46都道府県646自治体で、平日は役所へ、休日は図書館に訪れてそのまちの状況を把握しているが、その地の詳しいことが分からず、住民の方々に聞くことが多い。特に小さい自治体ほど苦労する。そこで、図書館が観光案内所を兼ねていれば、平休日問わず、そのまちのことを訪れた人のコアな要望まで所蔵している資料を使って案内することができ、そのまちの活性化につながるのではないかと、経験上感じている。名所旧跡や歴史などを観光地向きにわざわざピックアップしなくても、資料を使ってその人に合ったものをレファレンス技術で紹介できれば、訪れた人はきっと満足できるだろう。

 価値を向上させる策は、いくらでもある。

 私の考えとしては、現状では基本的に自治体業務及び公益事業は民間が請け負うものではないと考えている。(非営利組織は除く)
第一の理由として、営利換算ができないこと。売上に対する対価ではなく、入札による「契約年棒」という収入となる。数値的には安定はするが、運営予算的には余裕がない→人件費削減→従業員処遇低下→定着率の低下→職業専門性の低下につながる。そもそも、自治体は経費削減を大前提に委託させることを認識しなくてはならない。
第二の理由として、受託者:二つの顧客(自治体・市民)という構図になるため、契約の打ち切りを恐れ、毅然とした対応ができない、あるいは過剰な遠慮に陥る可能性がある。よって、本来の業務権利が減少あるいは失われる恐れがある。

 ただし、自治体が委託していない部分も合わせて受託することで、...有意義」な受託はできると考えている。第一に、自治体の委託業者との「二重組織体」を解消させれば、無駄が削減でき、受託メリットの可能性はある。
第二に、役所の代名詞ともいえる「縦割り」を、その広く新しい受託範囲組織によって連携を密にすれば、業務としての存在価値が格段に上昇するだけでなく、予算効率も上げることができる。
第三に、いわゆるハコモノ施設の所有権を民間に譲る、あるいは新規設置にあたっては、民間単体で設置させ、自治体はそれを借りるという形にする。(PFI方式の官有民営より進んだ形)それによって自治体は管理運営の負担を解消でき、民間にある程度の商業的自由を与えることによって税収、雇用を創出できる。また、同様施設を継続させることを条件に施設の転売譲渡を認めさせることで、他業者参入の機会を与える。

官民運営の方策

「自治体の民間委託について」をさらにもう少し考
えてみる。
 民間(法人)所有および設置の施設(備品・資料は自治体所有)を自治体に貸し、一定の権限を与えられた上で運営する。一定の権限というのは、自治体所有物に対しては直接干渉しない範囲で、業務の付加価値や効率化をつくりだすことに関して、自由に活動できる裁量を持つことである。また、施設の自治体への貸し出しに関して、民間が建設した単体の施設に対し自治体から賃貸料を徴収するスタイルにするのか、あるいは施設併設(または隣接)の商業施設等(ショッピングセンター・アウトレット・道の駅等)を並行運営許可および税制優遇することを条件に、社会教育施設の部分を無償貸与にする。併設施設は商業施設に限らず、関連社会教育施設や学校、社会福祉施設等の連携価値を付...加させることのできる組合わせも適当であろう。

 本来、社会教育というものは営利の天秤にかけるものではない。しかし、自治体が財政難を理由にして自治体直営を放棄するに至った場合、民間が運営できる策を考えるのは当然である。

 今、多くの自治体や受託する民間企業が行っていることは、人件費削減を理由に将来の自らの税収と利益を失っている行動であることが残念でならない。
 

 近年、図書館の業務に対する給与の低さの問題が取り沙汰されている。私は前職で業務に対する単価を算定する仕事をしていた。予め地域の最低賃金や業務内容の負荷度を踏まえた上で下限単価を決め、動作、内容、時間を計算し、この仕事に対して幾ら以上必要かを提示する仕事であった。いわゆる「一円玉を拾うには、一円以上のコストがかかる」という考えである。図書館の業務は担当内容によっても差は出てくるが、総体的にみて少なくとも時給単価は1000円は超えると判断する。しかし、実際には地域最低賃金から150円程度の間を基本時給としている。では何故その問題が解決できないのか。まず、全体を客観的に見た場合の仕事の幅にあると考える。図書館の基本業務は「管理」が主体を占める。そして、貸出・返却・予約といった業務の他に、読み聞かせ...やおはなし会、人形劇といった子ども向け活動、選書、相互貸借、書評等がある。しかし、その大部分は「管理」である。よく「無料貸本屋」と呼ばれるが、それは貸出の部分が書店で言うところの販売で、選書も取り寄せも書評も書店にはあり、業務の大きな違いはなく、故に図書館には書店関連出身者も多い。このようなことから、専門職でありながらも他の社会教育関連よりも価値が低くみられがちであり、よって給与への反映もされにくい。同じく社会教育施設である美術館には、管理と同様の業務ウェイトを占める交渉業務がある。館が企画展を行う場合、他館からの資料借用が必要となり、さらに展示のPRや図録の作成がある。次に博物館は、管理、資料交渉の他、研究業務がある。所蔵品には考古資料、歴史資料が多く含まれており、それらの研究と共に、発掘調査等に携わる場合がある。また、自然系博物館に至っては、さらなる専門的研究や動植物の飼育があって、業務の分担はされているとはいえ、明らかに業務の幅が広い。

 時代はインターネット全盛であり、誰でも情報の取得は容易となっている。自館のどこに何があるかパソコンで検索して案内する程度のやり取りでは、利用者にとって特段有り難みはなく、店員さんと間違われても仕方がない部分もあろう。もう一歩、相手に有益に繋がる程度の案内・誘導をもって、利用者にさまざまな機会を与えるべきである。前項で触れた、他社会教育施設との連携について改めて考えてみると、図書館を○○の本棚という位置づけとして、例えば教育支援センターと図書館というように、より建設的な図書館利用を図る。毎日図書館内で開講される多岐に渡った各種セミナーを、他分野経験のある図書館員、自治体職員、外部有識者等で講師を務め、資料の活用と共に学習・就業機会を多く与える。開かれる講習内容に則した図書の展示をする。いわゆるリタイア利用者が多い図書館において、その利用者の興味に近い講習案内の書かれた栞を貸出の際に本に挟み、自立・行動を促すといった活動も有効ではないだろうか。それら活動が、利用者本人の生活が潤い、いずれ税収としてまちも潤うのである。その他、学校や福祉施設と図書館をカリキュラムで組み込むことで、学校教育としてのインターンシップや身障者の活動機会提供、高齢者の学習意欲促進等、可能範囲であると考える施策は多く存在する。

 このように提供する側・受ける側にプラスとなる行動を、是非自治体ならびに受託業者は考えていただきたい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

韮山から修善寺へ

2015-07-20 00:00:00 | RODEN-哀愁のRailway-

(伊豆箱根鉄道駿豆線 静岡県伊豆の国市・伊豆市)
 韮山駅から駿豆線で修善寺に向かう。かつて伊豆半島を一周する鉄道の分岐点が計画された大仁を過ぎるとカーブとなり緩行となる。そして、間もなく終点修善寺に差し掛かる。
   

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする