素直に感動できた映画だった。ストーリーは乳がんを患い余命を悟った若妻が幼い娘に「みそ汁」の作り方を教えながら食べること・生きることの大切さを伝えようとする映画である。主演の広末涼子、滝藤賢一、そして娘役の赤松えみなの好演が光る映画である。
7月8日(金)夜、道新販売店の招待による「はなちゃんのみそ汁」の映画会が道新ホールで開催され、妻と一緒に鑑賞してきた。
映画についての予備知識はなく、若妻が癌と闘う映画程度の知識だった。(原作も、TVドラマも見ていない)
主演が広末涼子と聞いて、映画そのものにあまり期待はしなかった。というのも、広末がデビューしたころはボーイッシュな外見と清純派のイメージで好印象を持っていた。しかし、その後数々の醜聞を聞くに及んで、画面で演ずる彼女の裏側を想像してしまうとどうしても共感を持てなかった。
今回の映画でも、健気な若妻を演じる彼女に最初はどうしても引いてしまうところがあった。しかし、やはり彼女はある種の天才なのだろうか?ナチョラルに若妻を演ずる姿に自然に惹きこまれていってしまったのだ。
相手役の滝藤賢一は、その容貌そのままのちょっとコミカルな面と、その裏に潜む優しさを好演していた。特に闘病ものというどうしても暗くなりがちな画面を、彼のコミカルな演技で救った場面が何度もあった。
娘役の赤松えみなは、演技経験ゼロと言いながら、健気に娘役を好演していた。監督の阿久根知昭の指導力だろうか?
※ 映画での主人公、滝藤賢一、広末涼子、赤松えみなの三人です。
ストーリーの中で、ちょっと残念と思われた部分があった。それは、若妻・千恵(広末涼子)が乳がんを患い、摘出手術を受けた後、抗がん剤治療や民間療法で一時は完治した。
しかし、その後千恵は妊娠したことが判明する。出産には女性ホルモンが活性化し、がん再発の危険性が高いことから千恵は出産をあきらめようとする。ところが、夫(滝藤賢一)の喜びようや願い、あるいは親の期待から産むことを決心した(と私は見たのだが)のだが、その心の揺れをもう少し丁寧に描いてほしかった、という思いが残る。
というのも、出産が遠因となってがんは再発したのだから…。
※ 確かではありませんが、実話の中の安武千恵さんとはなちゃんと思われます。
だだし、千恵にとって出産はけっして後悔するものではなく、短い日々ではあったが、愛娘・はな(赤松えみな)との温かな日々、そして自らの思いを繋ぐことのできたという喜びが、彼女に「私はツイていた」とのメッセージを残させたのだから…。
闘病ものというと、どうしても暗い映画になりがちであるが、しかし涙は極力省き、前向きな明るさを失わない映画に仕上げたのは監督・阿久根知昭の力であり、思いであろう。それでもじんわりと感動できた映画だった。