映画を観終わったとき、この映画はけっして声高ではなく、静かに観客に反戦を訴える映画だと思った。日本中のどこにでもいるような主人公の浦野すずの日常を描きながら、戦争に翻弄されてしまったすずを通して、戦争のむなしさ、はかなさを静かに訴えた映画だった。
11月18日(土)午前、札幌プラザ4・5で開催されたチャリティー映画会に参加した。
この映画そのものは昨年末に公開され、評判になった映画(アニメ)と聞いて観てみようと思い立ったのだった。
公開後一年が経過したというのに、映画館はほぼ一杯になるほどで関心の高さがうかがえた。
ストーリーは、「1944年広島。18歳のすずは、顔も見たことのない若者と結婚し、生まれ育った江波から20キロメートル離れた呉へとやって来る。それまで得意な絵を描いてばかりだった彼女は、一転して一家を支える主婦に。創意工夫を凝らしながら食糧難を乗り越え、毎日の食卓を作り出す。やがて戦争は激しくなり、日本海軍の要となっている呉はアメリカ軍によるすさまじい空襲にさらされ、数多くの軍艦が燃え上がり、町並みも破壊されていく。そんな状況でも懸命に生きていくすずだったが、ついに1945年8月を迎える。」
(Yahoo映画のあらすじを拝借)
リード文でも触れたが、すずは日本中のどこにでもいるごく普通の庶民的な女の子であり、主婦だった。世の中のことにも疎く、貧しいながらも懸命に生きていた。
しかし、戦争は次第に劣勢となり、すずが暮らす街も戦火にさらされるようになり、身内が亡くなったり、すず自身も右手を失った。そして広島に原爆が落とされ、敗戦。
それまで正義の戦争と信じていたすずは、戦争というものが市井の人を殺したり、傷つけたりする暴力にすぎなかったことに気づき、怒りと悲しみを爆発させるのだった。
そのようなつらい体験を経ながらも、すずは戦争で犠牲になった人たちのためにも生き抜くことを決意する。
そして、夫周作とはいろいろあったけれど、この世界の片隅で自分を見つけてくれたことに感謝するすずだった…。
※ ポスターの前に立つ、すず役の声を担当したのんさんです。
私はこの作品の良さを十分に感じ取るだけの感性を持ち合わせているとは思っていないが、観終わった後になぜかじわーっとくるものがあった。
話題の一つとなっていたすずの声を担当したのん(能年)の声もはまり役だったように思えた。