恐竜研究者として我が国の第一線で活躍する北大の小林快次教授は「人類は100%絶滅する」と明言された。え――――っ!それはどういうこと? 本日開講された「サイエンスフォーラム in さっぽろ」における小林教授のお話に耳を傾けた。
本日午後、札幌市中央図書館で開講した「サイエンスフォーラム in さっぽろ」は「恐竜研究最新研究 in 2024」と題して、小林快次北大教授(恐竜学、北大総合博物館副館長)が講演された。
小林氏はまず、「これまでの歴史上、空間を最も支配した生物は恐竜だった」とし、その恐竜時代は2億3千年前から6千6百年前までの、およそ1億6千万年もの長い期間だったとし、恐竜が絶滅した原因は大規模な隕石の衝突が原因だとしたが、ここまでは教科書でも習う知識である。
そしてその後、小林教授から衝撃の発言「人類は100%絶滅する」という発言が飛び出した。「世界中の人が今、日本人と同じ生活スタイルをしたとき、地球3個分が必要だ」と言うのである。さらに「30年後には地球7個分が必要になってくる」とも話された。科学者から見ると、それだけ今の地球環境は危機的な状況になっていると警告したのだと受け止めた。(この問題については後述する)
さて、肝心の恐竜の話であるが、現在も生息する鳥類というのは、羽毛の生えた羽毛恐竜(獣脚類)が進化したものであり、鳥類は恐竜の仲間とも言えるということである。となると今現在も世界中には1万種ほどの恐竜類が生息しているとも言えるということだ。
そして最新研究では、鳥類の鳴き声などを研究してくるにつれ、恐竜の声帯を研究する中でも恐竜も声を出してコミュニケーション取っていた可能性が高くなってきたということだ。
恐竜学者にとっても、恐竜ファンにとっても夢のような話であるが「恐竜復活の夢」があるという。生物の復活のためにはDNAを採取することが前提だが、それは DNAの寿命が690万年程度のために難しいという。ただし、コラーゲン(アミノ酸配列)は採取することができているので全く不可能というわけではないが、現時点ではまだまだ夢の話の段階だという。
講演の後半は小林氏が恐竜の化石発掘のため、あるいは恐竜が生きた痕跡を求めて近年歩いた諸外国でのフィールドワークのことについて、興味深くお話された。
そうして諸外国を訪れ、地球を俯瞰的に見た時に、いかに地球破壊が進んでいるかということを身に沁みて実感するという。
小林氏は最後に「例え人類が絶滅することが避けられないとしても、その時期を遅らせることは私たちの努力で、いくらでも遅らせることができるはずだ。地球破壊を遅らせるために今生きている人たちが、その努力をすべきではないだろうか?」と聴衆に訴えて講演を終えた。
私たち世代は戦後の貧しい日本に生まれ、高度経済成長の中で徐々に豊かさを獲得し、経済が失速したという今も生活の豊かさへの欲求は止まず、今のような便利で快適な生活を手にすることができた。そのレベルはおそらく世界でも相当上位に位置していることは間違いない。そんな豊かさ、ある意味では贅沢な生活を見直してみるべき時期に来ていると小林氏は警告したと受け止めたい。
小林氏のお話をお聞きし、日々の生活を見直す契機としたいと思った。人類絶滅の日を少しでも遅らせるために…。