私の敬愛する作家の一人・吉村昭原作の「雪の花」の映画化です。主演の松坂桃季が熱演しますが、やや空回りのところがなかったろうか?評価は分かれるのでは?と思いますが、私の率直な感想を綴ってみます。
本映画は1月24日の全国公開を前に、HTB(北海道文化放送)が試写会を催すということで応募したところ幸いにも観賞券が送られてきたので、昨夜、ユナイテッドシネマ札幌にて実施された試写会を観させてもらった映画です。
映画は、江戸時代末期、有効な治療法がなく多くの人の命を奪ってきた痘瘡(天然痘)を克服する町医者の奮闘記です。福井藩の町医者・笠原良作(松坂桃季)は、その痘瘡に有効な「種痘(予防接種)」という予防法がオランダから伝わったことを知り、京都の蘭方医・日野鼎哉(役所広司)に教えを請い、私財を投げ打って必要な種痘の苗を福井に持ち込みました。しかし、天然痘の膿をあえて体内に植え込むという種痘の普及には、さまざまな困難が立ちはだかります。それでも良策は、妻・千穂(芳根京子)に支えられながら疫病と闘い続ける、というストーリーです。
本映画は1月24日の全国公開を前に、HTB(北海道文化放送)が試写会を催すということで応募したところ幸いにも観賞券が送られてきたので、昨夜、ユナイテッドシネマ札幌にて実施された試写会を観させてもらった映画です。
映画は、江戸時代末期、有効な治療法がなく多くの人の命を奪ってきた痘瘡(天然痘)を克服する町医者の奮闘記です。福井藩の町医者・笠原良作(松坂桃季)は、その痘瘡に有効な「種痘(予防接種)」という予防法がオランダから伝わったことを知り、京都の蘭方医・日野鼎哉(役所広司)に教えを請い、私財を投げ打って必要な種痘の苗を福井に持ち込みました。しかし、天然痘の膿をあえて体内に植え込むという種痘の普及には、さまざまな困難が立ちはだかります。それでも良策は、妻・千穂(芳根京子)に支えられながら疫病と闘い続ける、というストーリーです。
私は吉村昭の著書をかなり読んでいますが、残念ながら「雪の花」は未読です。しかし、吉村の筆致なら地方の藩の一町医者が藩主を動かし、幕府の理解を求めるという途方もない困難を克服する過程を克明に表現したに違いありません。そんな偉業を達成した笠原良作を演じた松坂桃季の演技に、原作を読んだ方々は、はたして満足したでしょうか?
松坂桃季はとても熱演していたと私には映りました。ただ、そこに町医者だった笠原良作の苦闘ぶりを十分に表現できていたか、ということになると私には、どうしても物足りなさのようなものを感じてしまったのです。もう少し苦闘に疲れ、やつれ果てた表情を見たかった思いが私には残るのです。松坂桃季ファンには申し訳ないのですが…。
一方、意外といっては失礼ですが、妻・千穂役の芳根京子です。妻として笠原を助ける芯のしっかりしたところ、笠原を心から信頼するしとやかさ、そして隠していた(?)若い頃に鍛えた武術を発揮する気丈夫さ、と見事に演じ分ける素晴らしい演技だったように思います。
そしてもはや名優に域に達した役所広司はさすがの貫禄でした。
映画としては、特に盛り上がるシーンもなく、松坂桃季にとっては難しい役どころだったかもしれませんが、彼にとっては今後俳優としての幅を一層広げる意味では励みになった一作だったかもしれません。
ストーリーが地味なだけに、大ヒットという予感はしませんが、幕末に地方の町医者が使命に燃えて、国難ともいえた天然痘を克服するために闘った医者がいたという事実をこの映画を通じて知ることには大きな意味がある映画だと思いました。