日本画家・羽生輝が住む釧路地方の岬を描く羽生の画の一枚、一枚は150号の大画面とも相まって、圧倒的な迫力で視る者に迫ってきた。絵画の鑑賞もたまにはいいかもしれない?
※ 羽生輝展のエントランスです。(水平が取れないですねぇ~)
絵画を鑑賞するということは、私が苦手とする分野の一つである。道立近代美術館の近くに住みながら、まったく地の利を生かしていないのである。だから、現在開催されている話題(?)の「フェルメール展」もとんと関心がなかった。
ところが先日、ある方から「フェルメール展」と「羽生輝展」の招待券をいただくという幸運に恵まれた。そこでせっかくのご好意を有意義とするために、私は近代美術館で開催される学芸員による「みどころ解説」を聴いてから鑑賞しようと考えた。
※ 「みどころ解説」は2階講堂で行われました。
その「羽生輝展 みどころ解説」が本日午後に開催されたので、その解説をお聴きした後に展覧会を鑑賞してきた。展覧会名「日本画家 羽生輝展 悠久の岬を望む」である。
※ 羽生輝展はこうした岬の風景の作品がかなり割合を占めていました。
「見どころ解説」では、羽生が影響を受けた人々についての紹介があった。その影響を受けた人たちとは、オランダの画家・ゴッホ、日本画家・上村松篁、釧路出身の日本画家・久本春雄、叔父で彫刻家の船越保武、そして創画会との出会いなどが羽生輝の作画に影響を与えたという。面白いと思えたエピソードは、羽生の画を見たある漁師が「あんたの画からは、魚の匂いがして来ねぇんだよなぁ」と言われた一言だという。彼はこの一言に触発され、道東の冬の寒い寒い肌を刺すような空気感を描き表すことに集中したという。
※ 150号2枚を合わせた岬の作品です。
羽生の作品で目立ったのは、展覧会名のサブテーマでも表現されている道東の岬の風景が圧倒的に多かった。それは羽生があえてごく普通に見ることのできる風景にこだわったということだ。だから釧路の代表的な風景である釧路湿原には見向きもしなかったそうだ。しかし、彼が高名になるにつれ地元から「湿原風景を描いてほしい」という要望が高まり、後年は釧路湿原の四季の風景なども手掛けている。
※ こうした浜の風景も目立ちました。
羽生の作品の多くは、リード文でも触れたように150号という大作である。学芸員によるとその大きさは畳2枚分に相当するそうだ。中にはそれを2枚並べた作品もあった。その大きな画面が視る者に一層道東の冬の寒さを感じさせる迫力があった。
「見どころ解説」を聴いたことで、一つ一つの作品をより深く視ることができたように思う。
※ 最初は忌避していた釧路湿原の風景画ですが、後年は春夏秋冬の湿原を描いた作品が展示されていました。
「フェルメール展」の方は、残念ながら関連する講演会はすでに終了している。そこで6月8日に札幌市民ギャラリーで上映される「謎の画家・フェルメール追跡」を観賞してから「フェルメール展」に出かけようと思っている。
※ 羽生輝氏の作品は全てウェブ上から拝借しました。