それは「ブラボー!」と喝采を送るに相応しい演奏だったのではないだろうか?マンドリンの繊細な音に酔った。そして管楽器が加わっても、そのバランスが絶妙だった。歴史を刻んだプレットロ ノルディコの素晴らしいコンサートだった…。
本日午後、札幌コンサートホールKitaraの大ホールにおいて「プレットロ ノルディコ」の「第30回記念定期演奏会」が開催されたので駆け付けた。入場が無料ということもあって満員に近い聴衆が入った中での演奏会となった。
楽団名の「プレットロ ノルディコ」とは、イタリア語のPlettro(爪、ピック)とNordico(北の、北国人)を組み合わせ「北国のマンドリン合奏団」という意味を込めた名称で、もともとは小樽市を中心に発足したのだが、その後幾多の変遷があり、1993年に新たに結成されたマンドリンの合奏団だという。その「プレットロ ノルディコ」が毎年定期演奏会を開催し、今回30回目の節目を迎えたということだ。
演奏会は3部に分けられて構成されていた。そこで演奏された曲目は…、
【第Ⅰ部】
◇G.ラヴィトラーノ/雪~ロマンツァとボレロ~
◇S.ファルボ=ジャングレコ/間奏曲
◇A.アマディ/海の組曲
第一楽章 ナイアーデのセレナーデ
第二楽章 オンデーナの踊り
第三楽章 シレーナの唄
第四楽章 トリトーネのフーガ
【第Ⅱ部】
◇久石譲/オーケストラストーリーズ「となりのトトロ」
1.さんぽ 2.五月の空 3.ススワタリ~お母さん
4.トトロがいた! 5.風の通り道 6.まいご 7.ネコバス
8.となりのトトロ
【第Ⅲ部】
◇鈴木静一/スペイン第二組曲
第一楽章 汽車の窓から
第二楽章 モロッコへの憧れ
第三楽章 悲しき闘牛
第四楽章 祝宴
◇鈴木静一/劇的序楽『細川ガラシャ』
【アンコール】
◇中島みゆき/糸
※ 最近の演奏会はどこでも写真撮影はNGである。この日ももちろん「演奏中の写真撮影はお控えください」というアナウンスがあった。これは「会場での撮影はご遠慮ください」という意味なのかもしれない。しかし、「演奏中の」というアナウンスを拠りどころとして演奏後の写真を一枚撮らせてもらった。その写真を掲載させていただいた。
第Ⅰ部は、弦楽器陣56人による演奏だった。マンドリンを中心とする弦楽器のみによる演奏は、繊細な音が魅力的で「これぞマンドリンオーケストラの音!」といった魅力にあふれた演奏だった。特にギターやコントラバスの音が効果的に聴こえてきて素晴らしかった。その中でも私は「間奏曲」が最も素晴らしく聴こえてきた。
第Ⅱ部は56人の弦楽器陣に11人の管楽器、パーカッションが加わっての演奏だった。さらには札幌市立北辰中学校合唱部の19人も加わった。
私は管楽器が加わることによって弦楽器の音が後方に消されてしまうのではと恐れた。(つい先日11月30日のコンサートを思い出したのだ)ところが管楽器陣の音が適度に抑えられた形で、弦楽器とよく調和している音として聴こえきた。プログラムを拝見すると、全ての曲が楽団の方によって編曲されていることが分かった。つまり、全体のボリュームを適度に調整しながら演奏されているようだったのだ。このことで、弦楽器だけの音とはまた違った魅力を感ずることができた。また、最初と最後の曲には合唱も加わったことでより効果的なステージになった。
私としては、前述したように危惧していただけに演奏後の感動は倍増した。
そうしたこともあり【第Ⅲ部】は同じく管楽器も交えた演奏だったが、あまり記憶に残るものとはならなかった。
そして最後【アンコール】は、またまた弦楽器だけで中島みゆき作曲の名曲「糸」が静かに、繊細に演奏されコンサートは閉じた。
今回はマンドリンオーケストラの魅力をたっぷりと味わえたひと時だった。
近く12月21日には、実力派の北大のチルコロ・マンドリニスティコの演奏会も控えている。聴き比べが楽しみである。