実に14年連続である。今年もまた「札響の第九」の季節がやってきた。友人と共に聴き始めて14年。今年もまた札幌交響楽団の「交響曲第9番ニ短調『合唱付き』」楽しみ、そして細やかな忘年の宴を楽しんだ4人だった…。
コンサート三連発である。この後も今月はコンサートの予定が目白押しである。私の年末はコンサートシーズンの様相を呈している。
今年の「札響の第九」は12月10日(土)と12月11日(日)の二日間の日程で開催された。私たちはいつもの通り第1日目(12/10)の17時開演のチケットを札響会員のN氏を通じて最安値(3,000円)の席を確保していただいた。
陽が落ちるのがすっかり早くなった。私が会場のKitaraに着いたのは16時半前だったのだが、辺りはすっかり黄昏れてKitaraの前のイルミネーションやKitaraの屋内の照明が鮮やかだった。
座席は昨年同様ちょうどステージを横から眺めるRA席だったが、この席がやはり昨年同様私には気に入った席となった。というのも、指揮者もまた昨年同様に広上淳一氏だった。広上氏の指揮ぶりはたいへん特徴があり、非常に軽やかであり表情も豊かなのだ。広上氏の指揮を見ていると、まるで踊るがごとく軽やかに体を動かし、顔の表情まで豊かに変え、時には親指を立てて演奏者たちにgoodサインを送ったり、満足そうに頷いたり、本当に広上氏の表情を見ているだけでも楽しい指揮ぶりなのだ。それが最も良く見られるのがRA席だったのだ。
コンサートはまず第九の前にR.ワーグナー作曲の「ジークフリート牧歌」という約15分の小曲が披露された。私にとってこの曲は聞き慣れない曲であったが、やや盛り上がりに欠ける凡庸な曲と映ったが、私の音楽的な理解力不足なのかもしれない。
休憩の15分を挟んで、本番のベートーヴェンの「交響曲第9番ニ短調『合唱付き』」である。こちらは約70分の長丁場で4楽章に分かれている。昨年私は楽章ごとにその特徴を聴き分けてみようと試みた。私にとっては精一杯の試みだったが、それなりに満足感を覚えていた。そこで今回も昨年のメモをスマホにメモして、楽章ごとに確認しながら聴くことにした。そのメモとは、次のとおりである。
第1楽章~起伏があり、打楽器が多用され、力強い印象が残った楽章だった。
第2楽章~全体に静かな印象に終始した楽章だった。
第3楽章~この楽章も終始穏やかな感じで、爆発するのをぐっと抑えている感じだった。
第4楽章~いきなり打楽器を中心とした重厚な出だしで、そこから徐々に徐々に盛り上がっていき、最後に抑えていたものを爆発させるようなエネルギーに満ちた大合唱が繰り広げられてフィナーレを迎える。
メモを確認しながら各楽章を聴いたのだが、そんなに間違ってはいないな、との思いを持ちながら今年の「第九」を聴いた。実際には70分の長丁場の曲である。上記のような数行で片づけられるものではないが、まあごく簡単に表現してみたということでである。
いずれにしても、最後の大合唱が会場に満ち溢れてフィナーレを迎え、会場内が大拍手に包まれると、演奏者たちも観客も一年のフィナーレを迎えたという気分に満ちているようだった。もちろん私も…。
高揚した気分でKitaraを後にした私たちは、Kitaraからほど近いホテルのレストランで忘年会と一応名を付けた忘年の宴を持った。昨年は自粛してアルコールも控えめにしたが、今回はアルコールが苦手な方も飲み放題に付き合ってくれたこともあり、大いに話が弾み各人が今年一年を振り返る報告をし合ったりして大いに盛り上がった。
いつまで続くか分からない私たちの「札響の第九」だが、お互いが自らの健康に気づかい一年でも長くこの催しを続けたいと思っている。