ふれあい展を覗かせていただき、数人のスタッフと会話させていただいた。その中から見えてきたのは建設産業に従事する、あるいは希望する人たちが減少しているという厳しい現実だった…。
昨日、そして本日と2日間の日程で、札幌駅前通地下歩行空間(チカホ)を会場に表記展示会が開催されていることを知り、本日野次馬精神を発揮して覗いてきた。
私は密かにまだ見たこともないような建設機械などが展示されているのではないかと期待していた部分があったが、それは地下歩道という会場などの制限があるのだろう、そうしたものは全く無くてパネル展示が主だったところはやや期待外れの思いだった。
※ ふれあい展は写真のように歩行空間の壁際にパネル展示されたものが多かった。
私はまず型枠工事業、鉄筋工事業の展示のところを覗いた。展示を見ていた人も少なかったためか、鉄筋工事に従事する会社のスタッフが私に語りかけてきたのでしばし会話を楽しんだ。そのスタッフと語り合う中で「鉄筋工事業に従事しようとする若者が少ない」ことを嘆いていた。スタッフの方の会社は現在40名ほどの鉄筋工を抱えているそうだが、今春の入社希望者はわずか一人だという。「今の若者はやはり現場作業を忌避する傾向にある」という。さらには冬場の仕事が無くなることも隘路だと語っていた。鉄筋工の業務は機械化が難しい職種でもあり、今後の人不足は深刻のようだ。鉄筋工事はビル建設ばかりでなく、橋梁やトンネルなどインフラ整備の重要な担い手でもある。さらには現在それらの老朽化による更新も我が国では課題となっている。需要の高まりが労働条件の向上に繋がり、若者たちも業界を見直すのではないか的なことをスタッフに話しかけたが、そんなことは百も承知なスタッフはため息をつくばかりだった。
※ 「型枠工事の流れ」を表示したパネルです。
続いて北海道立高等技術専門学院というブースを覗いた。道内に高等技術専門学院というのは札幌、旭川、函館など主だった8市に設置されているということを初めて知った。パネルを見ると定員が各科20名という。(札幌校の場合は建設技術科、建設設備課など5科あるようだ)私はスタッフの方に「意外に定員が少ないんですね」と語りかけると、「ところがその定員が埋まっていない現状なのです」とのことだった。入学資格は高卒者が対象ということだったが、ここでも技術職が敬遠されている実情があった。
※ 高等技術専門学院の学生が切削した木造住宅の模型です。(軸組というのですね)
事程左様に建設業界の人手不足は深刻のようだ。今後若者の人口が一段と少なくなっていく中にあって、日本の産業の空洞化が憂慮されていると聞くが、門外漢だといって看過が許されないような現実を知らされた思いである。
※ 文章とは関係ないのですが、「建築大工技能士」のコーナーに展示されていた「一級建築大工技能士 試験課題」だそうです。
野次馬根性的に出かけた「建設産業ふれあい展」だったが、思わぬ展開になってしまった。当事者的にはすでに語ることのできない私であるが、この問題に関心だけは抱き続けていきたいと思っている。