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映画 三度目の殺人 №278

2020-03-23 18:11:27 | 映画観賞・感想

 今や日本映画界の巨匠の一人と目される是枝裕和氏が原案・脚本・編集・監督を務めた法廷サスペンス映画である。やや凝り過ぎた感がないでもないが、弁護士役・福山雅治と殺人犯役・役所広司の迫真の演技が見物である。

        

 

 映画「三度目の殺人」(2017年制作)は2018年の日本アカデミー賞作品賞の最優秀賞を受賞した作品である。同時にこの映画では監督賞(是枝裕和)、脚本賞(是枝裕和)、助演男優賞(役所広司)、助演女優賞(広瀬すず)、編集賞(是枝裕和)のそれぞれの部門でも最優秀賞を獲得している。

 映画は、解雇された工場の社長を殺害して死体に火をつけた容疑で起訴された三隅高司(役所広司)を、裁判で勝つことだけを至上命題とする弁護士・重盛朋章(福山雅治)が三隅の弁護を受け持ったところから始まる。供述がコロコロと変わる三隅に翻弄される重盛だが、そのあたりから重盛と三隅の心理戦は展開される。そこに殺された社長の娘の山中咲江(広瀬すず)が絡んでくるのだ。

       

       ※ 裁判で証言台に立つ山中咲江(広瀬すず)です。

 この映画の鍵は、三隅の殺人は2回目なのにも関わらず、題名が“三度目の”となっている点である。つまり、三隅は自分自身を裁判において死刑に処せられることによって三度目の殺人を果たそうとしたのではないか、という暗示が三隅と重盛の接見室でのアクリル板越しに演じた迫真の対決にあったと見たのだが…。

   

   ※ 接見室のアクリル板越しに対峙する重盛(福山)と三隅(役所)です。

 ただ映画を観ていた私には、そのあたりの二人の心理的なやり取りを推し量る洞察力に欠けていたからか、なんとなくモヤモヤ感を残したまま観終えてしまった。

 それまで是枝監督は、「そして父になる」、「海街diary」など家族愛や、家族間に生起する機微などを描いて高い評価を得てきたが、新境地を開拓しようとした作品だったようだ。そのこともあってだろうか?やや凝り過ぎたきらいはなかったろうか?いや、多くの賞を獲得したことから、専門家筋からは高い評価を得たのだろう。しかし、私のような者にとっては、一見しただけではその良さ、監督のねらいを感得することができなかったことを正直に吐露したい。

    

    ※ 左からこの映画の主要な是枝監督、福山雅治、役所広司の三人です。

 サスペンス映画として見たとき、結末がどうなるのかとヒヤヒヤしながら見守ったのだが、なんとなくモヤモヤ感が残ったままTHE ENDを迎えてしまった。そう思ったのは、私だけだったのだろうか??



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