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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

映画  グリーン 森を追われたオランウータン №380

2024-09-25 16:59:37 | 映画観賞・感想
 かなり衝撃的なドキュメンタリーである。一切のナレーション無しでインドネシアのスマトラ島に棲むオランウータンが森林伐採のために森を追われた悲劇を追うドキュメンタリーである。

       

 昨日(9月17日)午前、エルプラザで開催された「エルプラシネマ」に参加した。「エルプラシネマ」では主として環境問題に関連する映像資料を視聴するのだが、今回取り上げられたのがタイトルにもある「グリーン 森を追われたオランウータン」である。

  
  ※ 保護されたがぐったりとして横になるグリーン
    
 映画は、インドネシアのスマトラ島に棲むオランウータン。名前は保護した施設の職員が「グリーン」と名付けた。森を追われたグリーンは、目に生気がなく、ぐったりとベッドに体を横たえている。インドネシアではパーム油製造のため、森林伐採が進んでいてパーム油の原料となるアブラヤシを植えるために森林を切り倒しプランテーションを建設している。次第に衰弱していくグリーンの姿と共に現れるのは森林開発の様子である。チェンソーで木を次々となぎ倒し、森を燃やす人間たち…。その様子をナレーション無しで淡々と撮り続けたフィルムを私たちは見た。

  
  ※ 深い密林をブルドーザーで容赦なく樹々をなぎ倒しているシーンです。

 結局グリーンは救助した施設の職員たちの懸命の看護もむなしく亡くなってしまい、映画は終わる。その間、一切のナレーションが無かったのは、むしろ非常に効果的だった。一緒に映画に見入った人たちは一声も発することなく、それぞれの中でグリーンのこと、森林伐採のこと、あるいはパーム油の恩恵にあずかっている日々の生活のこと、等々をそれぞれの中で反芻していたに違いない。
 帰宅して「パーム油」について少し調べてみた。それによると、パーム油はアブラヤシの果実から得られる植物油である。そのパーム油は、食用油をはじめとして、マーガリン、ショートニング、石鹸などの原料として利用されているほか、近年ではバイオディーゼルエンジンや火力発電、バイオマス発電の燃料などとしても利用されているとのことで、世界で最も生産されている植物油だという。ということは、私たちの日常の生活にも深く関わっているということである。

  
  ※ 密林はこうして丸裸らされ、アブラヤシの農園へと変身していきました。

 スマトラ島の密林の中ではオランウータンばかりでなく、たくさんの種類の動物たちが生息しているところも映像は映し出していた。
 それらが生息している密林をブルドーザーがなぎ倒し、はては焼き尽くし、広大なアブラヤシの農園へと変貌していく。
 その様を見せつけられて、私は複雑な思いにとらわれざるを得なかった。私たちの生活を便利に、そして豊かにしてくれている「パーム油」を一様に否定することはできないという思いもある。しかし、無秩序に、あるいは生産第一のために自然界の動物たちを一様に犠牲にしている現実を顧みることもまた必要ではないか、という思いもある。
 自然との共生……、むずしい問題ではあるが、どこかで私たちは人間第一の思想からの脱却を進めねばならない時期に来ているのではないだろうか、という思いを抱かせてくれた映画「グリーン」だった…。


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