「エアーフォースワン」…、言わずと知れたアメリカ大統領専用機のことである。そのエアーフォースワンがハイジャックされ、大統領自らがハイジャック犯とスリリングな戦いを繰り広げるという奇想天外なストーリーである。
コロナ禍は私をますます家の中に閉じ込める。今日もアウトドアへと思いながらもその思いを果たせなかった。そんな私は毎度のことのようにB Sプレミアムで放送され、撮り貯めておいた映画番組を視聴するくらいしか楽しみはない。
今回は7月5日放送された「エアーフォースワン」を取り上げることにする。映画は1997(平成9)年にアメリカで制作されたものである。ストーリーはリード文でも触れたが、大統領専用機(エアーフォースワン)がハイジャックされるという奇想天外というか、あり得ない話だと私は思うのだが…。大統領専用機というと、そのセキュリティはおそらく人類が考え得る最高機密となっているはずで、それが簡単にハイジャックされるというところが、いかにもエンターテインメントに徹していることが伺える。
※ ハイジャック犯のリーダーイワン役を務めたゲイリー・オールドマン
私が興味を抱いたのは、エアーフォースワンの豪華さであり、さらにはセキュリティの厳重なことだった。大統領専用機は、もちろん大統領の執務室があり、会議室や随行員が執務できる部屋も完備しているが、もしもの時に備え武器も装備されていることに驚いた。さらに驚いたことは、もしものときに備え緊急脱出用の「脱出ポッド」を備えていたことだ。最後の最後まで国の最高権力者である大統領を護ろうという思想が見て取れた。
※ エアーフォースワンには、大統領の妻子も同乗していてハイジャック犯から脅された。
大統領役を演じたハリソン・フォードはこの時55歳。まだまだ若き大統領である。絶体絶命のピンチに陥りながらも「脱出ポッド」はダミーとして投下し、自らは専用機に残ってハイジャック犯たちと戦うことを選択する。
大統領が直接ハイジャック犯と戦うということもあり得ない話だと思うが、エンターテイメントとしては面白い設定である。組織化されたハイジャック犯との手に汗握る飛行機内での戦い。あるいは飛行機内の大統領と、アメリカ国内のホワイトハウスに陣取る副大統領(グレン・クローズ)ら首脳たちとの緊迫したやり取りなど、いわゆる「パニック映画」としてはとても楽しめた映画だった。
※ 副大統領役を務めたグレン・クローズです。
しかし、何度も言うがアメリカの大統領専用機がそう易々とハイジャックされるほどセキュリティが甘いとはとても思えない。日本の首相専用機だって同様だろう。ただ、エンターテイメント映画としては、それでも「もしも」を想定してこのような映画を創るのだろうなぁ、と思った。