何ともいえない不思議な感覚だった。3人の音の重なりが妙に心地良いのだ。それは一種の “トランス感覚” だという。北海道博物館でのマレウレウ(MAREWREW)のコンサートを楽しんだ。
※ ウェブ上から借用したマレウレウの三人です。
昨日(10月29日)午後、北海道博物館の記念ホールで開催された「アイヌ音楽ライブ マレウレウコンサート」を聴いた。
マレウレウは、アイヌの伝統歌 “ウポポ” を現代に蘇らせた女性ボーカルグループである。マレウレウとはアイヌ語で「蝶」を意味するという。発足当初は4人のグループだったそうだが、現在は一人が休まれていて3人(REKPO、HISAE、MAYUNKIKI)が登場しておよそ1時間にわたってさまざまな “ウポポ” を聴かせてくれた。
※ ステージ上の3人の写真を最後に撮らせてもらいました。
彼女らの歌の特徴は「ウコウク」という独特の輪唱形式の歌が多いことだ。彼女らが紡ぎ出す歌声はアイヌの伝統歌独特のどこか物悲しいメロディーと共に、輪唱形式による音の重なりによって妙に心に響いてくるのだ。
さらに彼女らも言っていたが、博物館の天井の高い記念ホールの会場がどこの会場よりも歌声が響いてくるという。そうした状況の中で私たち聴衆は一種の “トランス状態” に陥っていたらしい。不思議な感覚だった。
※ 会場の記念ホールの天井の高さを撮ったものです。
彼女たちは敢えて(?)自己紹介はしなかった。だから私は誰が誰なのか特定できないままコンサートを聴いていたことになる。彼女らの過去の活動を見てみると、海外でも演奏活動をし、12月には四国公演も予定されているなど、今やその世界では相当に有名な存在であるというプライドがそうさせたのかもしれない。
コンサートでは二人の方がアイヌの伝統楽器の “ムックリ” の演奏も披露してくれたが、さすがにプロである。“ムックリ” の演奏もまた、特別感のある演奏に聴こえてきた。
残念だったのは、彼女らが披露した歌が何という題の歌だったのか、ほとんど理解できぬままだったことだ。(題名の紹介はあったのだが、メモできぬままだった…)アイヌ語をまったく解しない私にとっては、彼女らが披露する歌がどれも同じように聴こえてきたところがちょっと残念な点だった。
※ コンサートの最後は聴衆も輪になって彼女らの歌声をバックに踊りました。
しかし、アイヌの伝統がそうであるように無伴奏で聴衆を魅了する歌声を披露する「マレウレウ」の三人に感嘆の拍手を送った私だった。