周囲9.6キロの大島(4つある中島の中で最大の島)をおよそ3/4周するコースである。ちょっとした軽登山と、島の外周を巡る長いコースだった。途中風倒木に悩まされたが、それがまたコース名の「探検」に相応しいものとなった。

5月3日、「財田・田園と湖畔を巡るコース」に続いて、洞爺湖に浮かぶ「中島一周探検コース」(7.6キロ)を歩いた。
中島に渡るには遊覧船を利用しなければならない。(往復1,420円 割引制度有)私はひと時観光客の一人になったが、一人だけウォーキングスタイルのために周りから浮いたような存在だった。

※ 洞爺湖遊覧船で有名な西洋の城を模したような「エスポワール号」です。私は帰りの便で乗りました。

※ 遊覧船上から見た羊蹄山です。羊蹄山はどこから見ても存在感十分で、まさに「蝦夷富士」の名がぴったりです。
ところで、私は今回の洞爺湖畔フットパスを実施するにあたって、洞爺湖町役場の観光課に問い合わせていた。一部のコースが「夏期のみ利用可(5月~10月)」となっていたので5月早々では若干の不安があったからだ。
すると担当のスタッフから「中島コースは風倒木があるため一周できません」との回答だった。そこで私は昨年の「四十山コース」での体験を持ち出し、「倒木を避けるようにすると進めるのではないか?」と問うた。すると「担当としては歩くことができますとは言えません」ということで、そこにある種のニュアンスを感じ取った。
そこで、私の出した結論はけっして褒められるものではないが、昨年の体験もあり大丈夫と判断し、一周に挑むことにしてスタートしたのだった。

※ 中島の桟橋を降りたらすぐにある「森林博物館」です。私は時間がなくて訪問できませんでした。
中島の桟橋に着くと、すぐ目の前に「森林博物館」や売店の建物が建てられた小さな広場が広がっていた。森林博物館はフットパスを終えた後、時間があったら訪れることにして直ぐにフットパスのスタートを切った。
コースの入口には何故かゲートが取り付けられていた。シカ対策のためだと思われるのだが、今一つその目的を私は理解できなかった。

※ 森林博物館のすぐそばに「ゲート入口」があり、そのゲートを開けて遊歩道に入ります。
ゲートの中に入ると、ウッドチップが敷き詰められた立派な遊歩道が広がっていた。遊歩道の周りはエゾマツ、トドマツの類が林立する空間で、時折りカラマツも散見された。
「あれっ?」と思ったことがあった。それは林間にまったく緑が見えなかったことだ。普通は春を迎えると、林間には一斉に雑草が芽生えるはずなのだが…。
そう思いながらさらに登っていくと、鮮やかな緑が一面に広がっている光景に出会った。「フッキソウ(富貴草)」の群落である。よく観察すると、フッキソウは林間の中で陽が当たるところに密生していた。しかし、その他の雑草類は一切目にすることがなかった。

※ スタート直後の遊歩道ですが、マツの木以外の下草などの雑草が見当たりません。

※ そんな中、日当たりの良いところにフッキソウが生えていて、ちょうど白い花を付けていました。

※ そして日当たりの良いところではご覧のようにフッキソウが繁茂していました。
洞爺湖の中島は、エゾシカが異常繁殖して島内の雑草だけではなく、木々の皮までがエゾシカの被害に遭っていると聞いていた。確かに遊歩道の周りはエゾシカの食害で寒々とした光景が広がっていたが、それだけにフッキソウの青々とした光景は異常に映った。調べてみると、どうやらエゾシカはフッキソウを苦手としているらしかった。

※ 遊歩道の両側、フッキソウ以外の山野草は見当たりません。
上り道は続いた。中島には東山、西山、北山と三つの山があるようだが、遊歩道はその三つの山を縫うように造られていた。上り道を上り詰めたところに「大平原」と称して木がまったく生えていない広場のようなところに出た。以前は木々が生えていたようだが、何らかの理由で木々が枯れてしまい大きな平原になったという。

※ 山を上り詰めたところに、このような平原が広がっていました。

※ 遊歩道上では風倒木の整理がされているようです。木の切り口を見ると、明らかに今年になってからチェンソーで切られた跡です。
さらに遊歩道を上がる続けたところに、突然「この先立ち入り禁止」という表示があり、ロープが張られていた。
そして遊歩道から少し目を上方に向けると、洞爺湖の中島の御神木と崇められたアカエゾマツが倒れているのが目に入った。
傍へ行ってみると、立て看板があり、そこには
巨木「洞爺湖・中島のアカエゾマツ」は、樹高31メートル、幹周399センチメートルを有し、推定樹齢350~400年、威風堂々たるその姿から洞爺湖中島の御神木として、古くから地元の人たちに親しまれ、敬われてきました。
2000年(平成12年)、このアカエゾマツは、国有林野の代表的な巨樹・巨木「森の巨人たち100選」の1つとして選ばれ、洞爺湖中島のシンボルとしてその勇壮な姿を見せてくれましたが、2004年(平成16年)9月8日、台風18号の強風により倒れました。
2005年(平成17年)9月、巨木アカエゾマツの再生を願い、「北海道巨樹・巨木サミット」を開催し、このアカエゾマツのクローン木を植栽しました。
ということが説明書きされていた。

※ ちょっと大木には見えませんが、横たわっているのがアカエゾマツの倒木です。

※ その倒木の傍に、クローンのアカエゾマツが網に囲われて育成されていました。
さあ、ここからは私自身の責任ということでロープを跨がせていただき、さらにその先へと歩を進めた。
コースはそこから湖岸に向かって下り道となった。これまでのように遊歩道にウッドチップが敷かれていることもなく、登山道のような道が続いていた。
途中、何か所か倒木が道を塞いでいるところがあったが、特に問題なく倒木を避けながら通ることができた。

※ 申し訳ありません。このロープを跨いで前へ進ませていただきました。

※ この程度の倒木は想定の範囲内だったのですが…。
そしてちょうど遊覧船を降りた地点とはまったく反対側の、島の北東湖岸に出た。そこは午前中に歩いた洞爺湖町の財田地区に面するところでもあった。だから、またまた水上バイクにもお目にかかることにもなった。
ここからは遊覧船を降りた桟橋があるところに向かって湖岸をひたすら歩くウォーキングが始まった。そのコースは島と湖の境目ギリギリに造られた遊歩道で、昨秋落ちた枯葉が一面を覆いつくす道だった。
イラストマップでも特別の説明はなく、エゾシカのイラストが描かれてはいたのだが、一頭にエゾシカにも出会うことなく単調なウォークが続いた。

※ 湖岸に出てからの遊歩道です。

※ 湖岸の遊歩道もさまざまな表情を見せ、ご覧のような厳しいところもありました。
このままゴールできるのかな?と思い始めたとき、この日の最難関が待っていた。
これまでは倒木といっても1~2本の倒木が道を塞ぐくらいで難なく通過できていたのだが、ここで出会った倒木は5~6本が束になって倒れていた。しかも、行く手の右手は険しい崖、左手は直接湖に落ち込んでいて、避けるところがない。まったく向こう側も見えないくらいに倒木やその枝が行く手を遮っていた。
はてどうしようかと思ったが、ここまで来て引き返すという選択はない。私は木の枝が空いているところをかき分けながら進むことにした。いやはや大変な難行苦行であった。これだと役場担当者が「一周はできません」というのも分かる気がした。

※ いやはや、まさに想定外です。右にも左にも避けることができません。私はこの倒木と格闘しながらなんとか抜けることができました。

※ 倒木との戦いを終えて、振り返って撮った一枚です。
なんとか難所を潜り抜け、ゴールを目ざした。
ゴールにかなり近づいたときだった。右手の林の中に網で囲まれた一角があった。どうやらエゾシカの食害調査をしているエリアのようだった。囲いの中を見ると、そこには木と共に、クマザサが茂り、雑草が生えていた。ということは、エゾシカはあの固いクマザサまで食料として食べ尽してしまったということのようだ。

※ 網で囲んでエゾシカの食害調査をしているところだと思われます。

※ 囲いの中はご覧のようにクマザサや雑草が育っていました。
結局、この日私は中島のエゾシカに逢いたいと思っていたのだが、逢えずじまいだった。食料が少なくなった中島でエゾシカたちはどこで生き延びているのだろうか?
所要時間2時間20分を要して、中島一周探検コースの探検を終えたのだった。

5月3日、「財田・田園と湖畔を巡るコース」に続いて、洞爺湖に浮かぶ「中島一周探検コース」(7.6キロ)を歩いた。
中島に渡るには遊覧船を利用しなければならない。(往復1,420円 割引制度有)私はひと時観光客の一人になったが、一人だけウォーキングスタイルのために周りから浮いたような存在だった。

※ 洞爺湖遊覧船で有名な西洋の城を模したような「エスポワール号」です。私は帰りの便で乗りました。

※ 遊覧船上から見た羊蹄山です。羊蹄山はどこから見ても存在感十分で、まさに「蝦夷富士」の名がぴったりです。
ところで、私は今回の洞爺湖畔フットパスを実施するにあたって、洞爺湖町役場の観光課に問い合わせていた。一部のコースが「夏期のみ利用可(5月~10月)」となっていたので5月早々では若干の不安があったからだ。
すると担当のスタッフから「中島コースは風倒木があるため一周できません」との回答だった。そこで私は昨年の「四十山コース」での体験を持ち出し、「倒木を避けるようにすると進めるのではないか?」と問うた。すると「担当としては歩くことができますとは言えません」ということで、そこにある種のニュアンスを感じ取った。
そこで、私の出した結論はけっして褒められるものではないが、昨年の体験もあり大丈夫と判断し、一周に挑むことにしてスタートしたのだった。

※ 中島の桟橋を降りたらすぐにある「森林博物館」です。私は時間がなくて訪問できませんでした。
中島の桟橋に着くと、すぐ目の前に「森林博物館」や売店の建物が建てられた小さな広場が広がっていた。森林博物館はフットパスを終えた後、時間があったら訪れることにして直ぐにフットパスのスタートを切った。
コースの入口には何故かゲートが取り付けられていた。シカ対策のためだと思われるのだが、今一つその目的を私は理解できなかった。

※ 森林博物館のすぐそばに「ゲート入口」があり、そのゲートを開けて遊歩道に入ります。
ゲートの中に入ると、ウッドチップが敷き詰められた立派な遊歩道が広がっていた。遊歩道の周りはエゾマツ、トドマツの類が林立する空間で、時折りカラマツも散見された。
「あれっ?」と思ったことがあった。それは林間にまったく緑が見えなかったことだ。普通は春を迎えると、林間には一斉に雑草が芽生えるはずなのだが…。
そう思いながらさらに登っていくと、鮮やかな緑が一面に広がっている光景に出会った。「フッキソウ(富貴草)」の群落である。よく観察すると、フッキソウは林間の中で陽が当たるところに密生していた。しかし、その他の雑草類は一切目にすることがなかった。

※ スタート直後の遊歩道ですが、マツの木以外の下草などの雑草が見当たりません。

※ そんな中、日当たりの良いところにフッキソウが生えていて、ちょうど白い花を付けていました。

※ そして日当たりの良いところではご覧のようにフッキソウが繁茂していました。
洞爺湖の中島は、エゾシカが異常繁殖して島内の雑草だけではなく、木々の皮までがエゾシカの被害に遭っていると聞いていた。確かに遊歩道の周りはエゾシカの食害で寒々とした光景が広がっていたが、それだけにフッキソウの青々とした光景は異常に映った。調べてみると、どうやらエゾシカはフッキソウを苦手としているらしかった。

※ 遊歩道の両側、フッキソウ以外の山野草は見当たりません。
上り道は続いた。中島には東山、西山、北山と三つの山があるようだが、遊歩道はその三つの山を縫うように造られていた。上り道を上り詰めたところに「大平原」と称して木がまったく生えていない広場のようなところに出た。以前は木々が生えていたようだが、何らかの理由で木々が枯れてしまい大きな平原になったという。

※ 山を上り詰めたところに、このような平原が広がっていました。

※ 遊歩道上では風倒木の整理がされているようです。木の切り口を見ると、明らかに今年になってからチェンソーで切られた跡です。
さらに遊歩道を上がる続けたところに、突然「この先立ち入り禁止」という表示があり、ロープが張られていた。
そして遊歩道から少し目を上方に向けると、洞爺湖の中島の御神木と崇められたアカエゾマツが倒れているのが目に入った。
傍へ行ってみると、立て看板があり、そこには
巨木「洞爺湖・中島のアカエゾマツ」は、樹高31メートル、幹周399センチメートルを有し、推定樹齢350~400年、威風堂々たるその姿から洞爺湖中島の御神木として、古くから地元の人たちに親しまれ、敬われてきました。
2000年(平成12年)、このアカエゾマツは、国有林野の代表的な巨樹・巨木「森の巨人たち100選」の1つとして選ばれ、洞爺湖中島のシンボルとしてその勇壮な姿を見せてくれましたが、2004年(平成16年)9月8日、台風18号の強風により倒れました。
2005年(平成17年)9月、巨木アカエゾマツの再生を願い、「北海道巨樹・巨木サミット」を開催し、このアカエゾマツのクローン木を植栽しました。
ということが説明書きされていた。

※ ちょっと大木には見えませんが、横たわっているのがアカエゾマツの倒木です。

※ その倒木の傍に、クローンのアカエゾマツが網に囲われて育成されていました。
さあ、ここからは私自身の責任ということでロープを跨がせていただき、さらにその先へと歩を進めた。
コースはそこから湖岸に向かって下り道となった。これまでのように遊歩道にウッドチップが敷かれていることもなく、登山道のような道が続いていた。
途中、何か所か倒木が道を塞いでいるところがあったが、特に問題なく倒木を避けながら通ることができた。

※ 申し訳ありません。このロープを跨いで前へ進ませていただきました。

※ この程度の倒木は想定の範囲内だったのですが…。
そしてちょうど遊覧船を降りた地点とはまったく反対側の、島の北東湖岸に出た。そこは午前中に歩いた洞爺湖町の財田地区に面するところでもあった。だから、またまた水上バイクにもお目にかかることにもなった。
ここからは遊覧船を降りた桟橋があるところに向かって湖岸をひたすら歩くウォーキングが始まった。そのコースは島と湖の境目ギリギリに造られた遊歩道で、昨秋落ちた枯葉が一面を覆いつくす道だった。
イラストマップでも特別の説明はなく、エゾシカのイラストが描かれてはいたのだが、一頭にエゾシカにも出会うことなく単調なウォークが続いた。

※ 湖岸に出てからの遊歩道です。

※ 湖岸の遊歩道もさまざまな表情を見せ、ご覧のような厳しいところもありました。
このままゴールできるのかな?と思い始めたとき、この日の最難関が待っていた。
これまでは倒木といっても1~2本の倒木が道を塞ぐくらいで難なく通過できていたのだが、ここで出会った倒木は5~6本が束になって倒れていた。しかも、行く手の右手は険しい崖、左手は直接湖に落ち込んでいて、避けるところがない。まったく向こう側も見えないくらいに倒木やその枝が行く手を遮っていた。
はてどうしようかと思ったが、ここまで来て引き返すという選択はない。私は木の枝が空いているところをかき分けながら進むことにした。いやはや大変な難行苦行であった。これだと役場担当者が「一周はできません」というのも分かる気がした。

※ いやはや、まさに想定外です。右にも左にも避けることができません。私はこの倒木と格闘しながらなんとか抜けることができました。

※ 倒木との戦いを終えて、振り返って撮った一枚です。
なんとか難所を潜り抜け、ゴールを目ざした。
ゴールにかなり近づいたときだった。右手の林の中に網で囲まれた一角があった。どうやらエゾシカの食害調査をしているエリアのようだった。囲いの中を見ると、そこには木と共に、クマザサが茂り、雑草が生えていた。ということは、エゾシカはあの固いクマザサまで食料として食べ尽してしまったということのようだ。

※ 網で囲んでエゾシカの食害調査をしているところだと思われます。

※ 囲いの中はご覧のようにクマザサや雑草が育っていました。
結局、この日私は中島のエゾシカに逢いたいと思っていたのだが、逢えずじまいだった。食料が少なくなった中島でエゾシカたちはどこで生き延びているのだろうか?
所要時間2時間20分を要して、中島一周探検コースの探検を終えたのだった。