
今日(5月17日)午後、札幌大学の公開講座(といっても、一般の札幌大生と共に受講する講座であるが)「地域創生入門」の第5講があった。
この日のテーマは「私が描く地域創生」と題して、札幌大学の本田優子教授が講師を務めた。
本田氏は「地域創生入門」を受講する札大生に対して、地域の創生を考えるキーワードとして次の三つを提示した。
◇「他人ごと」ではなく、「自分ごと」として
◇「傍観者」ではなく、「当事者」として
◇「評論」するのではなく、「実践」する姿勢で
このように学生に語りかけた後、氏が実践している二つのことについて語った。

その二つとは…。
一つは、氏の専門でもあるアイヌ民族に関わって、アイヌ民族の子弟に大学進学の支援をすることと、自民族の文化を学ぶ場を作ることを目的に、「ウレシ(小文字)パ・プロジェクト」を大学内に起ち上げ、成果を挙げつつあるという取り組みについて語ってくれた。
そしてもう一つは、北海道の観光振興のために、アジアからの留学生をスキーインストラクターに育て上げ、インバウンド観光の定着を目ざす「おもてなしスノーレンジャー」という取り組みを北海道運輸局と連携して取り組み始めたという実践が語られた。

※ インストラクターを目ざすアジアからの留学生たちです。
両方ともに、本田氏は自ら動き、他を説得し、他を巻き込んで、大きなうねりを創り出すことに成功している。
特に、アイヌ民族については、大学卒業後、アイヌ民族の人たちが生活する平取町二風谷で11年間も暮らしたというから、なまじの研究者ではない。性根が入っているのだ。
だから語る言葉も自然に熱を帯びていた。
氏の専門であるアイヌ民族の研究については、別の機会にもっと専門的に聴かせていただく機会がありそうなので、詳しいレポはそれを待つことにする。
今回の二つの取り組みを聞いていて、氏は単に行動するだけではなく、その構想力、そしてその思いを展開する力に優れている方だと感じた。
先に、他を巻き込むと記したが、「おもてなしレンジャー」では、北海道運輸局をはじめ、官民の多くを巻き込み、成果を挙げている。
また「ウレシパ・プロジェクト」では、「ウレシパ・カンパニー制度」というものを作り、現在道内の27の企業から協賛を得ているそうだ。(27は中核企業と称していたので、その他にも協力企業があるのかもしれない)
本田氏の指導で、札大生の中から地域に貢献できる若者が育っていくことを期待したい。
ところで、この講義では思わぬ副産物を私にもたらしてくれた。
講義前に私の携帯に「札幌大学の公開講座に来ています。いらっしゃいますか?」というメールが入った。
実は、私の新任教師時代に下宿をしていたお宅の息子さんが北海道運輸局に勤めているのは以前から知っていたが、なかなか会えないでいた。その彼からのメールだった。
調べてみると、彼は本田氏が語った「おもてなしスノーレンジャー」の運輸局側のチーフを務めているようだ。
そして関係者が起ち上げた「NPO法人 おもてなしスノーレンジャー」の副理事長もつとめられているようだ。
講義後、彼の中学卒業以来だから実に40年ぶりの再会となったのだった。

※ 私の古くからの知人で、北海道運輸局側のチーフを務める安田稔幸氏です。