観て来ました。
もうほとんどの人はあらすじをご存知でしょうから、結末を知りたくない人は読まないでくださいとかいうことは言いませんので、悪しからず。
2時間を超える上映時間でしたが、少しも飽きることなく、眠くなることもなく、最後まで引き付けられ、余韻に浸ってきました。
結論から言うと、とても爽やかな映画でした。時代劇の映画に対して「爽やか」というのはなんか少しそぐわない感じがしないでもないですが、やはり「爽やか」という言葉が相応しいと思います。
木村拓哉にすれば、初めての本格的な時代劇に挑戦した映画ですが、あの木村拓哉が東北弁(鶴岡弁?)をしゃべるのはどうかなあという思いはあったのですが、その件についてはすんなりと感情移入ができたかなと思います。
毒にあたって、病床に伏す木村拓哉の表情は、これがあの木村拓哉かと思うほど変わっていて(メイクの効用もあるのでしょうが)、鬼気迫るものがありました(大袈裟ですか?)。
また、奥さん役の壇れいにしても元宝塚歌劇団主演娘役で、これが映画初出演だそうですが、なかなかいい若奥方役を演じていたと思います。
そして何より、中間(ちゅうげん)役の笹野高史がいい。二人を子どもの頃から知っているという設定であるが、なんとも渋くていい演技、脇役として若夫婦を支えている。この人がいなければ物語りは成り立たないといってもいいと思います。「いつのまにか天使のようになっていた」(朝日新聞)に同感します。
そして、そして、小林稔侍と桃井かおりもいい味を出しています。笑いを提供しています。3回は笑うと思います。
肝心の果し合いですが、よかったですよ。緊張感に溢れていたといっていいと思います。朝日新聞のとおり「剣さばきなどはなかなかのもの」でした。
それもそのはず、「武士の一分 かわら版」によると、木村拓哉は少年時代から剣道を本格的に学んでいたというのです。剣術指導の先生が舌を巻いていたといいます。剣術の先生役の緒方拳との木刀での立会いというか打ち合いはすさまじいと言ってもいいほどの迫力がありました。
(果し合いの相手、番頭(坂東三津五郎)はいくら藩のお偉方とはいえ、下級武士の、それも仕事で盲目となってしまった30石扶持の美しい奥方を騙して弄び、家老や藩主に口添えをすることもしなかったということに対して、全く何のやましいものを感じることもないのでしょうか、果し合いの場面での二人の会話を聞いていて、番頭はそんなにも冷酷、冷淡、無感情になれるものか、悪いことをしたと全く思っていないといってもいい、そこが私として唯一しっくりこなかったことでした。変なことに拘っているようですが、丁寧なつくりの山田監督にしては???でした。)
そして最後は、なんともうまい具合にハッピーエンドに終わらせたものです。「愛妻物語の色彩が強い」(読売新聞)というのも頷けます。めでたし!めでたしです。
キムタクが更に好きになりそうです。