あんな話こんな話

会津生まれの会津育ち…三匹の猫と柴ワンコや家族に囲まれ、家庭菜園に勤しみ都会には住めそうにないローカルな私の日常。

ひとりぼっちのひとり言。

2008-09-28 23:58:00 | 創作
あれはいつの頃だっただろうか…。
たしかボクには兄弟がいたはずなのに。
春先には何匹かの兄弟達と側溝の中を泳いで母さんを追いかけたりしていた。



兄弟達の何匹かは野良猫にやられちゃったり
またカラスに連れ去られたり…それでもまだ兄弟はいたはずのに…。

暑い夏が来て…ボクも少しだけ大人になって
川の小魚なんかも上手く食べられるようになった。



兄弟達と…その時にはすでにボクの他には二羽くらいになっていたが
一緒に水遊びをしたり、川べりで猫に見つからないように日向ぼっこをしたり
でも 母さんはもうボクたちの元には戻って来なくなっていた。
少し寂しかったけど、兄弟達がいたし
水遊びは、そんな寂しさを紛らせてくれたよ。

だけどボクはあまり上手に飛べなくて…いつのまにかひとりぼっち。

テリトリー内の川魚は一人占めだけど…なんだか寂しい。
少しずつ涼しくなって、空は高く澄んで…見上げれば
十何羽かの仲間たちが空を群れ成して飛んで行った。






どこへ行くのだろうか。 ボクはこのままここに居ていいのだろうか?



川から流れてくるのはゴミばかりで…とても悲しい。

すっかり 一人ぼっちになってしまったボク。
心に冷たい風が吹きぬけていくようだよ…みんなはどこへ行ってしまったのだろう。
ここで待ってれば帰って来るのだろうか…来ないのだろうか。

時おり どこかのおばぁちゃんがパンをちぎってボクにくれる。
川魚もいいけど、そのパンは未知の味がした。

人間は怖くないのか怖いのか? 
そんなふうに思うんだけどどうなんだろう?
ボクの仲間と同じ様に、人間にもいろんな人間がいるんだろうか。
その辺ボクは鴨だから…よく分らないや。

人間ならもっと深く考えられるのだろうけど…。



ふと見上げれば、白鷺が飛んでいる。
いつか…いつか、あの白い鷺のように飛んでいけるだろうか。
そして粉雪が舞う頃には仲間も帰って来るんじゃないかな…きっとだけど。

そんな事を考えるともなく、今日も一人ぼっち。



という事でひとりぼっちの鴨のお話でした。




コメント (18)
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