津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

明治四年・熊本城破却計画

2008-05-06 14:05:08 | 熊本
 本丸御殿の完成や、永青文庫の公開で熊本城人気が加速している。熊本城参観者は既に10万人を越したという。結構なことではないか。今後は単なる見世物ではなく、どう有効的に利用するかという命題も残されている。費用対効果が問われる現実的課題である。

 明治期、熊本城の破却を言い出した人たちがいる。
  1、藩主護久、弟・護美らの政治的配慮
  1、実学党政権による経済的不用論
 
 「馬鹿な考えだ」と一喝した人がいる。このことについて、私はまったく知識を持っておらず「一人の外国人」とのみ承知していた。さすが外国人の観る目は違うと思い込んでいた。5/3の熊本日日新聞は「400年のまち・熊本城下を歩く」と題し、「お城解体の危機・新聞の父が見た明治四年の御殿」という記事を載せている。新聞人ジョセフ・ヒコなる人が、廃城を申し出て間もない熊本城を見て、「賛成しかねる」と強く主張したという。私が「外国人」と思っていたその人こそ、このジョセフ・ヒコであった。アメリカに帰化した浜田彦蔵という人であった。翌年西国巡幸の明治天皇は「名城」を感嘆された。明治十年の西南の役に於いて、熊本城がなかったならば官軍の勝利は有り得ただろうか。「破却」を言い出した人たちも、首筋に寒さを感じたかもしれない。

 熊本城をどう育てていくのか、熱しやすく冷めやすい熊本人の真価が問われる。
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長洲・伊倉・横島あたり

2008-05-06 11:53:41 | 歴史
 所用で長洲まで出かけた。今では、巨大なタンカーや商船などが建造されている、造船の町として有名である。かっては熊襲征討に下られた景行天皇がこの地に上陸された折、里人が腹の赤い魚を献上しておもてなしをした。長洲町腹赤(はらか)の地の由来とされる。いまは「金魚」の町としても知られる。そしてアルミのインゴットが積み上げられた、「アルミサッシュ」の工場が連なる町である。
 帰り道これも古い町・伊倉を通る。平坦な所から山付きに登ると、「舟繋ぎの大銀杏」というものがある。この地は古い港町でありこの「大銀杏」の辺りまで入江であったのだろう。
         www.higo.ed.jp/sh/tamanash/shiki/meiboku/ikura/ikura-funatunagi.html
         cyber.pref.kumamoto.jp/renmei/magazine_terakoya/Number_122.html
 菊池川の土砂の堆積や、干拓事業により広大な平野が広がっている。手元にある「高瀬・伊倉両津中心、中古附上古玉名郡繁盛圖」を見ると、腹赤の町も玉名の貴船神社や繁根木神社も、すぐ目の先が海岸であったことが分かる。入り江は伊倉の下迄入り込み、大濱や横島といった町が島であったことが分かる。横島城があったとされるその場所は、今の地図で見ると町唯一の山だが、標高わずか56mである。すぐ脇に池辺吉十郎旧居がある。今は田圃が広がる部田見のあたりも海辺であり、前浜には八幡船が描かれている。「目から鱗」の二時間であった。
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心遣いの美

2008-05-06 10:14:53 | 徒然
 展覧会で拝見する茶杓や、茶杓入れ、蓋置き、花入れなど、時が作り出した何ともいえない色や艶の竹の作品にはうっとりさせられる。しかし作者は出来たての作品にも、満足の美を見出していたのだろう。前記の作品なども時の茶人が使い込んで、今日にいたった事を考えると、当時の美の感覚というものは、現代とはいささか違うのではないのか。

 小者に中津から一輪の花を「竹の筒」に託して、小倉の忠利の元へ届けられた。贈り主は三渕之直(重政子)である。忠利は切紙をもって茶道・小堀長左衛門に「大事に挿し木するよう」申し渡している。

 「花一もと竹ノ筒二入、持来候」と、当時の日帳に記録されている。どういう竹筒であったのかと想像をたくましくしてみると、当時の人たちの感覚が羨ましく感じられる。
青々とした細身の竹は、釣瓶の桶のように細工されて、柄が付けられていたのではないだろうか。小者の手により旅の途中で何度か水が変えられ、大事に届けられた事であろう。竹の筒は残されているはずも無いが、なんとスマートな贈物であろうか。現代人がすっかり忘れている、心遣いである。心遣いが「美」に昇華している。
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