4月1日のブログで書いた、太田博太郎博士の「床の間」なる本は、とうとう見つからないままである。
話は遡るが、あるところで「床の間」の「ちんくぐり」についての話が出た。お前は建築の専門家だからと説明を求められ、一応の解説をしてお茶を濁したのだが、今ひとつ納得できないでいた。太田先生のご高説を知りたいと思い、本棚を探し回ったと言う次第である。
床の間の一つの形式として、床の間と床脇の仕切り壁の下方を切り取ったものを「ちんくぐり」と称している。本来は床の間をへて、床脇まで外の光を導く為に考案されたものだという説がある。「ちんくぐり」とは「狆くぐり」で、愛玩する「狆」が潜り抜けるようにしたのだともいうが、これは単なるこじつけであろう。「狆」なる犬について詳しいことは承知しないが、床の間の発生より古くからいた事は間違いない。私が知りたかったのは、「ちんくぐり」がある一番古い床の間がどこなのかということである。
お座敷の造作材で、障子やフスマの下にある横架材を敷居、上にある横架材を鴨居という。さてこの鴨居という呼称についても良くわからない。大言海は「鴨柄=上枝の転か?」と片付けている。鴨がこんなところに居るわけがない。窓や出入り口のない壁に装飾的につけられたのが付鴨居、構造的に材木(ざいぎ)と壁との間に若干の透き間があり、かってはへそくりの隠し場所ともなった。(上等な普請では小さな材木で蓋をする) ガラシャ夫人の最後に当たっては、この鴨居の透き間に火薬を入れまわして爆発させたと、殉死した河喜多氏の文書は伝えている。遺骸を直接傷めることなく、一気に火中にするるにはまさに現実的妙案と言える。
二つの(又はそれ以上)和室を仕切る建具の上部に欄間なるものがある。建築大辞典は「天井と鴨居の間に設けられた開口部」と、味も素っ気もない。是もまた採光や通風、換気を考えての事であろう。言語学的に何故「欄間」なのかと常々思っていたのだが、あるとき「蘭」好きの友人が、「蘭の香を運ぶ為のしつらい」だとのたまう・・・これには成る程と合点してしまった。如何・・・
建築の世界に長く身を置いてきたが・・・・こんなものである。嗚呼。
話は遡るが、あるところで「床の間」の「ちんくぐり」についての話が出た。お前は建築の専門家だからと説明を求められ、一応の解説をしてお茶を濁したのだが、今ひとつ納得できないでいた。太田先生のご高説を知りたいと思い、本棚を探し回ったと言う次第である。
床の間の一つの形式として、床の間と床脇の仕切り壁の下方を切り取ったものを「ちんくぐり」と称している。本来は床の間をへて、床脇まで外の光を導く為に考案されたものだという説がある。「ちんくぐり」とは「狆くぐり」で、愛玩する「狆」が潜り抜けるようにしたのだともいうが、これは単なるこじつけであろう。「狆」なる犬について詳しいことは承知しないが、床の間の発生より古くからいた事は間違いない。私が知りたかったのは、「ちんくぐり」がある一番古い床の間がどこなのかということである。
お座敷の造作材で、障子やフスマの下にある横架材を敷居、上にある横架材を鴨居という。さてこの鴨居という呼称についても良くわからない。大言海は「鴨柄=上枝の転か?」と片付けている。鴨がこんなところに居るわけがない。窓や出入り口のない壁に装飾的につけられたのが付鴨居、構造的に材木(ざいぎ)と壁との間に若干の透き間があり、かってはへそくりの隠し場所ともなった。(上等な普請では小さな材木で蓋をする) ガラシャ夫人の最後に当たっては、この鴨居の透き間に火薬を入れまわして爆発させたと、殉死した河喜多氏の文書は伝えている。遺骸を直接傷めることなく、一気に火中にするるにはまさに現実的妙案と言える。
二つの(又はそれ以上)和室を仕切る建具の上部に欄間なるものがある。建築大辞典は「天井と鴨居の間に設けられた開口部」と、味も素っ気もない。是もまた採光や通風、換気を考えての事であろう。言語学的に何故「欄間」なのかと常々思っていたのだが、あるとき「蘭」好きの友人が、「蘭の香を運ぶ為のしつらい」だとのたまう・・・これには成る程と合点してしまった。如何・・・
建築の世界に長く身を置いてきたが・・・・こんなものである。嗚呼。