津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

不仲

2009-04-27 16:46:20 | 歴史
 三齋忠興と弟・興元の不仲はどうやら本物らしい。慶長六年十二月のこと、忠興の元に一族・重臣が集まるという時期を見計らって興元は出奔している。興元は寛永十四年家康に召し出され、秀忠から野州茂木壱万石を拝領、元和二年常陸谷田部六千三百石を加増されている。それ以前、寛永八年の話が次のようにある。興元の嫡子・興昌(当時27歳)が輿に乗った事を知り忠興は意見している。「公儀の事をちかえ(違え)」て居るという訳である。そして、「人ノ内にてはなく候事」人には非ずと極評し、忠利に対し「其方何とぞいけん候て可被見候」と意見するよう申し入れている。
そして又、「前より申候事の後不合事ハおやゆづりと見へ申候つる」興晶の約を違うは親譲りと散々である。
 徳川家康の斡旋による兄弟の仲直りは、四年ほど後の事である。

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肥後六花-8 「足曳き」

2009-04-27 10:33:00 | 歴史
        肥後六花—8 「足曳き」  文・占部良彦

 気が遠くなるほど約束事が多く、しかもほとんどつきっきりで世話を見なければダメになるヒゴギクの花壇栽培を、今の時代に続けるのはよほどいる覚悟が居る。花連の伝統を引き継ぐ現在の「肥後菊愛寿会」の中でも、この花壇づくりを維持しているのは三、四人という。その一人で、会の元老格でもある瀬口直民さん(72)=熊本県飽託郡天明町(現熊本市)=のキク談義がおもしろかった。
 ----英露の時代まではいまのようなヒゴギク一辺倒ではなく、花壇栽培の初期には厚物咲きも使われていたようだ。花壇の総合美、武士好み、肥後人かたぎに合うように苦心を重ねていまの花ができたと思いますね。花びらが少なく、色に派手さもなく一見さびしそうだが、切花にして茶室などに飾ると、厚物咲きを圧倒する清れつな美しさと気品を持っているのがよくわかります。
 ----殺虫剤や草丈、花の大きさを調整する化学薬品、花期を調整する電照法が生まれ、園芸の知識、技術も問題にならぬくらい進んで来た。昔に比べて花壇づくりの手間も随分軽くなったはず。でも、いまに若い人たちにこんなしち面倒な規則にゆいて行けというのは無理。私は文化財ともいえるこの花を絶やしてはならないと思い、「路地植えでも結構。とにかく咲いたらきれいですよ」と、いまは素人にもどんどん勧めている。
 ----ヒゴギクには昔から「花八分」という言葉がある。たしかに満開の一分手前で抑えたときが、花も葉も一番丹精な形をとります。でもいまの人たちは、こんなやり方には満足しない。私もたまには冒険して葉がよじれない程度にちからいっぱい咲かせて見ることがある。このときは一種のあでやかさも出て、この花の隠された一面にふれる思いもします。感覚、価値観の変化に応じて、ヒゴギク栽培もだんだんに脱皮を図る必要を痛感させられますね。
 「養菊指南車」には花壇の位置、花壇を囲む「屋台」のつくり方も示している。屋台は花どきに風雨や霜から守る為で、天井には防水加工をした和紙(いまはビニールを使う)、背景にスダレをおくのがしきたり。これに派手なまん幕など使うと調和をくずしてしまうそうだ。花壇の位置は南向きの庭を指定しているが、これは花がみな前を向いてしまう。そろって上を向かせるためにはむしろ、北向きの庭がよいと、瀬口さんらは主張している。
 この花をハチ植えで鑑賞することもある。このときは花壇の「天」の列、後ギクの配列を使う。室内では背後に金びょうぶをおいたりするが、花壇とは趣をかえたこの花独特の気品がよく味わえるそうだ。
 いまは絶えたが、明治のころの品種に「足曳(び)き」というのがあった。品評会にでたハチからこっそり芽を摘み取り、ぞうりの緒にはさんで持ち帰ったものだという。「花盗人」が育てたものらしい。おいそれとは、種や苗を人に分けてやらない当時の花つくり仲間の空気がよく分かる。
 「会の許可なく花名の変更や種、苗の譲り渡しを許さず」「故なく他人の花を持つ者には、会員三人以上の鑑定で撤去、または返還を命じる」----明治時代の愛寿会会則はこんな風にに書かれている。ハナショウブの満月会とともに、肥後の花連をリードして来たこの会の締めつけも、またかなりのものだったようだ。
 いま、ヒゴギク関係の団体には花連の伝統を継ぐ愛寿会と、愛好家を中心とする「肥後菊保存会」(会長・熊本市長)があり、嵯峨ギク、伊勢ギクと並んで、特殊ギクとして名をなしたこの花の保存、普及に力を合わせている。熊本県園芸試験場でも絶えかけた古い品種の保護や、ハチ植え品種の育成などに取り組んでいる。
 なお、東京・新宿御苑には戦前の昭和五年から、寒菊回用にヒゴギクの一花壇が設けられている。秀島英露の墓は熊本市横手高麗門妙立寺の境内にあって、碑面には鮮やかなキクの花が刻みこまれている。
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中瀬氏についてのご教示

2009-04-27 10:32:09 | 歴史
 過日、埼玉在住のTK様(大坂の役牢人衆の研究家)から、【大坂籠城した細川家旧臣】【細川家へ
召抱られた大坂牢人】【細川家へ召抱られた大坂城士の子弟子孫】【松井家へ召抱られた大坂城士の
子弟子孫】等々をご教示いただいた。大変貴重な御教示で感謝申上げる次第である。一二のご質問に
対しささやかなご返事を申上げ、その後ご厚誼をいただいているが、過日の「松下嘉兵衛の子孫・中瀬
氏」について、以下の貴重な情報をお送りいただいた。転載のお許しをいただきここにご紹介する。

     西尾市岩瀬文庫蔵『加藤家系譜〔内題:御系譜論〕』より 【以下要約】
■三州の人加藤三之丞教明の長女〔加藤左馬助嘉明姉〕、石川宗左衞門隆次〔加藤嘉明家臣、
  千五百石〕に嫁し、寛永七年十月十三日会津若松城下に死す。時に七十八歳。
■其子石川新右衞門清隆(※1)、若名茂助。会津にて二千石、番頭を勤む。会津落去後土佐
  山内家へ召出され、百人扶持を賜る。土佐に住し、明暦元年九月五日死す。室は野中主計
  の女にて山内家縁者の由緒を以て土佐へ招かる(※2)。
■其長女、中瀬彦三郎に嫁す。彦三郎、会津加藤家にて九百石(※3)、近習を勤む。
■男子無く一女あり、松下忠三郎(※4)、後に太左衞門に嫁す。太左衞門、喧嘩にて死す。三子
  あり。
太左衞門の長子中助九郎、父の敵を討ち、後に細川越中守へ召出さる。千二百石、用人を
  勤む。正年中隱居。其子中瀬助之丞。其子中瀬助之丞。

■太左衞門の次子、父の敵を討ち、後に出家し、京都大通寺南谷と号す。六孫王社中興開山。
  能書家。元文元年十月十三日死す。
■太左衞門の三子深尾權之進、土佐山内家へ召出さる。享保年中死す。其嫡子も間も無く死す。

  (※1) 加藤家家臣録に、石川惣左衞門の子家老石川新右衞門、知行二千石とある。
  (※2) 土佐諸家系図所載野中家系に、野中主計益継の女、石川新右衞門清隆に嫁し、万治
      二年五月二日死とある。時に六十九歳。法名妙紹院法種日会大姉。
      石川新右衞門清隆、一に石川道節清澄に作る。寛永二十年山内忠義へ牢人分五十人
      扶持にて召出。
  (※3) 加藤家分限帳に、近習用聞役人・歩行頭中瀬彦三郎、知行九百石とある。
  (※4) 加藤家分限帳に、小々性松下忠三郎、知行三百石、注記に後源太郎左衞門、中瀬助
      五郎父とある。

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 尚、六孫王社中興開山・京都大通寺南谷については、『近世畸人伝』(大学共同利用機関法人人間
 文化研究機構 国際日本文化研究センター)にみることができる。
             http://www.nichibun.ac.jp/graphicversion/dbase/kijinden.html

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 上記による略系図

               柳生但馬守宗則
                      ∥
                  +--おりん
                  |
      松下石見守之綱---+--重綱
                  |   ∥
                  |   
                  |
                  +--外記---松下忠三郎
                               後・源左衛門
                     中瀬彦三郎     ∥---+--中瀬助九郎・・・→細川家
石川宗左衞門隆次               ∥------●  |
        ∥----新左衛門清隆---長女●         +--南谷・・・・・・・・・→京都大通寺
  +------●                           |
  |                                 +--深尾権之進・・・→土佐山内家
  +---加藤左馬介嘉明--------
  
  
コメント (3)
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