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数大勢責懸ヶ鉄炮打申候城中より大橋の向まて出向ひ侍数三
十人斗尓て防互尓鉄炮厳敷打合申候志ばらくさらゑ申候
處尓味方能侍の中坂井半助と云もの申たるハ何と防申とも
敵大勢味かたハわつか小勢也多勢尓無勢難叶皆々引
取りて大橋の板をはづし可申由申候尤可然と皆々一同尓寄
合候て橋の板重々として打破候へ共とも俄の儀道具ハ無之
破兼申候越阿たりの石ばしらなと取寄散々尓打破り大方
爰かしこ板をはずし馬ハ渡り不申程尓仕候其橋長サ廿間余
有之其内敵もはや橋のむかひまて責来り橋向尓町屋
則其家の中尓敵とも入込戸口窓より鉄炮打申候此方尓
は川端尓船とも引上て有り又左の方尓ハ高サ四尺斗りの
合
石垣有夫越たて尓して鉄炮稠敷打申候我等登半助とハ
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石垣の上より替る替る尓打申候薬を替々打申内尓互ニ
見へたり見志りたるかと申敵数多打倒し申所尓半助
甲の眞中尓敵の鉄炮中り即時尓討死仕候半助首を敵尓
ズ井
とらせしと死骸を番屋へ投入申候残るものとも随分防申
候由
所尓半助討死仕候通 幽斎様被聞召付為御使千家七
味方ニ
蔵藤木伊右衛門を以被仰下候は敵大勢なりミかた能き
れ
もの一人も討るヽハいかほとのよわりそや急ぎ町中へ
火を
火をかけ引取候へと御意尓付方々尓かけおび多だしく
焼立申候ゆへ敵も味かたも相引尓仕候廿三日の朝より
ィ朝 焼 所 也
明る まて焼申候 残りたるハ又人越いたし焼き申し候事
一、同廿四日互尓敵味方鉄炮打合申候處尓日暮時分尓東西
南北の敵貝を吹立一度尓殊々敷鉄炮打懸候へとも城中へ
はたのみまいら須手負たるものもなく候勿論城中よりも
鉄炮きひしく打申候事