天気予報通り日にちが変わるころ随分雨が降ったらしい。いつもの散歩時間は少々の小雨で、雨が上がった朝食後に変更して出かける。今日は少々目的があってデジカメ持参。
数日前いつもは歩かない路地に入り込み、打ち放しコンクリートの見事な建築物を見懸けて、改めて眺めてみようと思ったからだ。
現役は引退したものの、まだこんな気分になることがあって自らおどろかされるが、それに値する建築だった。
ひそかに、著名な建築家の作品ではないかと思っているが、確かめようがない。
角地に立つこの建物は、ゆったりとした凹凸のある平面から豊かな表情を見せている。
表面が滑らかな打ち放しや、杉板の型枠を使った面、打ち放し面を斫り仕上げにした広い壁面、玄関廻りの天井はキーストン状になって陰影をつけている。
腰回りとそれに続く低い塀は色合いの違う数種の荒い土を、細い目地を微妙に波うたせて塗分けている。
象徴的な大壁の縦方向の先端部分は、巾30センチほどアルミ板がコの字状に使われ、道路に面する部分はアクリル板が嵌められて表情を変え、見事な演出である。
正面左側の壁にはチャコールグレイの10×30センチほどの羽根状のパネルが、水平方向に日除け状に数段配置されているが、別段大きな開口部があるわけでもなく余裕に満ちている。
個人の住宅だと思われるが、素晴らしいクライアントであり、良い設計者と施工者にめぐり逢われた。
100点満点の作品と表しておきたい。写真も数枚とったが、無断開示は当然避けておくことにする。