津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■扇橋の「応挙の幽霊」

2021-07-12 14:39:27 | 徒然

 昨日は「幽霊坂」を取り上げたあと、落語「応挙の幽霊」をYouTubeで見つけ出して、しばし楽しんだ。
実は、長くご厚誼いただいている東京本郷で「御掛物・御道具」のお店を経営されているF様から、毎月たくさんの御商売の御品付(カタログ)が送られてくるのだが、今月は19点の多きにわたっていて、その中に作者不明の「応挙の幽霊」という畫が含まれていた。
足元が描かれていない柔らかな表情の幽霊様だ。
この「応挙の幽霊」は新内や歌舞伎そして落語や講談にも取り上げられいるらしいが、これは落語を拝見したいものだと思った所以である。
検索してみたら、多くの落語家が演じている中、私が大好きな「東京やなぎ句会」の主宰を務める入船亭扇橋師のものがあった。
これは拝聴しなければなるまいと少々の時間を割いた。
 
              【落語】入船亭扇橋/応挙の幽霊(1991年)

 骨董屋が安く仕入れておいた「幽霊の図」に買い手がついた。
高く売れて喜んだ主人は、明日取りに来るという買い手の意向に、その御軸を取り出してお供えをしお経を唱え、ちびり/\はじめる。
絵のなかの幽霊さんはうれしくなって絵から飛び出してきて、主人の進めにのって酒宴が始まる。
すっかり酔ってしまった幽霊さんは御軸の中に戻り赤い顔で寝てしまった。

翌日主人は絵の中で眠り込んでいる幽霊さんを起こそうとするがなかなか起きてくれない。「幽霊さんいつ起きるんですか」と声をかけると「丑三つ時」・・

 東京へ出かける機会があると、時間を割いて落語を聞きに出かけたものだが、最近は上京の機会もなく、また熊本で開催される落語会なども少なく寂しい限りである。しばし楽しい時間を過ごした。

 そして偶然というべきか、7月7日のヤフーニュースでは、青森県弘前市の久渡寺所蔵の幽霊画「返魂香之図」が応挙の「幽霊の図」の真筆であることを報じていた。こちらは本家の優しいお顔をの幽霊様である。

                                                             
  

 

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■解説‐有吉家文書「年中行事抜粋」(五)御着座後初而御登城之式-2

2021-07-12 06:56:48 | 先祖附

一、夫より御用人参案内有之候得ハ、御一門衆同席一同ニ御次段落之間江罷出、右手壁付ニ右頭ニ袋棚之元ニ坐着之事
  夫より御用人参り案内が有れば、御一門衆・同席(家老)一同に御次の段落の間へ罷り出、右手壁付に右頭に袋棚の元に坐着する事
    但向側ニハ御近習座着いたし居候事
    向側には御近習が座着いたしている事
一、夫より猶案内有之御一門衆御手熨斗頂戴相済、其跡ニ而同席被召出候間直ニ脱剣罷出御向通御敷居外ニ而御時宜是江
  と被遊御意候上御敷居
内ニ摺入御城内不相替旨恐悦申上御手熨斗長のし被下候間頂戴之右手江開直ニ御次江下り致帯
  剣候事
  夫より猶案内があり、御一門衆の御手熨斗頂戴が済み、其跡に同席(家老)召し出され、直に脱剣して罷り出、御向を通り御敷居外にて御辞
  儀、是へと御意遊ばされた上御敷居内に摺り入り、御城内相替ぬ旨恐悦申し上げ御手熨斗・長のしを下されるのを頂戴し、右手へ開、直に御次へ
  下り帯剣いたす事

    但見習之人有之候得者一同ニ右頭ニ罷出候事
    見習の人(家老の嫡子など)がいるときは一同に右頭にて罷り出る事
  付紙
    見習之人ハ別ニ被召出候得共見習と申ニ付以来一所ニ罷出可申旨文化十一年六月監物より申上置候事
    見習の人は別に召し出されるものだが、見習ということで一所に罷り出申すべき旨を文化十一年六月(米田)監物より申し上げ置かれる事
一、夫より御用人知せ有之御一門衆一同帯剣之侭御居間御入頬之御敷居外ニ而御辞儀仕、御入側ニ左頭ニ列坐致平伏居、
  夫より御留守居大頭両人
一同御奉行被召出御手熨斗被下候 副役ニて候へハ御手熨斗頂戴無之 右召出之人罷出候節ハ

  起上り手ハ突居右相済一同ニ九曜之御間元之所ニ致坐着候事
      夫より御用人の知せがあり、御一門衆一同帯剣の侭御居間御入頬の御敷居の外にて御辞儀をし、御入側に左頭にて列坐して平伏し、夫より御留守
  居大頭両人一同御奉行召出され、御手熨斗下され、副役であれば御手熨斗頂戴はなく 右召出の人罷り出の節は
起上り手は突いて居り、これらが
  済んで一同に九曜之御間元の所に坐着いたす事

    但右召出之節御取合等之儀も無之候事
    この召出の節、御取合等の儀も無い事
一、夫より御居間被遊御立九曜之御間波之御間松之御間御通り御天守江被遊御上候付、九曜之御間御通之節平伏仕居直ニ
  御跡ニ付参大目附之跡
鐘之段之直ニ次之段貝之御間江控居候、御一門衆ハ直ニ鐘之段ニ御附上被申候と相見候事
  夫より御居間を御立ち遊ばされ、九曜之御間・波之御間・松之御間を御通り御天守へ御上遊ばされるに付、九曜之御間を御通の節平伏仕居り、
    直に御跡に付参り、大目附の跡鐘の段の直に次之段貝之御間へ控居り、御一門衆は直に鐘之段ニ御附上り申される事と相見える事

    但御留守居大頭ハ初開候処より御先立御天守方支配頭ハ波之御間より御先立之事
    御留守居大頭は初開の処より御先立、御天守方支配頭は波之御間より御先立する事
一、夫より御用人案内ニて鐘之段江上り北側ニ脱剣御一門衆被召出之跡ニ而罷出候、是ハ箱段上り口直ニ左之三尺口より
  罷出之間、此口之外ニて是江ト
御意御敷居内江摺入尚此所ニて茂御手熨斗 長のし 被下候間、頂戴之仕元之坐ニ下
  御意ニ応御請申上御辞
儀退去直ニ帯剣貝ノ御間江控居候尤御側ニ暫滞致遠見候も不苦候之事
  夫より御用人の案内にて鐘之段へ上り、北側に脱剣し、御一門衆を召出れたあとにて罷り出る、是は箱段上り口より直に左の三尺口より罷り出
   る間、此口の外にて是へと御意あれば御敷居内へ摺り入り、尚此所にても御手熨斗 長のしを下されるので、これを頂戴し元の坐に下り、御意に
   応じて御請け申し上げ御辞儀して退去、直に帯剣し貝ノ御間へ控え居ること、尤も御側に暫く滞まり遠見することも苦しからぬ事

    但見習之人有之候得ハ一同ニ右頭ニ罷出候事
              見習の人(家老嫡子)が有れば一同に右頭にて罷り出る事
一、鐘之段ニてハ御留守居大頭御奉行ハ召出無之候事
        鐘之段にては御留守居大頭・御奉行は召し出しはない事
一、御下城之御様子承御先二札之御間へ参り居御一門衆同席御留守居大頭御床之方後ロニ〆御廊下之方頭ニ座着いたし居
  御奉行ハ同席之左
御通筋之一間口を越坐着御天守方支配頭壱人同所御目附一人ハ同席之方向窓之方後ニ〆御廊下之方
  頭ニ
坐着同所根取一人御城内方御横目一人ハ右御目附之末座際越ニ御廊下之方向罷出居候其外同所御目附以下辻御目
  見ニ罷出候得共略之
  御下城の御様子を承り、御先に札之御間へ参り居り、御一門衆・同席(家老)・御留守居大頭、御床の方後ロに〆、御廊下の方頭にして座着い
    たし居り、御奉行は同席の左御通筋の一間口を越えて坐着、御天守方支配頭壱人・同所御目附一人は同席の方向窓の方後に〆、御廊下之方頭ニ
    坐着、同所根取一人・御城内方御横目一人は、右御目附の末座際越に御廊下の方向罷り出居ること、其外同所御目附以下辻御目見ニ罷り出るこ
         とについては略之

    但此所ニ坐着之御留守居大頭ハ御先立之人ニて候、且又已前ハ向ノ方御天守方支配頭之上ニ坐着有之候由候事
              但此所に坐着の御留守居大頭は御先立の人である、且又以前は向の方御天守方支配頭の上に坐着することが有った由の事
一、同所御通り之節何茂平伏居候得ハ左之通
  同所御通りの節何も平伏し居ると左の通(の御意)
    火用心可入念候
    火の用心入念に致すよう
  右之通被遊御意候間御奉行本役別役之無差別之前 御請申上候事但重之御間江罷出居候、御坐敷支配其外独禮以下右
  御意之様御奉行より申伝候事
  この通に御意あそばされ、御奉行本役・別役の差別なく之を御請け申上ぐる事、但重之御間へ罷り出て居るので、御坐敷支配其外独禮以下右
    意の様子は御奉行より申伝える事

一、右札之御間ニおゐてハ乍御立御意直ニ松之御間波之御間蘇鉄之御間照君之御間重之御間御通り被遊御下城候事
        札之御間に於いては御立ちながら御意直に松之御間・波之御間・蘇鉄之御・間照君之御間・重之御間を御通り遊されて御下城なされる事
    但御一門衆同席御留守居大頭御先立外御奉行右之面々札之御間より御跡ニ付松之御間ニて行成二一寸御辞儀直ニ
    九曜之御間通御先ニ御玄関江
馳抜候事
    御一門衆・同席(家老)・御留守居大頭御先立の外、御奉行右の面々札之御間より御跡に付松之御間にて行成に一寸御辞儀、直に九曜之御
     間を通り御先に御玄関へ馳せ抜ける事

一、於重御間御天守方支配頭ハ御箱段上り口より少引退り御箱段向坐着
  重御間において御天守方支配頭は御箱段上り口より少引退り御箱段向き坐着のこと
一、御先立之御天守支配頭も此所ニて開候由御坐敷支配役ハ御床を後二〆列坐、軽輩ハ御敷居外御縁ニ座着致候事
  御先立の御天守支配頭も此所にて開く由、御坐敷支配役は御床を後に〆て列坐、軽輩は御敷居外の御縁に座着致す事
一、箱段被遊御下候節より次第ニ平伏御一ト通被為在御意候間御時宜御駕戸立候上頭を上左手へ子之向奉見送候事、御小
  姓頭御用人等一同ニ
御辞儀退去詰間江参候事
  箱段を御下あそばされる節より次第に平伏、一通り御意あればお辞儀、御駕戸を立てる上頭を上げ左手へ子の向見送り申し上げる事、御小姓頭
    御用人等一同に
御辞儀し退去、(家老らは)詰間へ参る事
一、夫より御留守居大頭御奉行御天守方支配頭同所御目附相見恐悦被申述候之事
  夫より御留守居大頭・御奉行・御天守方支配頭・同所御目附が(家老のところへ)見えて恐悦を申し述べる事
一、右相済御天守方支配頭御座敷支配役等御下城之節之通鶴之御間江坐着いたし居候付致会釈引取候事
  これらの事が終了し、御天守方支配頭・御座敷支配役等御下城の節の通り、鶴之御間へ坐着しているので会釈をして引取る事
    但右者格式ニてハ無之候得共致来候由候事
    これらのことは格式ではないけれど、このように致してきたとの事である。

                    (了)

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