昨日は「幽霊坂」を取り上げたあと、落語「応挙の幽霊」をYouTubeで見つけ出して、しばし楽しんだ。
実は、長くご厚誼いただいている東京本郷で「御掛物・御道具」のお店を経営されているF様から、毎月たくさんの御商売の御品付(カタログ)が送られてくるのだが、今月は19点の多きにわたっていて、その中に作者不明の「応挙の幽霊」という畫が含まれていた。
足元が描かれていない柔らかな表情の幽霊様だ。
この「応挙の幽霊」は新内や歌舞伎そして落語や講談にも取り上げられいるらしいが、これは落語を拝見したいものだと思った所以である。
検索してみたら、多くの落語家が演じている中、私が大好きな「東京やなぎ句会」の主宰を務める入船亭扇橋師のものがあった。
これは拝聴しなければなるまいと少々の時間を割いた。
【落語】入船亭扇橋/応挙の幽霊(1991年)
骨董屋が安く仕入れておいた「幽霊の図」に買い手がついた。
高く売れて喜んだ主人は、明日取りに来るという買い手の意向に、その御軸を取り出してお供えをしお経を唱え、ちびり/\はじめる。
絵のなかの幽霊さんはうれしくなって絵から飛び出してきて、主人の進めにのって酒宴が始まる。
すっかり酔ってしまった幽霊さんは御軸の中に戻り赤い顔で寝てしまった。
翌日主人は絵の中で眠り込んでいる幽霊さんを起こそうとするがなかなか起きてくれない。「幽霊さんいつ起きるんですか」と声をかけると「丑三つ時」・・
東京へ出かける機会があると、時間を割いて落語を聞きに出かけたものだが、最近は上京の機会もなく、また熊本で開催される落語会なども少なく寂しい限りである。しばし楽しい時間を過ごした。
そして偶然というべきか、7月7日のヤフーニュースでは、青森県弘前市の久渡寺所蔵の幽霊画「返魂香之図」が応挙の「幽霊の図」の真筆であることを報じていた。こちらは本家の優しいお顔をの幽霊様である。