津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■夾竹桃

2021-07-05 18:33:54 | 先祖附

                                                                                 

 高浜虚子の句に「病人に夾竹桃の赤きこと」という句があるが、病床の虚子にとって暑い夏のこの鮮やかな赤は果たして慰めになったのか、鬱陶しいものであったのか?
こういう綺麗な花を見ると、手折りて花瓶にさして見たいとも思うが、この花は強力な毒性があるのだという。
散歩の途中公園に美しく咲いていたが、遠くから眺めて置くに止めるのがよい。

 夾竹桃といえば、森鴎外の「阿部一族」の討ち入りの描写の冒頭に登場する。
文学研究の方々の中では、この事件が起きた時期には、夾竹桃は到来していなかったというのが定説になっているらしい。

  寛永十九年四月二十一日は麦秋むぎあきによくある薄曇りの日であった。
 阿部一族の立て籠っている山崎の屋敷に討ち入ろうとして、竹内数馬の手のものは払暁ふつぎょうに表門の前に来た。夜通し
 鉦太鼓を鳴らしていた屋敷のうちが、今はひっそりとして空家あきやかと思われるほどである。門のとびらとざしてある。
 板塀の上に二三尺伸びている夾竹桃きょうちくとう木末うらには、くものいがかかっていて、それに夜露が真珠のように光っている。
 燕つばめが一羽どこからか飛んで来て、つと塀のうちに入った。
 
麦秋と燕と夾竹桃と並べられると、夾竹桃は若干遅いのではないかと思うのだが、花とは書いてないからセーフにしておこう。

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■大組という職階

2021-07-05 12:36:15 | 先祖附

 昨日は「組外」と取り上げたが、今日は「大組」である。
種々の「侍帳」を眺めてきたが、どんなににらめっこをしてもそこにある決まり事に気が付かなかった。
この「大組」とは、知行高2,000石以上および上着座・中着座・比着座の2代目がここに配された。
又、比着座であった人が「免」を申し出ると免席として配されたのが「大組」である。
つまり将来の重役候補が父親の致仕や隠居、または死去の時期までをこの座班ですごし、諸式においては上座に位置して相続においては重い役職を得ている。

こういった嫡子に対する厚遇は着座以上の上士に与えられた特権であり、中士以下については認められていない。
しかしながら、中士であっても働きが優秀な人は着座に進席した。

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