津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■漱石は猫派? 犬派?

2024-01-14 07:38:24 | 書籍・読書

 漱石には何といっても「吾輩は猫である」があるから多分「猫派」なのだろうと思い込んでいた。
夫人・夏目鏡子氏の「漱石の思い出」をよむと、犬や猫に関する記述が初めて出てくるのは「大江の家」でのことである。
余りにもネズミが多いのに困っていると、女中のテルの姉さんという人が飼っている三毛猫をくれたそうだ。
ネズミもとるが、夕食の魚も食ってしまう。これにも困り果てて捨ててしまえということになり、捨てに行ったもののすぐ帰ってくる。
そこである時、同居人の土屋なる人(写真左端、のち裁判官)が捕まえて、自分の古靴下を頭から被せたりしているが、どうもこの猫夏目家ですっかり居住権を確保したようである。
それがこの写真の右端女中のテルさんの膝の上に座っている猫である。
          

 そして、猫派か犬派かどちら?と思わせるようにワンちゃんも並んでいる。

熊本での犬の話は、5番目の内坪井の家で買い始めたという犬の話が面白い。
頂戴物の大きめの犬を飼っていたというが、是がやたらと吠えるし人にかみつく。
あるとき、ゴミを不法投棄する巡査の奥さんにかみついた。
巡査が怒鳴り込んできたが「犬は賢いもので、よい人には噛みつかないが悪い人間だと思うと噛みつくのだ」と漱石は意に介しない。
女中のテルさんは犬好き人間らしく漱石の言葉に大喜びである。
狂犬病の疑いがあるというので引っ張られたが、翌日には疑いも晴れて帰宅した。
ところがある日の夜遅く、謡から帰ってきた漱石の着物が食い破られている。どうやら漱石先生も所業が悪かったと見える。
番犬としては立派なものである。
こういう話になると、漱石先生猫派なのか犬派なのかさっぱりわからない。半藤一利先生の本を読んでも触れておられないように思う。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

■小正月と左義長

2024-01-14 06:23:14 | 徒然

 左義長(どんどや)といえば小正月の行事であったものが、最近ではいろんな都合があってのことだろうが、日にちなど構わずに行われている。
藩政時代熊本に於いては、百間石垣下の勢屯で「どんどや」と「馬揃え」を合わせたような行事としていたことが「熊本年中絵図」の記述でうかがえる。

   左義長正月十四日、其ノ際ニ至レバ家中の子弟良馬を求め競テ荒乗シ武ヲ試ム 武士之家風ナレバ
   婦女子ニ至迄後ルゝ事ヲ恥ツ 馬数多キ時ハ三四百ニ及所謂古の馬揃ナリ 此事兼而他邦江も聞エ其
   日ニナレバ自他見物拝衆垣ヲ成シ誠ニ天下の壮観ナリシガ 近年ニ止ミテ今纔ニ遠在郷士の左義長
   共残ルトいへ共其聴ルナシ

 この記述でもうかがえるが3・400ともいう数の馬が集まり、若者たちが競って「どんどや」をめがけて馬を走らせていたらしい。
ある資料によると、火をめがけて馬を走らせるということは「犬追物」の復活以降のことらしい。
是を見物しようと百間石垣上や二の丸御門周辺は大勢の人たちでごった返しの状態となった。
刑部家屋敷には一門の人々があつまり、米田家屋敷にも多くの侍が押し寄せたことであろう。
この記述がいつ頃のものか承知しないが、そんな激しい様子もすたれてきていることが判る。
そののちには今見られるような「どんどや」へと落ち着いてきたのだろう。

          

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする