South Is. Alps
South Is. Alps
Coromandel
Coromandel, NZ
Square Kauri
Square Kauri, NZ
Lake Griffin
Lake Griffin


「ヴェラ:信念の女警部(原題:Vera)」(Amazon Prime Video)

 
 
「ヴェラ:信念の女警部(原題:Vera)」は、ニューカッスル・アポン・タイン北方のノーザンバーランド郡にあるノーザンバーランド&シティ警察(架空の署らしい)の捜査チームを率いるひとり者の中年女性のヴェラ・スタンホープ警部を中心とした警察物語(TV番組)である。オリジナルは、2011年から放映が始まり、現在も続編がリリースされている。2025年1月に14シリーズの第2作目が放映されている(Vera (TV series) - Wikipedia)。他のTVシリーズでもそうだが、残念ながらAmazon Primeは途中までしか放映されない。

毎回のストーリーでは、殺人に至るまでのシーンの断片がイントロで流れ、ヴェラが愛車のランドローバー・ディフェンダーで登場する。検視シーンで最初のヒントをみつけ、その後、サポートする若手の男性刑事部長(ジョーやエイデン)を助手にして鑑識の警察医との会話が物語の出発点となる。観察結果や検視結果など捜査資料を積み上げ、仮説を立て、直感をもちいて、容疑者を尋問していく。毎回、決まって放映時間(1時間20分ほど)の中頃には、取調室で容疑者の一人を犯人と決めつけ厳しく追求する。ところが、そのあと、二転三転して大団円を迎えるのだが、気になるのは、そこまで厳しく決めつけておいて、後はどうなるんだろうという感じなのだが、それは番組にはでてこない。さぞかし、クレームがつけられて名誉毀損で訴えられているのでは無いかと思われるのだが・・・。それはともあれ、ヴェラの捜査方針に基づき捜査チームはおだてられたり叱られたりしながら捜査をすすめる。しかし、大抵の作品では最後、捜査チームの活躍でというよりも、ヴェラがひとりで決着をつけることになる。

2025-02-12 11:05:51 | 映画/TV/DVD | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


映画「林檎とポラロイド」

 

本作品はギリシャ人の監督によるギリシャ語の作品(2022年放映、原作は2020年、原題はΜηλα、林檎)だ。自己を喪失した人物の物語で不条理映画のように見えるが、様々な見方もできるだろう。状況としては、社会に記憶喪失者が増えていて、作品のシーンでは1960年代前半のツイストや楽曲が登場するので、その時代についてのギリシャ社会を背景としているということかもしれない。以下、ネタバレなのでご注意を。とはいえ、ネタバレの以下を読んだところで、おそらく筋を追う作品ではないから、人によって考えるところはべつだろう。だから、気にしなくても良いかも。

記憶を失いバスの終点で発見された男。名前もどこから来てどこに行くのか、記憶がないが言葉は覚えている。バスの運転手の通報により、病院に送られた。彼を示す所持品はなく、住所も覚えていなかったが、りんごが好きというのは覚えていた。親族が迎えに来ることがなく、病院での人生発見プログラムに誘われる。

町の一室に送り届けられた男はひとりでで生活を始め、テープの指示に従いなにか行動を起こし、その様子を写真に撮ることが求められる。最初は自転車に乗ることだった。

次の指示は、大勢と交わるという課題で男はコスプレのグループに交わり、宇宙飛行士に扮する。次は、女性と仲良くなり一緒に踊れた。ストラップ劇場に行きストリッパーと踊る。街角のテレビで、キスシーンを見る。料理をこなし、様々なシーンを写真に撮っていく。公園で、犬のマルーに出会いその名前を覚えていた。記憶の蘇りの一歩。

映画館では同じようにポラロイドを撮る女性に出会う。同じ記憶喪失者で同じプログラムに参加しているようだったが与えられている課題は、男よりもさきにすすんでいるようだった。彼女と部屋を行き来し、彼女の行動に付き合うようになる。たとえば、郊外にドライブに出かけ事故を起こしてその脇で写真を取って帰るといったような。男は女性の課題を追いかけるように作品は進む。

男は病院で死期の迫る人に寄り添い、葬送を見送るという課題が与えられる。男性老人は娘に付き添われているが、男は毎日見舞いに行くようになる。ある夜、老人に妻は?と問われ、死んだとこたえる。これがふたつめの記憶の蘇りだった。翌日、老人と約束した焼き菓子を携えて病室を尋ねるが、もうすでに亡くなっていてベッドはからになっていった。葬式を遠くから眺めるうちに涙がうかび、妻のAnnaの墓に花束を持って尋ねる。これがみっつめの蘇り。最後に自宅のことを思い出す。鍵は無いがなんとか部屋に入ることができ、部屋を片付け、腐りかけた林檎の中から無事だったものを食べるシーンで終わる。

人間の記憶というのはなんだろう。記憶喪失というのと失語というのは違うようにおもう。だから、本作品の中でも言葉の意味が失われているわけではないように思う。

最近、自分自身歳のせいかだんだん固有名詞を思い出すのが、時間がズレてしまうことが多くなった。しばらく経って、ふと思い出すので、きっとどこかに記憶がのこり、蘇りを待っているのかもしれない。また、友人と昔話をしたりしていると、記憶違いのことに時々気がつく。記憶というのはある種都合のいいように改変して記憶しているのかとも思う。

 

2025-01-30 15:24:39 | 映画/TV/DVD | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


映画「ロスト・キング 500年越しの運命」(Amazon Prime Video)

 

映画「ロスト・キング 500年越しの運命」(Amazon Prime Video)
エジンバラに住むフィリッパ・ラングレー、息子二人、離婚中、会社勤めしていたが、会社では認められず、体調不良にも悩まされていた。ある日、息子の一人と学校の親子でのシェークスピアの歴史劇鑑賞会にでかけて「リチャード3世」を見て、王位簒奪者と位置づけられていたことにふと疑問に思う。サークルに入るなどして独自の調査を開始する。そして、レスター大聖堂近くの修道院跡に葬られているとの確信を持ち、クラウドファンディングで発掘費用を稼ぎ、レスター大学の考古学者の支援を得てとうとう、遺骨の発掘に成功する。しかし、レスター大学の関係者はフィリッパを差し置いて大学の発掘の成果にしようとする。リチャード3世の名誉回復をねがったフィリッパの業績をイギリス王室はみとめてMBE勲章を授与し、レスター大聖堂に遺体を安置することになったという実話を映画化した。

ロスト・キング 500年越しの運命 - Wikipedia
リチャード3世 (イングランド王) - Wikipedia
リチャード3世の発掘と再埋葬 - Wikipedia

2025-01-09 17:18:32 | 映画/TV/DVD | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


映画「博士の愛した数式」(Amazon Prime Video)

 

2009年に文庫本で読んでいた。今まで、映画を見ていなかった。忘れていたのだ。たまたま見つけてみてみた。


2025-01-07 16:39:55 | 映画/TV/DVD | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


「シェパード警部 ブロークンウッドの事件簿 (字幕版)」(Amazon Prime Video)

 

「シェパード警部 ブロークンウッドの事件簿 (字幕版)」(Amazon Prime Video)の1〜3シーズンを見た。残念ながら、Amazonで公開されているのは1〜3シーズンのみで、英語版「Brokenwood Mysteries」は、現在シリーズ10(2024年)まで放映されているのだが。残念なことだ。

NZ北島のオークランドよりも北の地域の田舎町の物語。1作目では、田舎町にオークランドから現地の主任警部補の支援(実は、監査?)に派遣されたマイク・シェパード警部が第2作以降この街に定着して活躍する。相棒となるクリスティン・シムズ巡査部長、サム・ブリーン巡査とともに捜査にあたる。他に、毎作品に登場する検視官のジーナ・カンディンスキー、住民のマオリのジャレド・モレフが登場する。小さい町という想定なので、何人もの住民が繰り返して登場する。

NZの田舎町、木造平屋の家屋が多く(大都市のオークランド近郊でも同じことだけれど)、緑あふれる景観なのだ。街はなんとなく殺風景である。

NZの自然は豊かなのだが、植民国家であるから家畜や栽培植物も含め地域外から持ち込まれた動植物による本来の動植物への被害が大きい。本作品の中でも、野生化した鹿やポッサムが登場する。関連して狩猟や猟銃の問題もとりあげられることがある。
 

2025-01-06 13:51:51 | 映画/TV/DVD | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


映画「Perfect Days」

映画「Perfect Days」、ヴィム・ヴェンダース監督、役所広司・主演
東京都の公衆トイレの掃除を生業とする一人腿の中年男の平々凡々とした日常をえがく。彼の生活にはルーティンがあってそれを繰り返す。仕事に手を抜かないこともまたそうしたこだわりの一つ。彼の就寝前に読んでいる本は、フォークナーであり、幸田文であり、パトリシア・ハイスミスの作品である。また、仕事用の車の中で聴くカセットテープからはこだわりのある楽曲が流れる。

ついつい、小説を買ってしまったし、全楽曲の歌詞を紹介するウェブページも見つけた。【全曲和訳】映画『PERFECT DAYS』劇中曲

2025-01-05 15:26:20 | 映画/TV/DVD | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


映画「オッペンハイマー」

映画「オッペンハイマー」を視聴した。

量子物理学の理論家で組織者としても優れていたオッペンハイマーは、ドイツのハイゼンベルグの連鎖反応の実証実験を再現した実験物理学のローレンツと出会い理論と実験の融合に目覚める。ナチスの台頭、日本の真珠湾攻撃という時の流れの中で、組織者としてロスアラモスでの世界初めての核実験に成功する。その後、軍部に武器とした渡された核兵器が広島・長崎に透過され、核拡散は人類の危機であるとオッペンハイマーは考え、テラーの主張した水爆の開発に反対したが、ときは「赤狩り」のマッカーシー旋風に巻き込まれ、核政策から排除されていく様子が描かれる。作品の冒頭のシーンでのアインシュタインとの会話が最後近くのシーンで明かされる。この会話の内容に疑念をいだいた閣僚をめざす政治家のストロースの陰謀というのが伏線となっていた。


2025-01-03 17:53:21 | 映画/TV/DVD | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


Amazon Prime Video「刑事フォイル」

 後半のMI5に属したフォイルの情報局絡みの物語のリンクを貼っておくことにしよう。

「Bones」を見終えて、次は何かとAmazon Primeをさがしたら、「刑事フォイル」を見つけた。次のハマりはこれ!
イギリスの作品なのでどこかで見たような俳優が続々と。若き日のモースやらフライデイ警部やらその他いろいろ!

原題は”Foyle's War"、ナチスの台頭から第二次大戦の終戦、東西冷戦と戦争の続く時代のロンドンの南のヘイスティングスというドーバー海峡に面した田舎町の警察を部隊に描かれる警察物語。主人公クリストファー・フォイルは、第1次対戦に従軍した警察官、戦中の警察の業務が国家の闘いとは異なることに違和感を感じて何度か情報畑での戦時の業務への転職を目指すが、いずれも、かれの正義感、戦時であっても銃後に起きる殺人や詐欺、不当搾取などの犯罪に立ち向かうために、結局は彼の戦争は銃後の戦いの連続である。
いずれにしても、フォイルの戦いは銃後にあっても不正は不正であり、正す。ただし、たとえ、法に背くことがあったとしても、彼の正義は通すといったポリシーは、ナチスとの戦争も、ソ連やナチスドイツとの情報戦も代わりはない。

刑事フォイル - Wikipedia

2024-12-24 20:20:31 | 映画/TV/DVD | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


Anazon Prime Video「BONES ボーンズ 骨は語る シーズン 1-12」

 
ついつい引き込まれて、シーズン1−12(全246話)をすべて見てしまった。多分1ヶ月ぐらい?

ワシントンD.C.のジェファソン研究所の法医人類学者テンペランス・ブレナンとFBI の特別エージェントのシーリー・ブースと彼らを取り巻く家族や研究所、FBIなどの人々との交流が、人骨や肉片、皮膚などの分析による殺人事件捜査が描かれる。毎回骨や遺骸が登場するので、好みが分かれるところだろう。また、主人公らは親との別れや再会、家庭内暴力など様々な親との関わりもサブテーマとして登場してこれも惹きつけられるところだろう。また、ボーンズことブレナンのADDHぶりや科学の世界が現実の全てであるとみなしている行動は、とても興味深かったし、そんな彼女が基本は変わらないものの、次第に人の心を読んで言葉にしていく様子も興味深かった。

英語を錆びつかせないという目的もあって字幕版で視聴したのだが、早口の言葉を拾って、辞書で調べるなどなかなか面白かった。また、法医学用語や人類学用語、はたまた、様々な口語表現もあるので、お勉強にもなった。




2024-12-11 15:55:19 | 映画/TV/DVD | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


映画「シビル・ウォー アメリカ最後の日」


2024年封切りの米国・英国共同作品、アメリカ合衆国が内戦状態に入った近未来を描く。Amazon Prime Videoで期間限定で配信されていたので視聴した。

3選目に入り、FBIを解散した大統領に対して西部と南部の諸州が反対して分離独立を宣言、合衆国は内戦状態に入る。

ニューヨークで市街戦を取材していた3人のジャーナリストは敗色濃い大統領に独占インタビューしようと車に乗ってピッツバーグ、西バージニアを経由してワシントンD.C.に向かう。3人のうちの一人の女性戦場カメラマンのリーに憧れる戦場カメラマンを目指すジェシーも一行に加わって、ロードムービーとなる。途中、リンチや市街戦、一見平穏な田舎町、難民キャンプ、住民を虐殺したらしい一同にであうなどして、西部軍のD.C.攻略拠点に到着した4人(途中被弾したジャーナリストのサミーはここで葬られる)は、大統領には警護隊など一部を残してあとは少数を残すのみとなった状況を聞き、大統領への独占インタビューの願いをはたせず、大統領一派を殲滅する部隊に同行してホワイトハウスに向かう。

大統領専用車を含む車列がホワイトハウスから脱出しようとして部隊が鎮圧したところ、リーは大統領はホワイトハウスに残っているとみなして、ホワイトハウスに向かう。少数の部隊とともに内部に入った3人は、大統領をめざすが、途中、リーは被弾し亡くなってしまう。残るジョエルとジェシーは大統領をみつけ、殺害しようとする部隊を制止して、インタビューを試みる。彼の言葉は「命だけはたすけて」だった。それを聞いたジョエルは「それで充分だ」と。部隊は銃口を向け大統領を射殺する。ジェシーは遺体を囲んで笑顔の部隊のスクープ写真をとる。

追記:蛇足かもしれないが。
この作品の冒頭、大統領は分離独立派を批判し、正当性は自らにあると演説で述べている。そうした大統領の危機的な状況について独占インタビューを狙ったジョエルが、最終的にたどり着いたのが最後のシーンであった。射殺を一旦制止し、大統領の言葉を引き出したが、それは自らの助命であった。それに対するジョエルの言葉はどのような意味だったのだろう。大統領であれ危機的な状況にある場合「助けてくれ」との言葉は人間らしいと言えるだろうが、それに対するジョエルの言葉とその後に続く射殺の許容は、大統領の言葉は「十分でない」という含意となるだろう。大統領の職責とそれに基づく行為により分離独立派により敗北が迫られるまでただただ国家を混乱に導いた責任を最終責任者である大統領が言葉にしなかったことに対する絶望の言葉が「十分だ」ということだったのではないだろうか。

昨今の世界情勢は混沌を極める。トランプ再選という結果となったアメリカの分断もありうる未来だろう。アメリカだけでなく、中国もあるいは、ロシアも分断の可能性はゼロではない。また、様々な国で極右が台頭し、各地で分断することもありうる。隣国韓国の戒厳令未遂事件もその一つだろうし、日本もまたどのような未来が描けるのか、未定の未来としか言えない状況だ。

また、映画に描かれる残虐なシーンの数々は、それぞれ、人間性の一部とも言えるだろう。さて、どのような未来が待ち構えているのか・・・・

2024-12-08 11:39:18 | 映画/TV/DVD | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


機内映画 in my blood it runs、Ezra 

12日のシドニーから羽田への機内でみた映画のメモを残す。

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機内映画 in my blood it runs
2019年制作のオーストラリアのドキュメンタリー映画。

アリススプリングスのアボリジニの子供の目から見たアボリジニを取り巻く社会的状況を告発する。家庭での言語と学校での言語はちがい、教育が英語でなされること。そこで落ちこぼれることは言葉の問題なのかそれとも強化学習の能力なのか?主人公の少年はアリススプリングスの街から祖母や両親の住むアボリジニ居住地に戻る。

アボリジニを巡る変わらない植民地状況とそうした状況下にあるアボリジニの人々に対する社会やましてや、中央政府の理解が及ばないことについて告発する。

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機内映画 Ezra 
2023年制作のコメディ映画ということなのだが、結構面白くシリアスな映画として見ることができた。ひとつは、英語音声で聞き取りが時に難しいのだが、英語の字幕が付けられていて、これは助かった。とはいえ、スタンダップコメディの早口は字幕付きとはいえなかなか、追うのがむずかしい。

コメディアンのマックス(ロバート・デ・ニーロが演じる)はホテルのドアマンのスタントクラス。エズラという自閉症の子供を別れた妻に残している。エズラは学校で問題を起こし、精神科の診療を求められるがマックスは納得がいかず、エズラを妻に内緒で連れ出し、スタンの車で西に向かう。エズラはマックスの友人に出会ううちに次第に対人関係の広がりを見せ、ジョークを言うようにまで成長を見せる。警察に誘拐と通報した妻はスタンとともにマックスとエズラを追って西に向かう。マックスは全国放送に出演間際にFBIに逮捕され・・・。エンディングはマックスがエズラを学校に送るシーン。実際にそのような治療過程があるのかどうかわからないが、しかし、決まり切った人間関係の中から外に向かうチャンスがエズラを変えたとも見える。

2024-08-12 17:30:28 | 映画/TV/DVD | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


機内映画 One Life

この作品は、プラハから669人のユダヤ人の子供たちをイギリスに送り出した青年ニッキーことニコラス・ウィントンとその後半生(物語としての現在はアンソニー・ホプキンスが演じる)のシーンが繰り返えされる。第二次大戦前、平凡なビジネスマンだった青年が、プラハでの難民の窮状をなんとかしなくてはと、プラハ現地のイギリス大使館で説得を試みる。子供たちを、イギリスに送り込み、養子として受け入れてもらう。その受け入れ家庭を探し、活動資金も母親の支援を得ながらやり遂げ、669人の子供たちをイギリスの家庭に送り届けることに成功した。ナチスによるチェコスロバキア地方のユダヤ人は強制収容所に5000人が送り込まれ、生還したのはその一割に満たないと言う。
イギリス政府は、この計画に主体的はかかわらず、現地大使館員の協力があったにしても、腰の引けたものだった。ニッキーの物語が次第に明らかになるのは、  1980年台の彼の晩年のことで、彼が身辺整理のために自宅に保管されていた膨大な資料を資料館に持ち込み、受け入れた資料館がテレビ番組にその内容を知らせて、生存する子供たちとニッキーを対面させるという企画番組の放映以降のことだった。
物語の初期、プラハのユダヤ人ラビに養子による避難が必要であることを訴えた際、受け入れ家族がユダヤ系とは限らないと否定的であったラビも、ニッキーの両親はイギリスに移民してきたドイツ系ユダヤ人であるものの彼自身は国教会でユダヤ教にはゆかりが無いとしても、それはユダヤ人には違いないとして、ニッキーの計画の協力してくれた。

日本でも6月から放映されていたようだ。ウクライナやガザに限らず、人道支援が政治的な争点になってしまう現在、この作品はもっと視聴されても良いのではないかと思った。

2024-08-02 20:35:00 | 映画/TV/DVD | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


映画「ブラックパンサー」

マーベル・コミックスの1960年代の同名のコミックスを原作とする。マーベル・コミックスとして初めての黒人ヒーローであったという。コミックスとしては、その後も引き続き書き続けられているという。現在のシリーズはタナハシ・コーツがメインライターとのこと。

映画「ブラックパンサー」は2018年に市場に出た作品で、マーベル・スタジオの制作になる。昔々、ヴィブラニウムという鉱物をふくむ隕石が地上に落ち、アフリカ中央部のワカンダ王国の人々はこの鉱物を利用して科学技術を秘密裏に発達させていた。王国は他国との交流を徹底的にさけていたが、一部の人々は世界に散って世界の貧困や差別と戦おうとしていた。先王の弟もそのひとりでカリフォルニア・オークランドで戦闘的な活動を行おうとしていた(1960年代のブラックパンサー党を思い浮かべるが、現在のコミックスのシリーズのライターのタナハシ・コーツの父もそのメンバーであったという)。しかし、先王はこの弟を自国に引き戻すべく彼の住まいを訪れるが、抵抗する弟を殺し、遺体とともにその息子エリック(のちに、死の商人キルモンガーとなる)を残して立ち去る。

自国の科学技術を隠して国連に登場した先王は反対派の陰謀により爆殺される。その後を引き継ぐことになったのが息子のティ・チャラだった。王の血筋は、ヴィブラニウムの影響を受けた薬草によりブラックパンサーに変身して王国を守る守護者となることが宿命付けられていた。

キルモンガーことエリックは、ヴィブラニウムを元手に各国に売りつけようと企むクロウと組んでいた。キルモンガーとクロウは、グレート・ブリテン博物館(大英博物館のことだろう)から、ヴィヴラニウム製の斧を奪う。その際にかわされる学芸員との会話が、まさに、植民地主義によって収奪された様々な博物館収蔵品の返還問題を象徴するものだ。キルモンガーはケースの中のアフリカの仮面と斧を指さしながらその由来を聞いていく。そして、それらの品々がどのようにこのケースに収納されることになったのか、その対価は何であったのか聞き、頂いていくという。学芸員は売り物ではないという。実際大英博物館だけでなく、世界の博物館美術館は、それぞれの作品の由来を調査し、その収納の経緯を明らかにすることが求められていく。

ティ・チャラたちはクロウを連れ帰ろうと、取引が行われると知った釜山の秘密のカジノを訪れ、カーチェイスの結果クロウをとらえ、CIAエージェントのロスに引き渡し者のキルモンガーによってクロウは奪還される。キルモンガーの目的は、クロウを殺してその死体をワカンダ王国に持ち帰り、王国の人々の前に姿を表し、自分自身の素性を明らかにしてわれこそ正当の王位継承者であると宣言することであった。

王位の継承は、ワカンダ王国の創設時の神話に基づきかかわった4つの部族のうち、3つの部族は王位の継承に不服を申し立てないという儀礼に基づくものだったが、現王のティ・チャラは5つ目の部族で王国創設時に参加しなかったジャバリ族のエンバクの挑戦を受けたがそれを退けていた。そのことをうけて、先王の父の行為に負債を負ったと考えたティ・チャラは挑戦を受けてしまう。しかし、キルモンガーはその戦いに勝利し、ティ・チャラは深い谷底に投げ込まれてしまう。新王キルモンガーの目的はヴィブラニウムを用いて世界の新たな秩序をもたらそうというもので、大量のヴィブラニウム製の武器を同盟する組織に送り出そうとする。

死んだとおもわれたティ・チャラは瀕死の状態でジャバリ族によって救い出された。そのかれに、ヴィブラニウムの影響を受けた薬草をのませ、復活させることに成功して、キルモンガーの企みを阻止すべく立ち上がり、勝利を収め、キルモンガーを倒すことに成功する。ティ・チャラは世界の貧困や難民を救援すべく国連で演説を行う。

ネタバレばかりだったが、いくつか疑問がある。まずひとつは、博物館に収納される植民地主義の成果を奪還しようとしたのは正義の味方ではない側のキルモンガーであること。また、ヴィブラニウムを秘匿しつつ文明を築いたワカンダ王国がその資源を使用するというのは、果たして、環境主義の立場からはどうだろう。隕石からなるヴィブラニウムは限りある資源のように思えるし、地中から採掘して文明を起こすのは、石油や様々な地下資源によって成立している現代文明をそのまま踏襲しようとしているとしか見えない。

もちろん、これは正義の味方のマーベル・キャラクターのブラックパンサーであるがゆえのことなので、硬いこと言うな、といったところだが、筋書きにはいささか抵抗があるのだが。

この作品、黒人を主人公としたスーパーヒーローということなのだが、アメリカ黒人がどこからどのようにやってきたのか、かれらが、いつどのような形でアメリカの市民権を得たのか。そして、BLMではないが、彼らの命の重さとそれ以外の人々のそれとの重さの違いは今永等にもあるということ。その彼らを主人公にしているからと言って、アフリカの資源を更に食い物にして世界を救うという筋書きは、これってどうよと思ってしまうのだ。

 

2024-07-31 14:53:14 | 映画/TV/DVD | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


映画「未来を花束にして(Suffragette)」

アマゾン・プライム・ビデオで有料視聴。

イギリスの女性参政権獲得のための政治組織サフラジェットの物語となっている。最後のシーンは、ダービー競馬場におけるメンバーのひとりエミリー・デヴィソンの国王の所有馬アンバーへの飛び込みによる死とその葬儀である。ただし、物語はダービー競馬場での国王への直諫をねらった三人のサフラジスト(ただし、ひとりは夫に換金されて不参加)のひとりのモード・ワッツを中心に描かれる。モード・ワッツは実在の人物ではなく、脚本のためにサフラジェットに関わった複数の女性たちの経験や語りを踏まえて創作されたようだ。

モードは洗濯工場で生まれ働く洗濯女で同じ工場で働く夫と息子を持っている。彼女の母親も同じ工場で働き工場の床で暮らしているうちに、モードを妊娠し出産したので父親をしらないという。彼女自身を大臣のロイド・ジョージに対する公聴会で同じ洗濯工場で働くバイオレットの代理として証言をする。しかし、その証言は生かされず、イギリスは植民地自治政府が19世紀末にはすでに女性参政権が与えられているのもかかわらず、イギリス本国は相変わらずの状態にあった。そのような状況の中でモードは次第に過激な参政権獲得運動に関わっていく。

大英帝国では、1893年のニュージーランドを皮切りに女性参政権が認められていくが、アメリカのワイオミング州では1869年にまで遡るという。オーストラリアで1902年、イギリスで1918年、アメリカ・カナダは1920年と続く。ヨーロッパの大陸諸国では、北欧やバルト海沿岸諸国が1910年代、フランスは遅れて1945年、日本はもちろん、太平洋戦争後の1945年である。

 

2024-07-30 14:36:13 | 映画/TV/DVD | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


映画 A.I. (字幕版)

 
「A.I.(字幕版)」、2001

スピルバーグらしいヒューマンな映画と言えるか。「A.I.(Artificial Inteligence)」というタイトルだが、ポイントは、自分自身の願望や夢を自律的に思考できるロボット(A.I.)を扱った作品ということにある。

オチは人類滅亡後に地球を訪れたエイリアンが人類の記憶を再現するために主人公のデイビッドことA.I.の記憶を用いるということになっているのだが、ベースになっているのは、「ピノキオ」の物語を踏まえた妖精ブルー・フェアリーなき、地球のフェアリーはエイリアンだったといっていいのか?

2024-05-24 21:55:30 | 映画/TV/DVD | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


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