いつも、原題と邦題の間のギャップが気になるが、この邦題も今ひとつだ。たしかに、本作の最後のシーンがそれを思わせるが、やはり、ポイント外しだろう。むしろ、原題の主人公の名前をとっただけのほうが、良かったのではないだろうか。邦題は、一体何を狙っているのだろう。客受けなのだろうか、それとも、テーマを語っているとでもいうのだろうか。
この作品を見るきっかけになったのは、総合職で仕事をしている卒業生がつい先日訪ねてきて、一押しした作品だったということだ。彼女が目指している「女神」像が、Miss Sloaneであるということの宣言であるということなのか、それとも、何であるのか。それは、今度現れたときに確認してみることにしよう。
本作は、余り知らない世界をおしえてくれた。それは、ロビー活動というものだ。日本の政治社会でどの程度リアリティがあるのかわからないが、アメリカ合衆国では、ロビー活動のビジネスが相当大きいものだと言うことは知っている。大学院生のインターンシップのそれ相当の魅力ある分野であることも。
本作品にあっても、じつは、インターンシップではないにしても、大学で学んでいて、学問とロビー・ビジネスのどちらにシフトするか悩んでいるというキャストが重要な役割を果たしている。主人公のミス・スローンはロビー・ビジネスの会社で働く凄腕の人物だ。彼女の生きがいはまさに、自らの(あるいは、クライアントの)目的に叶うように、手段を選ばぬ、さらには容赦ない方法で業績をあげることにあった。その彼女の前に、女性に銃所持の賛成派に回るよう求めるキャンペーンが持ち込まれる。彼女のポリシーは銃所時規制派なので断ってしまうが、会社の方針は、賛成派の側にある。
主人公は、アプローチしてきた銃所時規制派賛成の別のロビー・ビジネスの会社にチームを率いて移籍する。彼女のもと所属していた会社と賛成派は、彼女の過去の業績をあぶり出し、上院の聴聞会に引きずり出す。そして、テレビ番組の討論のなかで、チームのメンバーの銃乱射事件の生き残りだった女性を引き合いに出し、論争に勝利を収めるが、彼女は、銃所持参賛成派の男性に銃を向けられたところを一般市民の銃によって救われ、キャンペーンの動きは逆転してしまう。聴聞会での丁々発止のやり取りの中、最後に彼女が繰り出したのは、彼女がもとの会社に残したスパイ(ロビー活動か学問かを学んでいた女性スタッフ)がスクープした、聴聞会議長の上院議員とロビー・ビジネスの会社の上司の密会の暴露によって大逆転を遂げる。とはいえ、主人公は偽証罪(どの部分がそれに当たるのか、よくわからなかったが)により収監されてしまい、収監先から出てくるところで物語は終わる。
主人公ミス・スローンを演じたジェシカ・チャステイン(Jessica Chastain)は、様々な作品で強い女を演じているようで、注目の女優と言えるだろう。