原作は1969年で、たぶん、ハヤカワ・ノベルズ版(1970)で読んだことがあると思う。大学生の頃だった。その本は名古屋に引っ越すときに実家の町内会の公民館に小説の類をまとめて寄付してきたなかの一冊だったのだろう。今回の新型コロナ騒ぎで思い出して発注してみた。
読みながら今回のパンデミックと重なるものがあるとおもった。そのひとつ、新型コロナウィルスの発生について、トランプ大統領が中国のせいにしているが、中国もアメリカのせいにしている。これは、じつはどちらも、内々、生物兵器を開発していることを知っているから、こんなことを言っているのではないだろうか。恐ろしい。
本書でも、アポロ計画の中宇宙から帰還する宇宙飛行士の検疫の問題と、それから生物兵器の問題、突如現れる有害な微生物による感染が重要なテーマだ。ドキュメンタリータッチで物語が進むのだが、アポロ計画としては、事前にどのような汚染が宇宙で起こるのかチェックするために、大気圏外に発射されて物質を採取したカプセルがアンドロメダを持ち込んでしまうのだ。ひとつの小さな町が2人を除いて全滅する。死に方も二通り。この謎解きが本書の肝ということになる。人類にとってラッキーだったのは、変異が早いアンドロメダだったから、というのが落ちで、さもなければ、人類滅亡てなかんじだった。
本書のタイトル、病原体という言葉を使っているけれど、まあ、一般読者としては、理解はいいんだけれど、原語はstrain、菌株なんだけれど、「落ち」にも通じているので、病原体という訳語は問題ありだったとおもう。