28日に福井県若狭町の福井県立年縞博物館に行って、本書を買って読みあげたところだ。28日は今年最後の開館日で事前に調べていなかったので、ラッキーなことではあった。
年縞博物館については2018年9月に誕生した頃から情報をえていて、なんとか行きたいものだと思っていた。三方五湖の水月湖のボーリングで採られた年縞が年代測定のものさしとして国際標準になったことは「日経ビジネスオンライン」(2013年8月20日付け)の山根一眞の記事「日本の「水月湖」が世界の歴史のものさしに!」を読んで知っていた。また、直接、年代測定に関わったことはないものの、その重要性や方法についてより詳しく知りたいと思っていたところだった。本博物館が設置されているのは、鳥浜貝塚近くで、若狭三方縄文博物館に隣接していて、鳥浜のことは、あいにく、訪ねたことはなかったが、恩師から何度も聞かされていた。
年縞博物館では、二人の解説員(常駐しておられるらしく、受付の係の方によると、専門家と言うわけではなく、専門家からのレクチャーを受けて、詳細を説明できる方とのこと)の方に補足説明をお聞きしながら、展示を見た。また、ワークシートを手に、記入しながら「お勉強」をした。まあ、雑駁な記憶しかなかったこともあって、白紙のワークシートに見学を始める前に記入できでのは2−3割ほどで、あとは、説明を聞いたり、パネルを見たりして埋めていったのであった。
受付横にあった本書を購入してその晩から読み始めた。「年縞」との用語をつくった環境考古学の先駆者の安田喜憲や北川浩之の礎のもとに本書の著者中川毅は、7万年に及ぶ年縞(水月湖の湖底に沈殿して縞を作っている地層で、ボーリングによって採取された)をもとに、地層に埋もれる遺物の放射性炭素C14の半減期を測定して、国際的な研究組織を背景として、第四紀(現生人類の世界拡散の時代)の年代測定のための「ものさし」の確立のための基盤研究を行った。その経緯が圧縮されて述べられている。