すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

ナンシーに会いに行って

2023年07月01日 | 雑記帳
 一年前半期の終わりというのに、仕事上のあれこれでムシャクシャが募り予定が狂った。夕方から徐々に持ち直したが、いつものごとく夜中に覚醒した時、そこでまた思い出したからやっかいだ。しかし少し遅寝が出来たので、なんとなく鎮まってきた。目覚めのベッドで呟く。そうだ今日はナンシーに会いに行こう!


 隣市のまんが美術館で行われている「ナンシー関の消しゴム版画展」は明日が最終日。密かに信奉(そこまででもないが)している者としては、見ておきたい。存命であれば還暦は過ぎた年齢だ。今生きていればどんな感じなのだろうと数年前著書を読んだ時も感じた。TVウオッチャーである自分にはしっくり来る。


 さて10時開館に合わせて出かけてみたら…なんと、予想はしていたが入口前に長蛇の列。当然…といったら失礼だが、ナンシー目当てではない。本日スタートの企画があるのだ。全く興味なしではあるが、並ぶ世代や「エヴァヘラ・アイス」(笑)の様子が微笑ましく退屈しない。入場はおそらく百数十番台か。




 おずおずと「あのう、ナンシー展の方は…」と係の人に訊き、受付に行くと案の定トップだ。お馴染みの消しゴム版画が大きく貼りだされ、エッセイが何本も幕の形で垂れ下がったりしている。芸能人ネタは有名だが認識していなかったのは「ミュージックマガジン」表紙だ。80年代だと読者として離れた頃だろうか。




 版画よりやはり私は文章が好きだな。ごく普通に受け入れてしまう常套句や宣伝にそのまま乗らないで、そこにある深意・真意に思いめぐらす…そういう姿勢に共感する。例えば、「無人島に1枚だけレコードを持っていくとしたら」という問いに向けて、考えを広げていき「自己演出」と収める件などお見事である。


 まあ興味深く小一時間過ごして、一番感銘したのは次の言葉だった。「ちゃんとした生活、それはものを腐らせない暮らしだ」…まさに、まさに。都会生活の中で様々な食物を駄目にしてしまいがちな日常を語っているのだが、これは実に深い。いったい自分は何を腐らせているのか、じっと考え込んでしまった。