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桜と絵本と豆乳と

本に求める「言葉の躍動」

2024年10月23日 | 読書
 全く日本列島の気象はどうなっているのか…天気予報では毎日のように気温変化が流動的だと知らせている。それに伴って植物や動物の生態も変わりつつあることが常態化している。だから…と何の脈絡もなく「読書の秋」も捗らない…ってことはないか。先月下旬から数少なく読んでいるのは、ドリアンの本ばかり。



 「旨辛ラーメン」。辛みが勝っていました。75点。


 Re74『新宿の猫』(ドリアン助川 ポプラ文庫)。講演で著者がかつて勤めた放送関係の仕事や、自分が色弱で苦労したことを話していたので、この小説を読むとかなり重なっているという印象を持つ。書名から連想できるのは、都会に住む者の孤独や集散、個としての自立の姿という点か。ドラマとして象徴性がある。


 マガジンハウスから出ていた隔週刊の『ダ・カーポ』を愛読していた。連載がいつも楽しみで、ドリアンもその一員だったと思い出した。それがまとめられていた。Re75『言葉ノート』(ドリアン・T・助川 マガジンハウス)、数えてみると四半世紀ぶりに読むことになる。もちろん、かつて読んだ記憶は消えていた。


 当時活動していたバンド「叫ぶ詩人の会」に絡む出来事、世相や下ネタまで約四年間のことが記されている。個々の内容は古いものもあるが、ともかく文体に惹かれる。その訳は「はじめに」に納得する一言で著される。それは「言葉の躍動」。わかるかどうかより、読み手とは書物に対して本質的にそれを求めている。



 今年出た一冊でRe76『太陽を掘り起こせ』(ドリアン助川 ポプラ社)を、隣市の図書館から借りてきて読む。これは正直難解だった。出版社の紹介ではこうなっている。「語りの構造」は斬新に感じたが、その物語に出現するファンタジー性についていけなかった。ただ、ある時ふいに「場面」が蘇りそうな予感もある。