「せやしだし巻京そだち」小林明子/原作 ハンジリョオ/漫画
京都を舞台にしたコミックエッセイ。
京都の風俗、行事、そして人間が描かれる。
P129
「・・・見える・・・見える!いつのまにかわたしが見えるようになったもの」
呉服屋なので、母親が店で客の応対をしている。
「ほっそりしてて着物がよぉ似合わはるわぁ」
陰の母の声:「あの人痩せすぎでしがんだみたいやなぁ」
『京都人の裏の声』が見えるようになった、と。
著者解説:しがんだとは、茶カスのように水分が無く魅力のないもののことデス
P138
せやし は、便利な言葉である。
後に続くのが否定の言葉でもいいし、肯定でもかまわない。
そのどちらでなくともかまわない。
英語の「you know」。「because」ほどカタくない。「あの~」みたいなもん。
こんな風に断言すると、京都評論家の人が怒ってくるかもしれないが、
少なくとも私たち京都の女子は、そのように使ってきた。
私が特に興味深く読んだのが、「火伏せの神さま」の巻。P87
愛宕山の山頂にある愛宕神社に、お札をもらいに行く話。
私も先日登ったので、ハイキングシーンがリアルに感じられた。
P90に「途中なだらかな坂道が続くものの道のりは長い」、とある。
これには異議を唱えたい。
愛宕山の登山道はなだらかではない、かなりの急登、である。
高低図グラフを他の山と比べて見れば一目瞭然。
少しクレームをつけたけど、とても楽しめた。
巻末におまけとして、『京都年中行事コラム&おかいもんまっぶ』付きである。
本文でも、京都老舗和菓子を食べるシーンが繰り返し出てきて、読んでいてよだれが出てくる。
巻末に店の所在地が記されているので、参考になる。(でも、高いんでしょうね)
【ネット上の紹介】
京都の不思議と魅力と理不尽がいっぱいつまった、新しいコミックエッセイ誕生!京都人はこうしてつくられる。
[目次]春(さすが老舗の;団子皿;お母さん鯉;舶来の味);夏(小豆のこと;衣替え;ままごと;仕出し屋さん;平日の母);秋(鬼門封じ;ケチな紅茶;火伏せの神様;薬祭);冬(見栄っ張り;ハンコ掃除;おかき);番外編 大人になったアッコちゃん