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「劇画寄席芝浜」辰巳ヨシヒロ

2011年08月02日 22時28分21秒 | 読書(マンガ/アニメ)


「劇画寄席芝浜」辰巳ヨシヒロ

あの辰巳ヨシヒロさんが、落語を題材に描いた作品集。
これは味があるぞ。
当時の庶民の暮らしが見事に再現されている。
作品によって、上方を舞台にしたり、江戸を舞台にしたり。
これは、他の作家には出来ない芸でしょう。
タイトルにもなっている、「芝浜」は好きな作品なので、より楽しめた。
夫婦の機微が自然に描かれている。

PS
中条省平氏が解説を書いている。
だから、解説も読みごたえがあった。
なるほど、ここをこう読んだか、と。
一部、文章を紹介する。

P260
辰巳ヨシヒロのマンガは、世間の片隅に暮らす人々の生活を主な題材にして、下層の人々の哀しみや苦しみ、怒りや焦燥を描きながら、そうした人間たちのしたたかな生きる力につねに共感にみちた視線を注いできました。(中略)
立川談志の言葉に、「落語とは人間の業の肯定である」という至言がありますが、これは落語という表現のもっとも深い特質を正確にいい当てていると思います。(中略)
辰巳ヨシヒロの描くドラマには、そうした人間の否定面を肯定する落語の奥深さが、じんわりと滲みだしています。


【関連リンク】
「劇画漂流」(上・下)辰巳ヨシヒロ
「まんが落語ものがたり事典」勝川克志

【ネット上の紹介】
「手塚治虫文化賞マンガ大賞」受賞後第一作!表題作ほか「宿屋の富」「りんきの火の玉」「ぬけ雀」「死神」……。儲け話に目がなくて、金にも女にもめっぽう弱い。江戸の庶民は私たちに実によく似ている。劇画で甦る「古典落語」の豊かな世界。