「パパは今日、運動会」山本幸久
山本幸久さん新刊。
久しぶりに山本幸久作品を読んだ。(ブログ内検索で調べたら1年ぶり)
どうしたんだろう、と心配していたところ。
E-honで検索をかけると、8月と9月に新刊発売予定。
たまっていた作品が一気に出るようだ。(よかった、嬉しい)
さて、山本幸久さんと言えば、ユーモア小説。
日本では、このジャンルの書き手は少ない。
ミステリなんかと比べると弱小ジャンルで、作家も読者も少ない?
ファンタジーにも負けるかも・・・日本では一般ウケしないんだろうか?
多分、書くのが難しいんでしょうね。
本作品の内容だけど、タイトルどおり。
ある文房具メーカーが社内運動会を開く。
その1日を、群像劇風に描いている。
様々な登場人物たちを描き分けている。
さらに、それを絡み合わせ、絶妙な作品となっている。
山本幸久さんは、オフィス小説、お仕事小説も得意とする。
だから、会社を舞台にしたユーモア小説は得意技でしょう。
いくつか文章を紹介する。
P203
わからない。なぜあたしはあの男とつきあっていたのかしら。
はじめは同情だった。それが愛情に変わり、やがて軽蔑となった。そして憎悪になる前に別れた。
運動会で借り物競走が始まる。
その指示用紙には『不倫相手』、と書いてあった!
何を思ったのか、かつての不倫相手を追いかける社員。
P218
「絢花っ、ぼくにはきみが必要なんだっ」(中略)
なに言ってるの?わけわかんない。あなたとの関係はとうの昔におわっているわ。
「ふたりで人生をやりなおそう」
人生はやりなおしたい。
だけどあなたとだけは御免よ。
【ネット上の紹介】
嘘っぽく晴れ渡った青空の下、来年五十周年を迎えるカキツバタ文具の史上初の社内運動会が開かれた。ごますり男も泣き虫も、不倫男もアイドルも、強面もお調子者も、みんないつもとちょっと違う。いや、ちょっとどころか、え?こんな人だった?いろんな笑いがぎっしり詰まった会社小説の真骨頂。