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「心星ひとつ みをつくし料理帖」高田郁

2011年08月14日 08時10分32秒 | 読書(小説/日本)


「心星ひとつ みをつくし料理帖」高田郁

シリーズ最新刊、6作目。
「八朔の雪」
「花散らしの雨」
「想い雲」
「今朝の春」
「小夜しぐれ」
そして、本作「心星ひとつ」。
このシリーズも6作目だけど、ホントおもしろい。
季節が描かれ、それに応じた食材、日常が描かれる。
まるで、自分が江戸時代にいるようで、読んでいて幸せを感じる。
以下、感想だけど、ネタバレありなのでご注意。

さて、今回は揺れに揺れた。
もう、ハラハラした・・・「いったいどこへ流れていくのだろう」、と。
ストーリーの根幹に関わる激震だった。
殊に、「新星ひとつ」では、「シリーズ終わるんじゃないか」、と思ったくらい。

以前、シリーズ4作目「今朝の春」の感想で、物語の方向とゴールが示された、と言うようなことを書いた。
それは、あさひ太夫を身請けして、天満一兆庵を再建することである、と。
それなのに、澪が嫁にいってめでたしめでたしで終わるのか?
(まぁ、それはそれで、ひとつのゴール、だけど・・・)
和久井香奈子さんじゃないけど
自分の培ったキャリアを捨てて、男の愛情に頼るのは、ギャンブルに等しい』と苦言を呈したくなる。
「それでいいのか、澪」、と。
皆さんも、最後までハラハラして欲しい。

PS
特別付録『みをつくし瓦版』に小説作法について書かれていて、これが興味深い。

質問:作家さんの中には、最初の段階で展開を作り込んでいくタイプと、書きながら話を転がしていくタイプがある、と聞きますが、どちらですかねぇ?
作者:前者、つまり書き始める前に設計図を作ってしまうタイプです。ですから「みをつくし料理帖」でも、何巻でどんな出来事が起こるか、大枠は最初に決めています。最終話のタイトルと場面も決まっています。

ここまで設計図が出来ているとは、驚いた!もう少し、おおざっぱかと思っていた・・・というか、キャラクターにまかせているか、と思っていた。(byたきやん)

【ネット上の紹介】
酷暑を過ぎた葉月のある午後、翁屋の楼主伝右衛門がつる家を訪れた。伝右衛門の口から語られたのは、手を貸すので吉原にて天満一兆庵を再建しないか、との話だった。一方、登龍楼の采女宗馬からも、神田須田町の登龍楼を、居抜きで売るのでつる家として移って来ないか、との話が届いていた。登龍楼で奉公をしている、ふきの弟健坊もその店に移して構わないとの事に、それぞれが思い揺れていた。つる家の料理人として岐路に立たされた澪は、決断を迫られる事に――(第二話「天つ瑞風」より)。野江との再会、小松原との恋の行方は!? 「みをつくし料理帖」シリーズ史上もっとも大きな転機となる、待望の第六弾!!