百醜千拙草

何とかやっています

民主主義国家へと向けて

2009-09-01 | Weblog
今回の衆院選での最大の目的である、政権交代、即ち自民党を政権政党の座から引きずり降ろすこと、が無事達成されました。長年の自民政治にうんざりしてきた人々にとっては、これは日本の国の「夜明け」でしょう。この歴史的出来事を明治維新と比較する人もいます。確かに、長年人民を支配して来た権力構造が、壊されたという点において、明治維新と比するべきものであると思えます。また、維新時と同じく、比較的若手で従来の既得権力の外にいるような人々が、国民の信を受けて、従来の自民党のガチガチの既得権力の中で守られて来た大物議員を次々と蹴落としていくのを見ると、確かに時代の変化を感じさせます。 明治維新がアメリカからの開国圧力をきっかけに起こったのと異なり、今回の政権交代は市民革命です。日本の国民自らが政権を変える必要を感じ、自らの手で政権交代を実現しました。
過去数代の自民党総裁が、国民に愛想をつかされたというのは、もちろん彼らが余り有能でなかったからですが、思うにそれは、やはり、世襲議員の二代目、三代目のボンボンで、親の代からの票田の遺産で議員になった苦労知らずだからではないか、と思います。長期政権が財官との癒着を引き起こす腐敗の原因であるのと同様、地元の一部の(企業などの)既得権者の利権を図ることとの引き換えに票田を確保している「先祖の代から」の世襲議員が、政治の劣化の原因であろうと思います。今回の自民党の当選者の約半数が世襲議員、民主の1割が世襲議員であったとのことですが、これは、やはり政権政党であった自民党の議員と地元の利権保持者との長い間続いた持ちつ持たれつの構造が背後にあるということで、こういう一部に人間だけの有利に働くような構造を無くしていくことが、日本が民主主義国家として成熟してく上で必要なことであると思います。小選挙区では、アホウさん、首相時代にあれだけの醜態を晒してきたくせに当選しました。神奈川11区では、何の実績も経験もない首相経験者の息子が当選しています。これらの人に投票した人は、祖父や親の代から、自分の属する企業などに特別な便宣を図って来てくれた政治家の子供だからと言う理由で投票したのだと思います。今後も同様の特別扱いを期待して投票するわけで、議員としての能力も何も関係ないわけです。こういった世襲のボンボンが親からの遺産で権力を任されて、ママゴト気分で政権政党を運営するから、過去数代の首相の様な醜態をさらし、国民と世界に愛想をつかされるのです。今回の選挙で世襲議員も随分減りました。喜ばしいことです。
今回、民主が300議席以上を獲得して単独過半数となった、というのは、喜ばしいことかどうか分かりません。選挙の達人、小沢一郎も、ここまでは予想していなかったのではないかと思います。力のバランスが欲しいところです。大き過ぎる船は舵をとるのが難しくなりますし、暴走する可能性もあります。主に非世襲議員で構成する自民党が200議席弱ぐらいを占めて、二大政党で議会を運営していくのが良いのだろうと私は思います。鳩山さんは「数におごることなく国民の声が届く政治を目指したい」と述べました。その通りに実行されることを期待します。自民党は衆院過半数を利用して、「数の暴力」で党にとって都合の良い法案を強行採決してきました。民主党は「国民のための政治」を訴えてきました。真に国民にとってよりよい政策を、常に謙虚な姿勢を忘れず、実現していって欲しいと思います。
去年と今年は、アメリカ大統領選とこの衆院選で、楽しませて貰いましたが、これで、しばらく床屋政談はやめたいと思います。
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